あらすじ
契丹(きったん)人の国である遼の北府宰相・蕭思温(しょうしおん)の三女・蕭燕燕(しょうえんえん)は、父親と長女・蕭胡輦(しょうこれん)、次女・蕭烏骨里(しょううこつり)の愛を受けて真っすぐで勇敢な女性に育つ。そして、彼女は漢民族ながら遼の朝臣である韓徳譲(かんとくじょう)と出逢い、国の未来へ大志を抱く2人はやがて愛し合うようになる。一方、朝廷では暴君として恐れられる第四代皇帝・穆宗(ぼくそう)の座を狙い、権力争いが続いていた。そんな中、皇后を輩出する后(こう)族の筆頭である蕭家の三姉妹は、王位簒奪(さんだつ)の切り札とみなされていた。その結果、蕭胡輦が穆宗の弟・耶律罨撒葛(やりつえんさつかつ)に、蕭烏骨里が初代皇帝・太祖(たいそ)の孫・耶律喜隠(やりつきいん)に嫁ぐことに。残された蕭燕燕は韓徳譲と婚約を結んでいたが、暗殺された前皇帝の息子で韓徳譲の親友である耶律賢(やりつけん)に見初められ…。
第1話 波乱を起こす少女
遼の第三代皇帝・耶律阮(やりつげん)は漢人の甄(しん)氏を皇后に立てたことから、祥古(しょうこ)山の変を招く。その18年後、北府宰相の三女・蕭燕燕(しょうえんえん)は草原一の馬を手に入れようと奮闘していた。一方、韓徳譲(かんとくじょう)は幽(ゆう)州の軍営で暴れ馬を手なずけ、烏雲蓋雪(ううんがいせつ)と名付ける。そして耶律阮の息子・耶律賢(やりつけん)の求めに応じて都の上京(じょうけい)に戻ったところ、蕭燕燕とすれ違う。烏雲蓋雪に一目惚れした蕭燕燕は、無理やり我が物にしたが、烏雲蓋雪は暴れ出し、刑場に突入してしまうのだった。
第2話 皇帝の
韓徳譲の来訪を受けた蕭思温(しょうしおん)は苦悩していた。先帝の次男・耶律賢に近づけば謀反の罪に問われる。しかし暗君の耶律璟(やりつけい)を除かぬ限り、遼に平穏はない。蕭思温は結局、民のために耶律賢に会うことを決断する。射柳大会では熾烈な戦いが繰り広げられ、意外な人物が優勝を果たす。一方、耶律磨魯古(やりつまろこ)の名で大会に参加した蕭燕燕は刺客呼ばわりされ、耶律璟の怒りを買う。蕭思温や蕭胡輦(しょうこれん)が御前で必死に許しを乞うが、耶律璟は興奮して刀を抜き払い…。
第3話 意中の人
父・耶律李胡(やりつりこ)の指示で蕭家の娘に近づこうともくろむ耶律喜隠(やりつきいん)は長女の蕭胡輦に言い寄るも、すげなく断られ、次女の蕭烏骨里(しょううこつり)を狙う。蕭烏骨里は喜隠の甘い言葉に乗せられ、すっかり夢中になってしまった。その頃、蕭燕燕は韓徳譲に組手の勝負を挑んでいた。激しく組み合う2人だが、またしても意外な結果に。翌日、耶律賢は韓徳譲の協力で蕭思温を訪ね、遼の未来について語り合う。だが異変を察知した耶律罨撒葛(やりつえんさつかつ)が2人の元へ近づいていた。
第4話
捺鉢(なば)からの帰途、刺客集団が皇族一行を襲う。耶律賢は耶律璟をかばい傷を負うが、身に着けていた蕭燕燕の玉佩(ぎょくはい)が盾となり、重傷を免れた。皇帝暗殺に失敗した耶律李胡は追い詰められ、息子の耶律喜隠が耶律屋質(やりつおくしつ)に支援を請うが相手にされず四面楚歌の状態に。一方、韓徳譲と耶律賢は李胡父子が捕らえられるよう根回しを謀るため密談をするが、話はやがて互いの想い人のことに及ぶ。ついに李胡父子は軟禁状態に置かれ、それを聞いた蕭烏骨里は…。
第5話 密書の行方
