あらすじ
幸せな結婚生活を送っていた薛芳菲(せつほうひ)は、身に覚えのない不貞の罪に問われる。夫の沈玉容(しんぎょくよう)によって、山奥の地中に埋められた薛芳菲は何とか這い上がり、川辺で倒れているところを姜梨(きょうり)という娘に救われる。継母に濡れ衣を着せられた過去がある姜梨は、生きることが自分を虐げた者への復讐になると薛芳菲を励ます。しかし、薛芳菲の様子を見に貞女(ていじょ)堂を抜け出そうとした姜梨は、罰を受け深い傷を負い、家に帰るという悲願を果たせぬまま息絶える。恩人である姜梨と自らの無念を晴らすべく、姜梨に成り代わって生きることを決意した薛芳菲の前に、塩の密売事件の容疑者を追って貞女堂にやってきた蕭蘅(しょうこう)が現れる。
第1話 長い復讐の始まり
沈玉容(しんぎょくよう)の妻・薛芳菲(せつほうひ)が目覚めると、寝床の上には見知らぬ男がいた。その場に義母と義妹が踏み込み、薛芳菲は夫を裏切り密通したと誤解されてしまう。助けに来た沈玉容と共に家を出た薛芳菲だったが、失った意識が戻ると山奥の地中に落とされており、すべてが罠(わな)だったことに気づき…。ある日、中書令(ちゅうしょれい)の娘という身分でありながら貞女(ていじょ)堂で10年の時を過ごす姜梨(きょうり)が、侍女・桐児(とうじ)と川辺を通りかかると、倒れている薛芳菲を見つける。
第2話 貞女ていじょ 堂の秘密
堂主を言いくるめ、姜梨に成り代わった薛芳菲は、自分と姜梨を陥れた者たちへの復讐を誓う。そんな中、薛芳菲を助けたせいで姜梨が死んだと、薛芳菲に襲いかかる桐児。しかし、薛芳菲の説得で心を改め、姜梨の汚名をそそぐため協力することに。貞淑の仮面をかぶった堂主の秘密を知った薛芳菲は、灯籠を使用して堂主を罠にかける。さらに、姜梨の実母・葉珍珍(ようちんちん)の友人である柳(りゅう)夫人の力を借りて、姜(きょう)家に入り込もうと画策する。
第3話 堂々たる帰還
復讐を果たすため、姜梨に成りすまし姜(きょう)邸に乗り込む薛芳菲。季淑然(きしゅくぜん)は、表向きは歓迎の意を示しながら、姜梨を排除すべく幾重にも策をめぐらす。しかし、薛芳菲もまた桐児の記憶を頼りに十分な準備をして臨んでおり、継母の嫌がらせや罠をたくみにかわしていく。蕭蘅(しょうこう)は姜梨が偽者であることを察しながらも、儀仗隊による護衛を付けるなど、薛芳菲を遠巻きに助ける。あくまでも塩密売の調査のためと言いつつ、薛芳菲に対する興味を隠せない。
第4話 奪われた玉佩ぎょくはい
姜家の当主・姜元柏(きょうげんはく)に会うために姜邸を訪れた沈玉容は、薛芳菲とよく似た後ろ姿を見かけて目を奪われる。姜梨が姜元柏や家族の面々に会うことのないよう、侍女を送り込んで邪魔をする季淑然だが、薛芳菲は高価な贈り物で侍女を丸め込む。ある日、侍女の口から季淑然の娘・姜若瑶(きょうじゃくよう)の笄礼(けいれい)の儀式に、沈玉容も招かれていることを知った薛芳菲は、何としても出席することを決意。侍女を操って姜元柏を呼び寄せ、ひと芝居を打つ。
第5話 策には策を
笄礼を前にした姜若瑶は、異母姉である姜梨に対して激しい対抗心を燃やす。一方、季淑然は姜梨を笄礼に出席させないために、次々と卑劣な罠をしかける。笄礼当日、姜家で行われる宴(うたげ)に次々と客人がやってくる。その中には、かつて姜梨と婚約をしていたが、今は姜若瑶の許婚(いいなずけ)である周彦邦(しゅうげんほう)や、柳夫人、沈玉容とその家族もいた。さらに、招かれざる客の蕭蘅も屋敷に乗り込んでくる。さまざまな思惑が渦巻く中、笄礼の幕が上がる。
