あらすじ
駱(らく)家の令嬢・青蓮(せいれん)は愛する恋人・呂北逸(りょほくいつ)との婚礼を前に、王様・賀雲朔(がうんさく)の亡き妻にうり二つという理由でお妃選びに強制的に参加させられる。ところが、ある騒動が持ち上がり、駱青蓮は第三子・賀連信(がれんしん)の妾(めかけ)として引き取られる羽目に。駱青蓮は運命の変転に抗おうとするも、賀連信の妻や側室たち、兄弟らがしのぎを削る権力争いの渦中へと放り込まれてしまう。賎民に落とされた呂北逸を助けるために賀連信に協力することにした駱青蓮だったが、賀連信とともに過ごすうちに民を思う彼の真実の姿を知り、次第に惹かれていく。王家の権力闘争が激しさを増す中で果たして2人は愛を育んでいくことができるのか——?
第1話 王妃の生き写し
安(あん)王・賀雲朔(がうんさく)は未開の地であった曲涼(きょくりょう)を30年かけて繁栄に導いた。安王は亡くなった王妃を想い続けていたが、皇帝から継室を取るよう詔勅が出て、妃(きさき)候補を選ぶことに。安王の息子の妻たちは、夫の出世を助けるため、王妃に似た娘を見つけようと奔走する。駱青蓮(らくせいれん)は母の説得で妃候補選びにしぶしぶ参加するも、恋人の医師・呂北逸(りょほくいつ)と結ばれるためにわざと落選する。亡き王妃の侍女・錦芳(きんほう)は駱青蓮をひと目見て、これぞ捜していた娘だと確信する。
第2話 妃候補への道
賀連信(がれんしん)は自邸で行儀作法を習わせるため、駱青蓮を馬車に押し込む。その様子を見ていた賀連修(がれんしゅう)が妻の阮之湄(げんしび)に話すと、阮之湄は慕海瑶(ぼかいよう)が亡き王妃に似た妃候補を見つけたのではないかと、慌てて賀連信邸へ向かう。賀連信は駱青蓮の存在がばれないよう阮之湄を庭に連れていき、自分を見限って弟の賀連修に嫁いだことを責める。その頃、呂北逸が駱青蓮を救い出そうと賀連信邸に侵入していた。だがあっさり衛兵に捕まり、慕海瑶の前に突き出されてしまう。
第3話 引き裂かれた恋人たち
水盤に毒を入れ、妃候補3名の顔を傷つけた罪で、駱青蓮は取り調べを受ける。その最中に呂北逸が乱入し、一緒に逃げ出そうとするが、2人とも捕らえられてしまう。呂北逸の一家は末代まで賤民(せんみん)に落とされ、絶望のあまり自暴自棄になる。駱青蓮は処刑されそうになるが、亡き王妃の侍女である錦芳が現れ、代わりに死を賜った。駱青蓮は奴婢(ぬひ)として第五子の賀連佐(がれんさ)に下げ渡され、厨房(ちゅうぼう)の下働きになったが、賀連信が賀連佐の自邸を訪れ…。
第4話 運命への立ち向かい方
罰として賀連佐の奴婢になった駱青蓮は、賀連信の機転で妾(めかけ)として引き取られた。慕海瑶は一転、嫉妬をむき出しにし、駱青蓮に嫌がらせをするが、賀連信の正室・方懐蕊(ほうかいずい)は駱青蓮に好感を抱き、屋敷に受け入れる。賤民として働く呂北逸の惨めな姿を見て、駱青蓮も己の立ち回り方を考え始めた。一方、安王が亡き王妃を愛するあまり、うり二つの駱青蓮まで寵愛(ちょうあい)し、賀連信を重用するようになるのではないかと警戒した世子(せいし)の賀連儲(がれんちょ)は何やら策略を巡らせ始め…。
第5話 陰謀の渦の中で