蕭烏骨里は耶律喜隠に通関令牌を渡したことから、謀反に関わったと疑われ、耶律李胡らとともに投獄されてしまう。死を免れぬ李胡は多くの重臣を誣告(ぶこく)。それらのことが記された密書が耶律璟に読まれれば、蕭思温らの命はない。蕭燕燕は密書を奪うため、烏雲蓋雪を駆ってあとを追う。その頃、蕭胡輦は蕭烏骨里を救うよう、耶律罨撒葛に陳情していた。蕭胡輦の望みなら必ず叶えると約束した耶律罨撒葛だが、その返答は意外なものだった。
第6話 草原の告白
蕭燕燕は韓徳譲と李思(りし)の縁談話を偶然聞いてしまい、幽州の街へ飛び出すと悪名高い国医・肖古(しょうこ)にぶつかってしまう。蕭燕燕は捕らえようとする肖古から逃れ、反対に肖古の屋敷に忍び込んで気絶させると、衣と覆面を身に着ける。国医に成り済まして参内し、皇帝宛ての密書を盗もうと考えたのだ。その道中、自分を捜す韓徳譲を見かけた蕭燕燕は、配下を通じて耳飾りを渡す。蕭燕燕の考えを悟った韓徳譲は急ぎ蕭思温と韓匡嗣(かんきょうし)に知らせ、自らも参内する。
第7話 揺らぐ兄弟の絆
耶律李胡の謀反は大勢を死に追いやり、耶律李胡も毒酒を飲んで命を絶った。しかし耶律罨撒葛は蕭烏骨里と耶律喜隠を釈放し、耶律璟には2人のことを伏せる。蕭烏骨里が耶律喜隠に嫁げば、蕭思温は自分と蕭胡輦の婚姻を認めざるを得ないというもくろみからだった。韓徳譲と耶律賢は女里(じょり)を使って耶律璟にそのことを吹き込み、耶律璟と耶律罨撒葛を反目させようと考える。その頃、燕(えん)王に封じられた韓匡嗣の屋敷では祝宴の準備が進められていた。
第8話 揺るぎなき同盟
韓匡嗣の祝宴が行われた日、蕭胡輦は燕王府には行かず、太平王府へ向かった。蕭家をかばったために耶律璟から罰を受けた耶律罨撒葛を見舞うためである。再び耶律罨撒葛から愛を告げられた蕭胡輦は、真心で接しなければ真心は得られないと返答した。その頃、耶律喜隠は蕭烏骨里を娶るべく、一族の大長老・耶律屋質に口添えを頼んでいた。蕭家は耶律喜隠と耶律罨撒葛から婚姻の申し出を受けるも、蕭思温には簡単に承諾できない事情があった。
第9話 姉妹たちの夜
蕭胡輦は蕭家と妹・烏骨里のため、耶律罨撒葛に嫁ぐことを決意した。その理由を知った蕭燕燕は蕭烏骨里の部屋に乗り込んで自分勝手だと非難し、つかみ合い寸前となる。憤る気持ちを抱えて燕王府を訪れた蕭燕燕は韓徳譲に諭されたのち再び蕭烏骨里と向き合い、笑顔と涙で和解する。妹たちの様子を見に来た蕭胡輦は2人の寝顔を確かめると自分も横になり、三姉妹は手をつないで眠った。その頃、蕭思温は娘たちに託す思いをしたためていた。
第10話 君主の道
蕭燕燕は草原で耶律賢と語り合い、その人柄を見込んで「次期皇帝にふさわしい」と伝え、かつて父に教わった君主の道を説く。2人は打ち解け友となった。一方、蕭胡輦は婚姻の翌日、夫となった耶律罨撒葛とともに参内し、耶律璟や義弟・耶律敵烈(やりつてきれつ)一家たちとの家族の宴に参列する。耶律喜隠に嫁いだ蕭烏骨里もまた、婚姻の報告のため夫婦で参内するが、耶律璟は2人が開皇殿に入ることを認めず、外で長時間立たせたまま待たせるのだった。
第11話 確かめ合う想い