第6話 宴うたげ の仕返し
笄礼の最中に倒れた姜若瑶。全身の赤い発疹は、檀香(だんこう)の過敏症による症状だった。姜若瑶の侍女が、姜梨が贈った耳飾りをつけた途端に倒れたと言い出し、確かめてみると檀香が仕込まれていた。一斉に責められた姜梨は、姉妹2人だけにしてくれと頼む。季淑然の指示で姜梨に罪を着せるべく香巧(きょうこう)が仕込んだ罠だと知る薛芳菲は、姜若瑶に推理と証拠を突きつける。姜梨に悪意がないことを知った姜若瑶は、姜家の面々に「誤解だった」と告げる。
第7話 よみがえる惨劇
洪孝(こうこう)帝の異母姉・婉寧(えんねい)公主は、国子監(こくしかん)と明義(めいぎ)堂の歳試(さいし)を合同で行い、男女で組んで競わせようと沈玉容に提案するが、拒絶される。腹を立てた婉寧公主は、自ら宮中へ乗り込んで洪孝帝に掛け合い、弱みにつけ込んで承諾を得る。沈玉容が歳試を策定し、首席は宮中に招かれると聞いた薛芳菲は、まずは明義堂に入学しようと計画を立てる。姜梨の祖母を味方につけ、姜元柏もうまく取り込んだものの、入学を快く思わない季淑然がある提案を持ち出す。
第8話 茶楼の芝居見物
蕭蘅と騒ぎを起こしたくない李(り)兄弟は茶楼を後にする。そんな中、貴重な絵を破かれたと姜梨の従兄・葉世傑(ようせいけつ)に弁償しろと詰め寄る孟紅錦(もうこうきん)。現場に居合わせた姜梨は絵を見るや贋作(がんさく)であると見抜き、騒ぎを丸く収めようと買って出る。しかし、冷淡な態度を崩さない葉世傑に、孟紅錦は怒りが収まらぬまま立ち去る。単純な衝突のようだが、背後にはある者の策があった。そして姜梨の立ち回りをめぐり、姜家の女たちの思惑が錯綜する。
第9話 毒の功罪
蕭蘅はかつて、父・蕭暝寒(しょうめいかん)が戦場で謎の死を遂げ、母も後を追うように死んだ悲劇に思いを馳(は)せる。母が形見に残した簪(かんざし)を眺め、過去の痛みに苦しむのだった。一方、歳試を控えた姜梨が、政敵である李仲南(りちゅうなん)の次男・李廉(りれん)と首席をめぐる賭けをしたと知り、姜元柏は激怒する。宮中へ行く機会を得る歳試に参加するため、計画を進めてきた薛芳菲は、李廉からひどい侮辱を受けたと姜元柏に訴え、姜家の名誉をかけて戦うことを承知させる。
第10話 運命をかけた歳試さいし
蕭蘅の助けで腕の治療を受けた薛芳菲は、ついに歳試初日を迎える。洪孝帝からの命を受け、試験官は沈玉容が務めることに。第一試験では李瑾(りきん)と葉世傑の一騎打ちとなり、激闘の末、同率首位に終わる。第二試験で、姜景睿(きょうけいえい)に当たったのは沈玉容の妹である沈如雲(しんじょうん)であった。沈如雲は姜景睿の手筋に亡き兄嫁の影を見出し錯乱する。沈玉容もまた、姜梨の中に薛芳菲の面影を見て苦悩する。第三試験では、思いも寄らぬ策略が待ち受けていた。
第11話 姉妹対決