慕海瑶の陰謀により、駱青蓮は賀連信の長子・暉児(きじ)を殺した疑いをかけられてしまう。賀連信は駱青蓮を殺そうとするが、蘇南春(そなんしゅん)が何とか思いとどまらせる。駱青蓮は潔白を主張し、真相を明らかにするため調べさせてほしいと賀連信に願い出る。賀連信はそれを許すが、呂北逸を拘束し、下手人が明らかになるまで水も食事も与えないと宣言する。駱青蓮は自分と呂北逸、そして暉児のためにも下手人を突き止めようと決意し、屋敷の侍女たちに聞き取り調査を行う。
第6話 世子の策略
駱青蓮の殺害に失敗した慕海瑶の侍女・嵐児(らんじ)は処刑を免れるため、賀連信が不正の証拠を握っていることを世子に伝える。嵐児を捕らえた慕海瑶は彼女を問い詰める。間もなくそこに現れた駱青蓮と方懐蕊は、嵐児の変わり果てた姿を目撃する。一方、自らの不正が安王の耳に入ることを恐れた世子は、実母の墓参りを利用して賀連信を始末しようと計画。山崩れが起こり、賀連信はけがをしてしまう。王府に戻った世子は方懐蕊や慕海瑶のもとを訪れ…。
第7話 新しい味方
世子の策略で山崩れに遭い、追われる身となった駱青蓮と賀連信。駱青蓮はそれに乗じて賀(が)家から逃げることにし、愛する呂北逸が身を隠す呂(りょ)家村に向かう。だが、呂北逸は現れず、呂北逸の家族は賤民に落とされたことを苦に自殺していたことを知る。賀連信は「自分が出世したら呂北逸を賤民の籍から解放する」と約束し、駱青蓮は賀連信の妾に戻ることを決意する。一方、王府では勅命が下り、安王の息子たちに爵位を授ける式典が行われる。
第8話 消えた銀子
駱青蓮は新居を与えられるが、賀連信から1年間の外出禁止を命じられる。その間も、駱青蓮は腹黒い慕海瑶を排除するべく、使用人たちから賀連信邸の内情を聞き出していた。5カ月が経った頃、曲涼河の堤防が決壊してしまう。安王は治水工事を行おうとするが、王府の銀庫が空になっていることが発覚。貸付金の回収役として賀連信に白羽の矢が立つが、借金の取り立ては、失敗すれば安王に失望され、成功しても官吏に恨まれる損な役回りだった。
第9話 だまし合い
身ごもっている慕海瑶が転んだと聞き、正室の方懐蕊は流産を心配して様子を見に来た。ところが、大きなおなかをさすりながら出て来た慕海瑶は「天のご加護があるから大丈夫」と言い切る。室内で話をしながら流産の証拠をつかもうとする方懐蕊と慕海瑶が冷たくにらみ合っているところへ、真実を知る駱青蓮が現れる。一方、空になった銀庫を再び満たし、治水事業にかかる費用を準備するため、賀連信は貸付金の回収に着手しようとしていた。
第10話 秘めたる情熱
賀連信は遊び人のように振る舞いながら、貸付金を回収するための調査を進めていた。駱青蓮はそんな彼の胸の中に、民を思う情熱があることを知る。一方、賀連信の妹・賀元雪(がげんせつ)は屋敷を抜け出し、暴漢に襲われたところを居合わせた呂北逸に助けられる。この出会いが2人の転機となるが…。賀連信邸では、李浅陌(りせんばく)が臨月を迎えていた。流産したことを隠している慕海瑶は、産まれてくる李浅陌の赤子を我がものにせんと、恐るべき計略を練っていた。
第11話 二度目の別れ
賀連信は公金を輸送する途中で、李浅陌の父の死に憤る貧民たちに道を阻まれる。民を傷つけるつもりはなかった賀連信だが、何者かの謀略により、民たちと刃(やいば)を交えることになってしまった。賀連信が危機にあることを知った駱青蓮は、彼を救う手だてを用意して、賀連信のもとへ向かおうとする。だが、屋敷を出ようとする駱青蓮の前に方懐蕊が立ちはだかり、「李浅陌の赤子を奪おうとしている慕海瑶の陰謀を今すぐ阻止してほしい」と必死に懇願する。
第12話 牡丹の団扇の行方