酒楼で語り合ううち、耶律賢は蕭燕燕に想い人がいることを知る。しかし彼女の強い意志と見識に強く惹かれていくのだった。一方、李思に嫉妬する蕭燕燕の姿を見た韓徳譲は、婚姻を申し込もうと決意を固める。后族(こうぞく)を利用しようと考える耶律賢の弟・耶律只没(やりつしぼつ)も同じく蕭燕燕への求婚を決めるが、耶律璟の侍女・安只(あんし)との仲を清算できずにいた。そんな時、太平王府で耶律罨撒葛の主催する宴が開かれ、蕭家の三姉妹は久々に顔を合わせる。
第12話 怒りと憎しみ
蕭燕燕を危険に巻き込むことを恐れる韓徳譲は、ずっと求婚をためらっていたが、ついに決意を固め、蕭家に婚姻を申し込む。くしくも、ほぼ時を同じくして耶律磨魯古も求婚にやって来た。板挟みとなった蕭思温は蕭燕燕自身に相手を選ばせることにする。耶律只没は安只とひそかに情を通じる一方で、皇族の重鎮を抱き込もうと積極的に動いていた。帝位を奪還するためである。だが、そのことが耶律璟の耳に入ってしまい…。
第13話 果たされた約束
耶律只没(やりつしぼつ)が宮刑に処されたと聞き、蕭燕燕(しょうえんえん)は屋敷を飛び出した。その頃、耶律賢(やりつけん)は安只(あんし)を呼び、誰の差し金で弟を陥れたのかと問い詰める。真剣に愛し合っていると訴えておびえる安只に耶律賢は耶律只没の看病を命じ、もし死なせればともに葬ると脅した。夜も更けたが蕭燕燕と会う約束を果たそうと耶律賢は禁を破り皇宮を出る。酒楼に着くと、意外にもそこには蕭燕燕がいた。2人は酒を飲み、酔って不安を口にする耶律賢を蕭燕燕は優しく慰めて寄り添った。
第14話 皇后の座
耶律喜隠(やりつきいん)は耶律璟(やりつけい)たちを警戒し、蕭烏骨里(しょううこりつ)が懐妊したことを伏せるよう命じるが、蕭烏骨里と仲のよい蕭燕燕には教えてもいいと許す。姉の懐妊を聞き喜ぶ蕭燕燕に蕭烏骨里は太平王府の蕭胡輦(しょうこれん)には言わぬようにと釘を刺した。燕王府を訪ねた蕭燕燕は韓徳譲(かんとくじょう)が書いた新帝への諫言文を目にする。韓徳譲は蕭燕燕に、耶律賢こそ皇帝にふさわしいと語り、万が一のことを考えて婚姻の延期をほのめかすが、蕭燕燕は彼の口を封じて「いくらでも待つ」と伝える。
第15話
耶律賢は耶律罨撒葛(やりつえんさつかつ)が置いた監視役を懐柔し、黒山(こくざん)の行宮にいる耶律璟を討つべく動き始める。決戦の時が近づいていることを韓徳譲から伝えられた蕭燕燕は、2人に協力することを約束する。狩り場で暴虐を働く耶律璟に反感を覚える従者たちに、耶律賢の使者が接触。ついに耶律璟は討たれるのだった。作戦の成功を知った耶律賢は黒山へ向かうが、城門で阻まれてしまう。また耶律罨撒葛、耶律喜隠らも黒山を目指していた。
第16話 新帝誕生
耶律璟の暗殺を画策した耶律賢は、いち早く黒山に駆けつけて即位を宣言した。耶律罨撒葛も異変を察知するや、直ちに手勢を率いて巻き返しを図るが、時すでに遅し。一夜にして皇弟から逆賊へと転落してしまう。納得できない耶律罨撒葛は帝位を奪還するため、父と兄の斡魯朶(オルド)の兵を集めようとするが、それも耶律休哥(やりつきゅうか)に阻止される。一方、蕭胡輦は父が自分の娘婿を見捨て、耶律賢の擁立に動いたことを悟り、愕然とするのだった。
第17話 永遠の誓い
蕭燕燕の嫁入り道具の中に皇妃の冠を見つけた蕭胡輦は父の真意を問いただす。しかし父の手元に届いていたのは耶律賢が蕭燕燕を貴妃として娶るという聖旨であった。韓徳譲は聖旨を撤回させようと耶律賢の元を訪れるが、かつて自分が口にした「女子より国家を選ぶ」という言葉を返されてしまう。追い詰められた蕭燕燕と韓徳譲は国外で密かに暮らそうと馬で都を後にする。かつて想いを確かめ合った燕雲台で永遠の愛を誓うが…。