最終の試験で姜梨が1位を取らなければ姜梨たちの組に優勝はなく、李兄弟との賭けに敗れてしまう。しかし薛芳菲は、夫に殺されかけた時の手首の傷が痛み、琴の演奏が困難に。その様子に気づいた蕭蘅に連れられ、薛芳菲は神医・司徒九月(しときゅうげつ)に命運を託す。蠍(さそり)の毒を用いる治療で、つらい過去が脳裏に蘇るが、蕭蘅に献身的に支えられ、必死の思いで耐え抜く。琴の試験では実質、姜若瑶との一騎打ち。果たして勝負と賭けの行方は…。
第12話 動きだした黒幕
歳試で首位になったことで、宮中へ招かれる権利を獲得した薛芳菲。宮中で行われる宴を控え、沈玉容の背後にいる謎めいた人物をおびき出す考えを桐児に打ち明ける。一方、李仲南は歳試の賭けの条件どおり、出家するよう李廉に言い渡す。李(り)家が洪孝帝の異母兄・成(せい)王の擁立に動いていることを知る兄の李瑾は、出家を嫌がる李廉を無言で見送るのだった。姜梨潰しに手を焼く季淑然は、皇帝の寵妃となっている妹の麗妃(れいひ)に相談を持ちかける。
第13話 欲望渦巻く酒宴
婉寧公主に命じられ、薛芳菲は沈玉容に矢を放つ。間一髪、事態を収めたのは、突然現れた蕭蘅であった。沈玉容を目の前にした薛芳菲は、彼の後ろにいるのが婉寧公主であることに気づく。そんな中、姜若瑶と姜玉娥(きょうぎょくが)は姜梨を陥れる卑劣な罠をしかけていた。薛芳菲は薬を盛られた酒を飲まされ、茶室へと案内される。寝台に横たわった薛芳菲のもとに、酒に酔った葉世傑がやってくるが…。一方、姜玉娥は、周彦邦から姜梨宛ての書きつけを拾う。
第14話 姜きょう 家と葉よう 家
酒宴での騒動後、婉寧公主の反撃を用心するよう蕭蘅に促す洪孝帝。その婉寧公主は沈玉容の行動に憤るが、「あなたを慰めたい」という言葉で怒りを収める。歳試で絆を深めた姜梨、姜景睿、柳絮(りゅうじょ)、葉世傑は、中秋節に集う。そこに現れた葉世傑の叔父に、自分を葉(よう)家に連れて行ってくれと頼む姜梨。麗妃からの修行帯同の命が下る前に都を離れる作戦と同時に、幼い姜梨の言動を謝罪し、葉家との関係を修復しようと考えていた。
第15話 人殺しの絹織物
淥陽(ろくよう)へやってきた薛芳菲(せつほうひ)は、父親の死についてその真相を探るため、亡き弟・薛昭(せつしょう)の想い人だった瓊枝(けいし)を訪ねることに。妓女(ぎじょ)に身を落とした瓊枝は、薛昭の無残な死を知らされ、姜梨(きょうり)に協力を誓う。その頃、淥陽では葉(よう)家の店が扱っている絹織物に触れた者は死ぬと、噂(うわさ)が流れていた。葉家の当主・葉明軒(ようめいけん)が捕吏に連行されたことで、薛芳菲は李(り)家の関与を疑い始める。意気投合した姜梨の従姉・葉嘉児(ようかじ)を支え、この騒動を鎮めるべく動き出す。
第16話 闇市の王
麗正(れいせい)堂に押し寄せた民衆を鮮やかな手際で鎮めた姜梨。その顛末を茶楼で眺めていたのは李瑾(りきん)と蕭蘅(しょうこう)だった。佟知陽(とうちよう)を裏で操り、葉家を陥れようとしているのは、李仲南(りちゅうなん)とその一族であった。葉世傑(ようせいけつ)に文(ふみ)を出した姜梨は、織染(しょくせん)署の捜査を請う。淥陽を訪れた織染令(しょくせんれい)は、問題の古香緞(ここうたん)に、西域の毒草・駄羅(だら)の痕跡を発見する。この植物の手がかりを追って、姜梨は葉家の厄介者で姜梨の叔父である葉明煜(ようめいいく)と共に、闇市の元締め・頼彪(らいひょう)のもとへ乗り込む。
第17話 包子パオズ の代償