貸付金の回収が順調な賀連信をねぎらうため、王府では祝宴が開かれた。安王は内助の功の褒美として、3人の妻妾に3種の団扇(うちわ)を用意する。側室の地位が不満な慕海瑶は、本来は正室が受け取るべき牡丹(ぼたん)の団扇を所望することで、安王の本心を探ろうとする。そのとき、賀連佐が上奏書を手にして、安王の前に現れる。賀連信の取り立ての非情さに、各部署から不満が噴出し、さらには清廉な官吏が追い詰められ、自死に至ったことを暴露する。
第13話 賀連信の孤独
賀連信邸では慕海瑶(ぼかいよう)が別院に移されることになり、一同が見送っていた。慕海瑶の馬車に同乗させられた駱青蓮(らくせいれん)だが、慕海瑶に突き落とされてしまう。賀連信(がれんしん)は我が身を顧みず駱青蓮を助け、賀連信の部下となった呂北逸(りょほくいつ)が手当てに当たる。うわごとで呂北逸の名を呼び続ける駱青蓮を賀連信は献身的に介抱し、ついに彼女は目を覚ます。自分を助けたのが賀連信だと知った駱青蓮は、「出世して呂北逸を賤民(せんみん)から救う気がないのか」と問い詰める。
第14話 新たな火種
駱青蓮は賀連信と酒を飲んで泥酔。翌朝目覚めると、「お前を自由にしてやる」という賀連信からの置き手紙が残されていた。そんなとき、慕海瑶が去った賀連信邸に新たな妾(めかけ)・南如珍(なんじょちん)がやって来る。聡明で口が上手く、腰の低い南如珍に、駱青蓮は警戒心を抱く。ほどなくして、賀連信の庭園・且歌苑(しょかえん)で火の手が上がる。駱青蓮は急いで賀連信が方懐蕊(ほうかいずい)からもらった思い出の羽織を持ち出し、事なきを得るが、その様子を南如珍が物陰から見ていた。
第15話 仕組まれた散歩
妊娠した駱青蓮は、子供を争いから遠ざけるため屋敷を出るつもりだったが、賀連信の真摯な告白に心を動かされ、屋敷に残ることにする。毎日のように贈り物が届き、賀連信の寵愛(ちょうあい)をほしいままにする駱青蓮を、嫉妬の目で見つめる者がいた。慕海瑶が去った今、ただ1人の側室となった李浅陌(りせんばく)だ。駱青蓮は出産の準備に励みながら、慕海瑶と親しかった許寄柔(きょきじゅう)も味方にできれば心強いと考え始める。そんな折、許寄柔が妊婦服を持って現れ…。
第16話 つかの間の幸せ
李浅陌が仕掛けた猛犬から辛くも逃れた駱青蓮は、この騒動がきっかけで許寄柔と心を通わせる。そして「何があってもおなかの子を無事に産みたい」と決心する。子の誕生を待ちわびる賀連信は駱青蓮を手厚く世話するが、2人の心はすれ違っていた。一方、跡目争いを繰り広げる世子(せいし)からも、賀連信の寵愛を争う妻妾たちからも、駱青蓮の子の誕生は望まれていなかった。そしていよいよ臨月を迎える頃、南如珍が新たな計略を駱青蓮に仕掛ける。
第17話 別院へ
南如珍と酒を飲んで泥酔し、翌朝目を覚ました賀連信のもとに、子を失った駱青蓮が門前で悲嘆に暮れているとの知らせが入る。賀連信は過ちを謝罪するが、怒りが収まらない駱青蓮に対し、「今も呂北逸を想っているのか」と言い放つ。その言葉に逆上した駱青蓮は、賀連信からもらった指輪を投げつけると気を失って倒れてしまう。生気のない駱青蓮を抱きしめながら許しを乞う賀連信に、駱青蓮は自分を庶民に落とし別院へ送るよう頼むのだった。
第18話 あばら家での生活