第18話 愛と使命
国外に逃げようとした蕭燕燕と韓徳譲は蕭胡輦に見つかり、その配下に行く手を阻まれる。2人は必死に抵抗するが、つないでいた手は離され韓徳譲はひん死の重傷を負う。蕭燕燕は閉じ込められた自室から韓徳譲に会いたいと訴えるが蕭胡輦は応えてやれない。蕭燕燕と韓徳譲の行方を案じていた耶律賢は2人が見つかり安心するが、韓徳譲が重傷だと聞き燕王府に侍医を送る。ようやく目覚めた韓徳譲は、耶律賢の侍医に「うせろ」と言い放つのだった。
第19話 あなたがくれた名
韓徳譲は蕭燕燕との愛と家族の使命の間で苦悩する。父・韓匡嗣(かんきょうし)は生きて前を向き、遠くから互いを見守ることも1つの愛だと説いた。蕭燕燕は絶食し反抗を続けていたが、蕭胡輦から韓徳譲が来ると聞かされ、やっと食事を口にした。その夜、韓徳譲は蕭燕燕を訪ね、2人は最後のひと時を過ごす。ともに死にたいと訴える蕭燕燕に韓徳譲は2人そろいの鈴を贈り、いつどこにいても、鈴を鳴らして蕭燕燕を想うと伝え、かつて約束した漢名を蕭燕燕の手に記す。
第20話 民への思い
貴妃として耶律賢に嫁いだ蕭燕燕だが、心を開くことはなく、2人の間は冷えきったままだった。しかし改革を進めるためには皇后が必要であるという耶律賢の言葉に、蕭燕燕はかつて韓徳譲から聞いた述律(じゅつりつ)太后の話を思い出す。そんな時、耶律賢が倒れ病床にかけつけた蕭燕燕は耶律賢の孤独を知る。一方、傷心のまま旅に出た韓徳譲は、草原で暮らす部族の中にも虐げられている民がいることを知り、改革の必要性を実感していた。
第21話 新しい
耶律賢は即位したとはいえ、反撃の機会を狙う耶律罨撒葛、野心を隠さぬ耶律喜隠、二心を抱く叔父に囲まれ、常に危険と隣り合わせだった。己が最も信頼する妻の蕭燕燕とは相変わらず不仲だったが、改革について鋭い意見を述べる蕭燕燕を見て喜びを隠せない。一方、実権を奪われた高勲(こうくん)と女里(じょり)は、耶律賢に重用されている蕭思温(しょうしおん)に嫉妬する。女里は蕭思温と対等に争うべく、姪の喜哥(きか)を妃(きさき)にと願い出ると、耶律賢は意外にも、あっさり聞き入れるのだった。
第22話 草原に生まれる命
韓徳譲は日連部の奴婢たちに親身に寄り添い、奴婢たちから“騰里(テングリ)の使者”と呼ばれて感謝されるが、長老の脱里(だつり)は苦々しく思う。日連部の族長が病死すると、奴婢たちは殉葬者として連れ去られた。韓徳譲は彼らを救出するため、仲たがいした友の阿孛合(あぼつごう)が新族長となる継承式の場へと急ぐ。蕭燕燕は耶律賢とともに亡き懐節(かいせつ)皇后の陵墓を参った。いまだ耶律賢を認めはしないものの、懐節皇后と世宗(せいそう)皇帝は理想の夫婦だと敬意を表する。
第23話 人生の選択
蕭燕燕は耶律賢が韓徳譲の様子を探っていると知り、激しく批判。耶律賢は過ちを認めて蕭燕燕が後宮を離れることを許可し、失意のまま即位後初の南北大臣会議へ臨むことに。一方、耶律喜隠は生まれたばかりの我が子を皇帝夫妻の養子にして帝位を継がせようと蕭烏骨里に持ちかけるが、自分で帝位を奪えと激怒されたため、耶律罨撒葛を討伐して手柄を立てようともくろむ。そして迎えた会議で耶律喜隠が耶律罨撒葛討伐を提案すると賛否が分かれ場は騒然となる。