闇市での飲み比べに勝利した姜梨たち。酒に酔った姜梨を優しい眼差しで見守る蕭蘅だったが、自分の胸に寄りかかる彼女を抱きかかえ葉家に送り届ける。翌朝、姜梨と葉明煜は駄羅の買い手・大封薬舗(だいふうやくほ)を訪れるが、人の気配がない。実は前夜、口封じに大封薬舗の人々は殺されていたのだった。調べは行き詰まり、葉家の人々は佟知陽からの理不尽な要望に応じざるを得なくなる。一方、蕭蘅は成王(せい)側の烏蘭(おらん)を味方につけたはずだったが…。
第18話 鬼畜のはびこる町
自分は姜梨ではないと蕭蘅に打ち明けた薛芳菲。彼女の身を案ずる蕭蘅だったが、「私は必ず生きる」と強く答える薛芳菲に笑みを浮かべるのだった。瓊枝に呼び出された薛芳菲は、傷だらけで横たわる彼女の姿に驚愕。淮郷(わいきょう)県令から命がけで情報を聞き出した瓊枝は、薛芳菲の父・薛懐遠(せつかいえん)が生きていることを告げる。そして薛昭から預かった地図を託し、息を引き取ってしまう。淮郷県令の蛮行を知った薛芳菲は、淮郷の内情を探る決意をし…。
第19話 廃棄された金鉱
淮郷県衙(けんが)前で出会った老婆は、かつて薛懐遠に救われた者だった。彼女に会うため変装して街に出た薛芳菲は馮裕堂(ふうゆうどう)の手下を撒くことに成功するが、次はごろつきに狙われてしまう。蕭蘅の助けを得て老婆と再会した薛芳菲は、薛懐遠に仕えていた者たちが砂利採取場に送られたことを聞く。砂利採取場の上方には封鎖された官営の金鉱があり、蕭蘅はそれを調べにきたのだった。薛芳菲は坑道の地図と引き換えに、蕭蘅に協力を仰ぐことに。
第20話 報われぬ善行
坑道の奥にあったものは金の採掘現場だった。薛芳菲は重労働を強いられる工人の中に、古(こ)兄弟の姿を見つける。蕭蘅の助けを借りて、金鉱から薛懐遠の元部下4人を脱出させた薛芳菲。しかし、待ち構えていた馮裕堂の手下の襲撃に遭い、薛芳菲をかばった蕭蘅は傷を負うことに。捜査の手が金鉱に及んだことを知った馮裕堂は、宴(うたげ)を催しながら蕭蘅の到着を待っていた。県衙には父・薛懐遠がいると信じ、薛芳菲は捕縛に向かう蕭蘅に同行する。
第21話 迫りくる陰謀
県衙から薛懐遠を救い出した薛芳菲は、父の死刑執行のためにやってきた刑部侍郎(けいぶじろう)を足止めすることに。薛懐遠は冤罪だと訴える姜梨と、頑として聞かない刑部侍郎のにらみ合いが続く中、淮郷の民が薛懐遠を守るために次々と抗議にやってくる。姜梨が県衙から罪人を連れ出したと知った姜元柏(きょうげんはく)は、すぐに姜梨を連れ戻そうと激怒。姜梨の依頼で姜(きょう)邸を訪れた葉世傑は、飢饉救済で南下する際に姜梨と会い、説得することを姜元柏に申し出る。
第22話 響け、訴えの太鼓
姜梨を生き仏とあがめ救済を求める難民は、周辺の土地からも次々定州(ていしゅう)に集まっていた。それは姜梨が都へくるのを阻もうとする李仲南の陰謀だった。定州への道が閉ざされ、朝廷からの救済食糧は届かない。飢えに苦しむ民衆は、間者に扇動されるままに暴動を起こそうとしていた。しかし、これを見越していた蕭蘅は李仲南を欺くある秘策を用意していた。一方、都では死刑囚を破牢(ろう)させた姜梨を捕らえようと、大理寺(だいりじ)が待ち構えていた。
第23話 御前審理