駱青蓮が別院で与えられたのは、屋根の傾いたぼろ家だった。冬の寒さに耐えられまいと、使用人の東籬(とうり)と李塘(りとう)は着物を差し出すが、駱青蓮は助け合う仲間として2人を案じ、着物を返して絆を深める。同じく別院で過ごす慕海瑶は、別院の管理人の毛大(もうだい)と毛二(もうじ)を買収し、駱青蓮に嫌がらせをする。一方、第四子・賀連修(がれんしゅう)の策にハメられた世子は、安(あん)王から冷遇され意気消沈していた。すぐには動かないと思われた賀連修だが、呂北逸に目をつけ…。
第19話 ひな鳥の争い
安王に献上された銃を手に入れて悦に入る世子に、賀連信は命に関わるから銃をしまうよう忠告するが、世子は聞く耳を持たない。そこへ安王から銃を持って天幕へ来るようにとの連絡が入る。安王は世子に、第九子の賀連倹(がれんけん)と射撃の腕を競うよう告げるが、腕に自信のない世子は安王に侮辱されたことに逆上し、幼い賀連倹に向けて発砲してしまう。放心している安王の前に世子の侍衛が現れ、世子が混乱に乗じて謀反を企てていると告発する。
第20話 駱青蓮の切ない女心
駱青蓮は正気を失ったふりをして、賀連信に世話を焼かせる。無邪気に「旦那様」を求める駱青蓮に、心を乱される賀連信。駱青蓮は慕海瑶の力を借り、亡き王妃の命日に墓参りした安王と賀連信のもとを訪れる。駱青蓮は死産した赤ん坊をかわいがる様子を見せ、安王は出産して命を落とした王妃を思い出す。安王府では、次なる世子を立てるべきという議論が持ち上がる。誰がふさわしいか見極めるため、安王は息子たちにある問いを投げかけた。
第21話 恨みを超えた愛
呂北逸から胸の内を明かされた駱青蓮は、賀連信の愛の深さを知る。同時に、自分が賀連信をどうしても憎めないことを悟るのだった。紆余曲折を経て、賀連信と駱青蓮はやっと互いの想いを確かめ合う。そしてとうとう、駱青蓮が別院を出て、賀連信の屋敷に帰る日が来た。駱青蓮を慕う東籬たちは喜び、沈静容(しんせいよう)と許寄柔は帰還を心待ちにする。ところが、駱青蓮が屋敷の門をくぐろうとしたそのとき、思いがけない人物からの命令で帰還を阻まれる。
第22話 麒麟の子
賀連信の子を身ごもった駱青蓮は南如珍を警戒し、懐妊を秘密にする。賀連信との仲は良好で、おなかの子は順調に育つ。そんなとき、安王が「麒麟(きりん)の子」の夢を見る。夢占いによると、それは「王位を継ぐ孫が産まれる」お告げだ。それを知った安王は息子たちの屋敷に于徳常(うとくじょう)を遣わし、懐妊した妻妾がいないか調べさせる。東籬は「もう懐妊を隠さなくてよい」と喜ぶが、駱青蓮は慎重だった。そしてこれを好機と見た南如珍が驚くべき行動に出る。
第23話 佳人の残り香
安王のもとに服毒して死線をさまよっていた郡主(ぐんしゅ)・賀元雪(がげんせつ)が持ち直したと連絡が入り、賀連信と呂北逸は事の顛末を説明するため安王府へ赴く。安王は呂北逸に対し、賀元雪の命を救ったことは感謝するが、輿入れを妨害して賀(が)家の面目を潰し賀元雪の名節も汚したことは許しがたいと、毒酒を賜う。呂北逸が酒杯に手を伸ばしたそのとき、意識を取り戻した賀元雪が現れ、呂北逸を赦免するよう哀願するが、安王の怒りは収まらず取り付く島もない。
第24話 世継ぎ誕生
駱青蓮のもとを訪れていた妹の駱水蘭(らくすいらん)は、使用人の李塘が無礼を働いたと小さなことで怒り出す。使用人を大切にすると評判の駱青蓮だったが、今回は妹の味方をし、李塘は雨の中、夜通し跪(ひざまず)くという罰を受ける。ともに身ごもり、男児を出産すれば世継ぎを産んだことになる駱青蓮と南如珍は、いかにして自分を守り、相手を蹴落とすかに腐心していた。南如珍が李塘を引き込んで駱青蓮の弱みを握ろうとする中、ついに2人は臨月を迎える。