第24話 迫りくる陰謀
己の運命を受け入れ、ついに耶律賢に心を開いた蕭燕燕。夏捺鉢(なば)を終えて上京に戻ったあと、皇后に立てられた。韓徳譲は、贅を尽くした立后の儀だったと耳にして物思いに沈む。程なくして蕭燕燕は懐妊し、歓喜した耶律賢は盛大に祝うことに。一方、遼の分裂の危機を3度も解決してきた耶律屋質(やりつおくしつ)が皇族一同に見守られながら息を引き取った。高勲と女里は、ある者に告発されたことから、蕭思温の暗殺計画を実行に移すことにする。
第25話 失意の再会
耶律賢(やりつけん)と蕭思温(しょうしおん)は狩りへの道中、刺客集団の襲撃に遭う。標的は蕭思温だったが、次に現れた1群は耶律賢を狙った。耶律賢は女里(じょり)に守られて事なきを得るが、蕭思温は命を落としてしまう。絶望した耶律賢は、それでも身重の皇后・蕭燕燕(しょうえんえん)の前では事実を隠して気丈に振る舞うのだった。蕭思温の遺体は蕭燕燕の知らぬ間に魏府へ帰還し、蕭胡輦(しょうこれん)や蕭烏骨里(しょううこつり)たちは悲しみに暮れる。上京(じょうけい)を離れて旅を続けていた韓徳譲(かんとくじょう)の耳にも蕭思温殺害の知らせが届く。
第26話 立ち上がる皇后
韓徳譲は蕭思温暗殺の調べを進め、刺客が2派いたことや、致命傷を与えたのはさらに別の者だと突き止めるが真相解明には至らない。暗殺に関わった者たちも、ひそかに様子をうかがっていた。朝堂では空いた職位の後任を巡り、朝臣たちが紛糾していた。そのさなか、心労が重なった耶律賢は倒れてしまう。自暴自棄になる耶律賢を蕭燕燕が叱咤激励すると耶律賢は蕭燕燕に朝政のことを相談し始め、自分を支える摂政を求めていると話す。
第27話 狙われた皇后
韓徳譲が流した偽りの噂により、蕭海只(しょうかいし)と蕭海里(しょうかいり)は保身のために動き始める。しかし、女里と高勲(こうくん)は蕭思温殺害の首謀者として2人を告発。韓徳譲と耶律賢は、真の首謀者がいることを承知のうえで、 蕭海只と蕭海里の処刑を決める。摂政の座を奪われたと蕭燕燕を逆恨みする耶律喜隠(やりつきいん)は、処刑のための矢を射る台に細工を施し、身重の蕭燕燕を陥れようとしていた。そんな時、蕭胡輦のもとへ耶律罨撒葛(やりつえんさつかつ)からの文が届く。
第28話 新たなる戦い
耶律賢は、耶律喜隠や女里、高勲という勢力を抑え込むために耶律罨撒葛を呼び戻すことにした。耶律罨撒葛は耶律賢の思惑に気づいていたが、あえて耶律喜隠たちの同盟を壊すことにする。その頃、安只(あんし)は、帝位争いから距離を置く夫の耶律只没(やりつしぼつ)を見限り、耶律罨撒葛に取り入ろうとしていた。一方、蕭家の三姉妹は亡き父の跡継ぎとして蕭継先(しょうけいせん)を選び、墓前に報告。その後、蕭燕燕は無事に皇子を産むが、皆の標的になることを恐れていた。
第29話 摂政の座
耶律賢が倒れ1人で朝議に臨むことになった蕭燕燕は、腹心たちを集めて摂政の座を狙う耶律喜隠を抑えるべく話し合いを行う。耶律喜隠の性格を読んだ韓徳譲が出したのは驚くべき策であった。一方、耶律喜隠が動くことを見越した耶律罨撒葛も、 蕭燕燕と耶律喜隠の対立を深めようと策を講じていた。そして朝議の日、蕭燕燕は耶律喜隠こそが朝政を担うにふさわしいと宣言する。有頂天になった耶律喜隠は祝宴を開くが、そこに現れたのは…。