登聞鼓(とうぶんこ)が響いた長安(ちょうあん)門に聖旨(せいし)が届いた。薛懐遠の冤罪と姜梨の破牢の罪について、蕭蘅の監督のもと大理寺卿(だいりじけい)と刑部が審理を行い、その結果を受けて洪孝(こうこう)帝が裁可を下すという。蕭蘅は投獄された薛芳菲のもとを訪れ、2人だけの静かな時間を過ごす。一方、姜梨投獄の知らせに頭を抱える姜元柏と大奥方だったが、季淑然(きしゅくぜん)は律法を盾に姜梨を大理寺から連れて帰ると宣言。帰宅した姜梨は、一連の事件の裏に李家がいることを大奥方に告げる。
第24話 公主の誤算
審理の場に突如現れた婉寧(えんねい)公主は、かつて顔を見かけた薛芳菲と、審問を受ける姜梨の顔がうり二つだと洪孝帝に訴える。さらに姜梨の正体を暴くために用意した証人・貞女(ていじょ)堂の堂主を呼び入れ、この姜梨は本物ではないと証言させるが…。一方、北の辺境にいる婉寧公主の兄・成王は、金鉱の閉鎖で資金源を失い、野望の実現が遠のくことにいらだっていた。そこで、敵国・代(たい)国の侵略と見せかけ、朝廷から兵を出動させるよう計画する。
第25話 死んだはずの男
洪孝帝に禁足処分を命じられた婉寧公主は、姜梨を陥れるため季淑然を呼び出す。姜梨は何者かに憑依されているとして、太卜令(たいぼくれい)に破邪の儀式をさせようと提案。太卜令を訪ねた季淑然は、衝撃的な事実を知ることに。その頃、周(しゅう)家に嫁いだ姜玉娥(きょうぎょくが)が実家へ挨拶にきていた。姜梨に未練を持つ周彦邦(しゅうげんほう)から虐待を受けている姜玉娥は、宴の夜のことは姜梨が仕組んだことだと周彦邦に嘘(うそ)をつく。周彦邦は姜梨に復讐心を抱き、ある策を企てる。
第26話 月げつ とでんでん太鼓
姜(きょう)家一同が祖廟を訪れ祭祀(さいし)を行っていた。女子は礼拝を禁じるという決まりを犯し、姜梨は霊前で叩頭(こうとう)し、姜梨の母・葉珍珍(ようちんちん)に語りかける。そこへみすぼらしい身なりの女性が乱入し、姜梨に「月(げつ)」と呼びかける。姜元柏の妾(めかけ)で早くに娘の姜月(きょうげつ)を亡くした胡(こ)氏だった。正気を失い、墓守として廟の裏に住んでいるという胡氏に、違和感を抱く薛芳菲。帰り道、薛芳菲の馬車の馬が逃げ出してしまい、通りがかった姜若瑶(きょうじゃくよう)の馬車に同乗するが…。
第27話 忌まわしき過去
これまで母の言いなりで生きてきたことを姜梨に思い知らされ、心の中に大きな変化が生まれた姜若瑶。斉(せい)家との婚礼の日取りを決める席で、姜若瑶はこの縁談を拒否すると言い放つ。姜若瑶の態度に憤慨した季淑然は、より早く姜梨を潰す目的で、婉寧公主から授けられた策に着手する。かつて恋人だった太卜令・柳文才(りゅうぶんさい)が示した交換条件を果たすため、過去に自分と柳文才の仲を残酷な方法で裂いた父親に会うべく、実家の季(き)家へ赴く。
第28話 破邪の儀式
薛芳菲は蕭蘅のもとを訪れ、柳文才を倒すべく協力を請う。次の朝、薛芳菲は苦楽を共にしてきた桐児(とうじ)に、これからも妹のようにそばにいてほしいと伝える。姜家へ乗り込んだ柳文才は、姜若瑶の昏睡(こんすい)の原因は、屋敷に入り込んだ魔物の仕業だと言う。破邪の儀式を始める柳文才は、姜梨が清呈(せいてい)山で魔物に取りつかれ、その魔物の元の宿主こそ薛芳菲であると断言。窮地に陥る薛芳菲だったが、彼女は柳文才に対抗する策を用意していた。
第29話 父の罪