第25話 兄の敵
南如珍(なんじょちん)と賀連信(がれんしん)が生まれたばかりの我が子をあやしているところに、駱青蓮(らくせいれん)の居室に刺客が現れたという知らせが入る。賀連信が駆けつけて刺客の覆面を取らせると、以前、駱青蓮の腹を刺した趙清雲(ちょうせいうん)だった。趙清雲は賀連信の前で、自分の兄が駱青蓮に誘惑され、体の関係を持ったあと、口封じに殺されたと暴露する。賀連信はでたらめだと一蹴するが、趙清雲は亡くなった兄に染みついていた匂いと、駱青蓮の香りが同じだと言い張り…。
第26話 蓮灯の誓い
南如珍が成敗され、李塘(りとう)が駱青蓮のもとに戻って来た。李塘は手土産に、地図を持って帰って来たが、駱青蓮には意味するところが分からない。子の敵(かたき)を討ったはずが、駱青蓮は心が晴れなかった。ついには賀連信を呼び出し、これまで自分が行ってきた策略を告白する。打ちのめされた賀連信は、利用されたのではないかと疑う。夫婦の間に大きな亀裂が生じ、2人は傷つき悩んだ。気持ちの整理がつかず、賀連信が訪れたのは呂北逸(りょほくいつ)の家だった。
第27話 謀反の証拠
謎の男たちに拉致された駱青蓮を賀連信たちは必死に捜すが、見つからない。監禁された駱青蓮は拉致した男に乱暴されないよう、必死で身を守る。そして男との会話から、賀連修(がれんしゅう)の陰謀の手がかりをつかむ。一方、東籬(とうり)の機転により、賀連信と賀連倚(がれんい)は駱青蓮の居場所を発見する。さらに賀連修の秘密の武器庫を見つけて制圧したが、そこからは思いもかけない物が出てきた。それは、賀連修と阮之湄(げんしび)が「相討ち」を狙って仕掛けた罠(わな)だった。
第28話 新たな世継ぎ候補
賀連信と駱青蓮の息子・賀南昭(がなんしょう)を安(あん)王は溺愛し、王府で世話していた。そんな折、元世子(せいし)・賀連儲(がれんちょ)が自害を図ったが弟の賀連化(がれんか)のおかげで助かったと報告が入り、賀連化は安王に一目置かれる。阮之湄はそのことを夫である賀連修に話し、自分が賀連化に口添えしたのだと明かす。賀連修は妻から見放されたと悟る。その11年後。賀連信は先祖供養の祭祀(さいし)における安王の名代を命(めい)じられる。それは安王に王位継承者と見込まれたことを意味していた。
第29話 仁愛から偏愛へ
老年で病がちな安王は死期を悟って駱青蓮に「望みはないか」と尋ねる。駱青蓮は、賀連信に王位を継いでほしいと思うものの、安王の長寿をより願うと答える。すると安王は、民のために新たな明主を立てるべきだと諭す。次なる安王と目される賀連信が先祖供養の祭祀で安王の代わりを務めていたそのとき、賀南昭が命を狙われる。使用人の護衛のもと、賀南昭が安王の健康を祈っていると、刺客が現れたと報告が入り護衛がそばを離れてしまい…。
第30話 安王の死
安王は賀南昭の死の知らせを聞き、強い衝撃を受ける。安王の危篤と息子の死を知った賀連信は、帰宅を阻もうとした賀連佐(がれんさ)を説得し、王府へと急ぐ。賀連信が安王の名代に選ばれたのは、将来、賀南昭に王位を継がせるためだと目されていたが、賀南昭亡きあとも安王は賀連信を呼び出した。安王は穆(ぼく)国皇帝から賜った玉佩(ぎょくはい)を賀連信に手渡し、40年前に皇帝と交わした約束について話す。安王の命が燃え尽きようとしたとき、ある知らせが入り…。