第30話 流言飛語
蕭思温殺害の罪に問われた耶律喜隠が軟禁されると、夫の無実を信じる蕭烏骨里は韓徳譲に助けを求める。耶律喜隠と会った韓徳譲は、やはり耶律罨撒葛が黒幕だと確信するが、証拠がつかめず手を出せない。蕭燕燕も蕭烏骨里を気遣うが手助けはせず、三姉妹は一心同体という誓いに背いたことを悲しむのだった。一方、耶律罨撒葛は蕭蒲哥(しょうほか)を脅し、蕭燕燕が産んだ皇子に危害を加えようと企んでいた。さらに蕭胡輦が身ごもると耶律罨撒葛は次の手に打って出る。
第31話 連環の計
韓匡嗣(かんきょうし)は耶律賢に息子である韓徳譲の婚姻を促され妻に相談する。韓夫人は耶律賢の身勝手さに立腹するが、息子が伴侶を得ることを願っていた。韓徳譲が蕭思温暗殺事件の調査を進めるうちに、耶律罨撒葛が仕掛けた複雑な罠が見えてきたが、朝廷で勢いを取り戻した耶律罨撒葛には容易に手が出せず、その間にも耶律罨撒葛の策略で韓徳譲と蕭燕燕の醜聞が広がっていく。そんな中、韓夫人に親のために妻を迎えろと言われ悩む韓徳譲のもとを李思(りし)が訪ねる。
第32話 亀裂
耶律罨撒葛に脅され、蕭蒲哥は皇子・文殊奴(もんじゅど)に毒薬を飲ませて呪いの儀式を行っていた。その事実を知った蕭胡輦は、我が子に天罰が下ることを恐れないのかと耶律罨撒葛をなじる。一方、口封じのために殺されかけた蕭蒲哥は、死の床で耶律賢と2人きりで話す機会を得て、ある告白をするのだった。蕭胡輦が屋敷に軟禁されていることを知り、救出のために兵を出そうとする蕭燕燕。しかしその背後で新たな戦いが幕を開けようとしていた。
第33話 愛と憎しみ
ついに謀反を起こした耶律罨撒葛。妻の蕭胡輦に、己と耶律賢のどちらの勝利を望むかと問いかけたのち、皇宮へと向かう。その頃、開皇(かいこう)殿では皇子の快癒を祝う宴が開かれていた。安只が献上した酒を飲んだ耶律賢と蕭燕燕は毒に侵されてしまう。すると安只はあっさり己の所業だと認め、夫である耶律只没の前で権勢欲をむき出しにする。そして耶律罨撒葛が開皇殿に乗り込み、玉座を奪おうとした矢先、思わぬ人物が現れるのだった。
第34話 去りゆく人々
草原で耶律罨撒葛を弔う蕭胡輦の前に蕭燕燕が現れ、新たな伴侶を得て子を持つよう説くが、恨みを捨てきれない蕭胡輦は自分のためだけに生きると北方へ去る。韓徳譲もまた、南方を守ると言い去っていった。妻に裏切られた耶律只没も仏に仕えるため兄の耶律賢に別れを告げる。蕭燕燕は開皇門から皆が去った上京を臨み、むなしさを感じていた。そして11年の月日が流れ、皇宮では皇帝の再生儀が行われようとしていた。
第35話 皇后の親征
耶律敵烈(やりつてきれつ)が独断で北漢救援へ向かったが全滅。幽(ゆう)州の守りは薄くなり、増兵要請の文も敵に阻まれて皇帝に届かず、窮地に陥った韓徳譲は残る将兵たちと幽州死守に命を懸けるが限界が近づいていた。攻撃がやんだ夜、韓徳譲は愛馬に蕭燕燕への文を託し涙で見送る。春捺鉢(なば)の地、黒山(こくざん)にいた蕭燕燕はいるはずのない烏雲蓋雪(ううんがいせつ)の姿を目にし驚くが、韓徳譲からの文を受け取ると急ぎ耶律賢らと協議。耶律賢に代わり親征すると宣言する。
第36話 改革への扉