季淑然(きしゅくぜん)の罪が暴かれ、季(き)家と姜(きょう)家は大打撃を受けることに。麗妃(れいひ)は父親に全責任を負わせ、姉である季淑然の命を救おうとする。命による償いがなされぬと知った薛芳菲(せつほうひ)は、軟禁されている季淑然のもとへ行き、姜梨(きょうり)が亡くなっていることを告げ、容赦なく責め立てる。葉珍珍(ようちんちん)、胡(こ)氏、柳文才(りゅうぶんさい)の幻影におびえる季淑然は、薛芳菲の言葉でついに正気を失う。意気消沈した姜元柏(きょうげんはく)が休職を申し入れ都を離れると、朝廷は李仲南(りちゅうなん)の独壇場となり…。
第30話 それぞれの思惑
大昭(だいしょう)国の外交団を迎える接待使に志願した姜梨は、沈玉容(しんぎょくよう)により楽工部へ配属される。洪孝(こうこう)帝から琴の独奏を任されたはずの姜梨は、自らを辞退に追い込みたい沈玉容の差し金だと疑う。そこで、葉世傑(ようせいけつ)の協力を得て洪孝帝に新たな演目を提案し、沈玉容に食い下がる姜梨。一方、大昭国の公主である司徒九月(しときゅうげつ)を成(せい)王から守るため、蕭蘅(しょうこう)は彼女を自邸に呼び寄せる。蕭蘅に薛懐遠(せつかいえん)の治療を頼まれた司徒九月は、姜梨への嫉妬心で気分を害し…。
第31話 外交団の到来
楚嵐(そらん)に襲われた司徒九月は、毒を用いた捨て身の攻撃をかける。逃走した楚嵐を捜すため、蕭蘅は都に警戒網を敷くが、一向に見つからない。楚嵐は李瑾(りきん)の手により、李仲南の息がかかる皇城司(こうじょうし)に身を隠していた。一方、姜梨は大昭国との会盟を祝う宴(うたげ)で琴の演奏を命じられたが、共演する者が見つからない。それは、沈玉容に近づくための彼女自身の策だった。姜梨を避けていた沈玉容は、外交団来訪の時が近づき、やむなく共演を承諾する。
第32話 贖罪しょくざい の行方
蕭蘅の心には姜梨がいることを悟った司徒九月は、薛懐遠の病は治ると姜梨に言い残し、兄の大昭国君と共に大昭国へと帰ってゆく。沈玉容の屋敷では、外交団の歓迎を成功させた祝いの宴が催されることに。姜梨が宴に参加すれば、また婉寧(えんねい)公主の機嫌を損ねてしまうと危惧する沈(しん)夫人に、沈玉容は眠り薬を飲ませる。沈(しん)邸にやってきた薛芳菲は、宴の途中で席を立ち、密(ひそ)かに追ってくる沈玉容を、かつて罠(わな)に嵌められた寝室へと誘導し…。
第33話 公主の切り札
婉寧公主の屋敷に招かれた薛芳菲は、地下に作られた牢獄(ろうごく)に案内される。そこに捕らえられていたのは死んだはずの弟・薛昭(せつしょう)だった。婉寧公主は薛芳菲に、弟を救いたければ証言を翻し、沈玉容を釈放せよと要求。事件は自らの虚言だと証言を翻した薛芳菲は、沈玉容と入れ替わりに投獄されることに。釈放された沈玉容は婉寧公主に、洪孝帝から自分と姜梨の婚姻を賜ることを提案。婉寧公主は麗妃をも巻き込んで、新たな陰謀を巡らせ…。
第34話 魚符ぎょふ の効力
婉寧公主に脅され、沈玉容と姜梨の婚姻を進めようとする麗妃。姜元柏からある屋敷に招かれた彼女は、正気を失い童女のようになった季淑然と再会。平穏な暮らしを提供する姜家に感謝しつつも姜梨への恨みは消えず、自分の誕辰(たんしん)の宴で洪孝帝から婚姻を賜るよう画策。婚姻を阻止したい姜元柏は葉世傑と話し合い、葉世傑と姜梨が許婚(いいなずけ)であると偽ろうとするが…。蕭蘅もまた、2人の婚姻を阻むべく、婉寧公主に大胆な取り引きを申し出る。