第31話 王妃をめぐる暗闘
新王より方懐蕊(ほうかいずい)に下賜された王妃の吉服(きっぷく)に突然火がつき、燃えてしまったばかりか、燃えた跡が蓮(はす)の花になって残る。この奇怪な出来事は臆測を呼び、駱青蓮は窮地に立たされてしまう。さらに、王府の蔵に保管されていた黄燐(おうりん)の瓶が何者かに割られて発火し、隣国ジカルの献上品が燃えてしまう。ジカルの使者は激怒し、曲涼(きょくりょう)とジカルは一触即発の事態に陥る。蔵には駱青蓮の手巾が落ちていたことから、駱青蓮は悪い方向へと追い詰められていく。
第32話 平和のための花嫁
ジカルとの戦いで優勢になった曲涼軍だったが、それもつかの間、兵糧にもみ殻が混入していたため、敗北を喫する。落胆する賀連信のもとに、ジカルの使者が来たとの報告が入る。駱青蓮は自分が処刑されるかもしれないと考えるが、賀連信は駱青蓮を守る覚悟で、使者を歓迎する宴に彼女を列席させる。王としての気概を見せる賀連信に対し、ジカルの使者は「曲涼の郡主をハーンの王妃として娶(めと)りたい」と政略結婚による和平を提案する。
第33話 消えない後悔
娘の賀霊薇(がれいび)がジカルに嫁ぐことを嘆いた沈静容(しんせいよう)は、密かに賀霊薇を逃亡させる。それを知った駱青蓮は賀南昭を送り出し、賀霊薇を連れ戻そうとする。ジカルとの政略結婚が反故(ほご)になれば、再び戦火が広がりかねないからだ。一方、ジカルとの和平を覆せば自分の前途に有利になると見た賀連値(がれんち)は刺客を送り、賀霊薇を亡き者にしようとする。危険な逃避行を経て自らの運命を受け入れた賀霊薇。彼女がジカルに嫁いだあと、沈静容は急速に衰え…。
第34話 王妃の座と肉親の情
兵糧にもみ殻を混入させた疑いで駱青蓮の父・駱容与(らくようよ)が投獄される。もちろん駱容与に心当たりはなく、もみ殻の運搬と事件の調査に携わった者全員が口裏を合わせているとしか考えられなかった。調査の末、兵糧の箱に細工が見つかり、職人の証言により方懐蕊の弟・方爾格(ほうじかく)の仕業だと判明する。方懐蕊は、この裏に阮之湄の企(たくら)みがあることを見抜いていた。方爾格は方懐蕊に罪を打ち明け、助けを求める。そのとき賀連信が現れ、刑を命じて…。
第35話 黒幕 大旦那の正体
兵糧にもみ殻を混入させた件で“大旦那”と呼ばれる黒幕が浮かび上がる。証人となる役人が軒並み自害してしまった中、唯一逮捕できた鄭(てい)という役人も食事に毒を盛られて命を落とす。食事を作ったのは駱青蓮で、届けたのは慕海瑶(ぼかいよう)だった。審議の場で鄭の妻と名乗る女が現れ、慕海瑶が“大旦那”だと証言する。慕海瑶は以前から肺を患っており、傷心のあまり病が悪化する。激怒した兄の慕天殊(ぼてんしゅ)は、推進してきた新政の書類を燃やそうといきり立つ。
第36話(最終話)それぞれの執念
賀元雪(がげんせつ)を殺(あや)めた罪で慕天殊の処刑が執行される。賀連値と賀連修は、賀連信が腹心の死によって孤立無援となったと見て、新政に不満を持つ官吏たちとともに賀連信に譲位を迫る。そこへ賀連倚が慕天殊の配下を従えて現れ、「慕将軍の遺命により、逆賊を捕らえに来た」と伝える。すべては賀連信と慕天殊が仕組んだ計略だと悟った賀連修は、ついに観念して謀反を企てたことを認めると、黒幕である“大旦那”の正体も自分だと白状するが…。