第35話 懐妊の誤算
気分のすぐれない婉寧公主は、診察に呼んだ太医から懐妊を告げられる。婉寧公主は代(たい)国の人質となっていた頃、流産を繰り返したせいで子供を望めない体になっていた。奇跡のような懐妊に喜ぶ婉寧公主は、沈玉容との婚姻を洪孝帝に願い出ようとする。公主懐妊の噂(うわさ)があっという間に都中に広まり、麗妃が太医を連れて噂の真相を確かめにきたことで、沈玉容は陰で操る者の目的を察知。そして婉寧公主に、思いがけない策を提案するが…。
第36話 老将軍の思惑
沈玉容の指示通り李瑾に嫁いだ婉寧公主。この事態に納得できない彼女は李瑾につらく当たり、沈玉容から贈られた簪(かんざし)を眺めて涙を浮かべる。一方、大昭国を訪れた蕭蘅は大昭国君より、出兵の条件として司徒九月と婚姻し、駙馬(ふば)となることを持ちかけられるが…。帰国した蕭蘅は、李仲南に操られた皇城司が武庫署(ぶこしょ)と通じ、成王に武器を横流ししていたことを突き止める。その捜査線上に上がったのは、禁軍を司る侍衛親軍司(じえいしんぐんし)であった。
第37話 死の真相
李瑾に対し、横暴な言動を繰り返す婉寧公主。堪忍袋の緒が切れた李瑾に激しく責められた彼女は、激昂して体に変調をきたす。薛芳菲は粛(しゅく)国公府を訪れ、蕭蘅の側近・文紀(ぶんき)から蕭蘅と彼の祖父・蕭大川(しょうだいせん)との確執の理由を聞き出し、蕭大川の屋敷を訪ねることに。姜梨を気に入った蕭大川は、かつて蕭蘅の乳母だった王(おう)氏を紹介する。父の死後、祖父の言動に不信感を抱いてきた蕭蘅だったが、王氏の告白で当時の複雑な事情を知り…。
第38話 反乱の足音
祭祀(さいし)のために上京した成王は、多数の兵馬を従えて都入りを果たす。捕虜の護送を口実に兵の増員を皇帝に認めさせたのは、沈玉容の入れ知恵だった。密かに成王と面会した沈玉容は、挙兵の大義名分を作るため、婉寧公主を亡き者にして洪孝帝に罪を被せるよう献策。祭祀の後に行われる宮中での宴で、成王が謀反を起こすと考える蕭蘅は、幼き頃に抱いた無念を薛芳菲に明かす。そして、何があろうと互いを信じる気持ちを確かめ合う。
第39話 最後の戦いへ
成王は謀反の準備を進め、蕭蘅たちもそれに対抗する策を巡らせていた。薛芳菲を捕らえた婉寧公主は、沈玉容が特別に用意したという羹(あつもの)を飲んで血を吐く。それは仮死薬の作用で、沈玉容の裏切りに絶望した婉寧公主は彼の目の前で自害。成王凱旋を祝う宴の最中、婉寧公主の亡骸(なきがら)を抱いた李瑾が乱入し、彼女は洪孝帝に殺害されたと叫ぶ。挙兵の準備が整った成王は、皇帝誅殺の命を発し、ついに謀反の火の手が上がる。
第40話 蝋梅ろうばい が咲く頃
城門で対峙する沈玉容と蕭蘅。沈玉容は蕭蘅に矢を放つよう龍武(りゅうぶ)軍に命じるが、駆け付けた薛芳菲の姿を見て攻撃を制止。彼女の登場に動揺しつつも、自分との復縁を迫る。戦死した龍武軍の英雄たちの名を挙げ、その場にいた龍武兵の心に訴えかける薛芳菲は、魚符(ぎょふ)を握る沈玉容の手を射抜く。魚符を手にした蕭蘅は、龍武軍を率いて宿敵・成王の討伐に向かう。龍武軍に囲まれ絶体絶命に陥った成王は、麗妃を盾に脱出を図ろうとするが…。
第1話〜第14話
第15話〜第28話
第29話〜第40話