韓徳譲が記した改革についての奏状を読んだ蕭燕燕は、幽州から上京へ戻って志を果たすよう提案するが、韓徳譲は即答しようとしなかった。2人の会話を聞き、複雑な思いを抱いた耶律賢は蕭燕燕の真意を問いただす。蕭燕燕の国を思う心に胸を打たれた耶律賢は韓徳譲のもとを訪ね、自分はまだ韓徳譲にとって明君かと尋ねるのだった。そんな時、南朝軍の追撃を命じられた韓徳譲の父・韓匡嗣が、不慣れな戦に出ることになる。
第37話 妻の不安
耶律賢(やりつけん)は韓匡嗣(かんきょうし)の処分を巡り、蕭燕燕(しょうえんえん)と激しく口論したが、率直に非を認めて2人は和解する。その後、新政が公表された。皇族や部族の勢力を弱める一方、貧家の子弟でも仕官できるように科挙を行うという画期的な内容である。感無量の耶律賢だったが、その体は病にむしばまれ、侍医も手の施しようがなかった。その事実を蕭燕燕に伏せて捺鉢(なば)へと旅立った耶律賢は、美しい琵琶の音色にいざなわれ、ある出会いを果たす。
第38話 悲しき別れ
耶律賢の余命がいくばくもないと知った蕭燕燕は、残された日々を穏やかに過ごさせようと決意する。一方、韓徳譲(かんとくじょう)の妻・李思(りし)は夫が陰謀に巻き込まれることを恐れ、参内のたびに仮病を使い夫を呼び戻していた。そんな時、蕭燕燕の産んだ子の父が韓徳譲であるとの噂が広まる。噂の出どころが李思であるとの知らせを受けた蕭燕燕は、真偽を確かめようと動く。そして“皇后からのねぎらい”として屋敷に届けられた美酒を飲んだ李思は…。
第39話 孤立無援
李思の霊前で韓徳譲に冷ややかな態度を取られた蕭燕燕は自分が疑われていると思い衝撃を受け、さらに耶律賢のそばに小妃同様の待遇を受ける女子がいることを知り倒れる。李思は蕭燕燕に嫉妬されて殺されたという新たな噂も流れ、蕭燕燕は自分の名誉にかけて上京(じょうけい)を大捜索するが皇族たちから反発される。耶律賢に諭されても蕭燕燕は突っぱねて孤軍奮闘するのだった。一方、蕭燕燕を案じる蕭胡輦(しょうこれん)の調べで噂の出どころが趙王府であることが判明する。
第40話 遼の未来
蕭燕燕の強引な捜査に、朝堂では皇族たちが反発し紛糾していた。そこへ蕭胡輦が青哥(せいか)の双子の姉、蘭哥(らんか)を連れて現れ、真相は一気に明らかとなる。黒幕の耶律喜隠(やりつきいん)が捕らえられ、蕭烏骨里(しょううこつり)と息子の留礼寿(りゅうれいじゅ)は蕭燕燕の居所の前に跪き許しを請うが、蕭燕燕は姿も見せなかった。蕭胡輦の取りなしで命は助かり流刑となった耶律喜隠は留礼寿とともにひそかに再起を誓う。ある日、蕭燕燕は蕭烏骨里から耶律賢が侍らせている女子が懐妊したと聞かされる。
第41話 願いを託して
自らの死期が近いことを悟った耶律賢は間近に迫った秋捺鉢を利用し、ある策に打って出ることを決意する。耶律賢や蕭燕燕らが上京を離れるや動きだしたのは留礼寿であった。上京を押さえ、耶律喜隠を即位させようと挙兵する留礼寿だったが、留守を託された耶律斜軫(やりつしゃしん)の兵に包囲されてしまう。一方、焦山(しょうざん)の行宮に移った耶律賢は、長子である耶律隆緒(やりつりゅうしょ)を次期皇帝につけるという詔を下す。
第42話 姉妹の反目
渤海(ぼっかい)妃・玉簫(ぎょくしょう)は赤子の薬師奴(やくしど)を残し、耶律賢の後を追って自害する。一方、愛する夫と息子を失った蕭烏骨里は怒りが消えない。蕭胡輦の説得むなしく、蕭燕燕への復讐を決意する。そして、耶律隆緒の即位に公然と反対した耶律道隠(やりつどういん)を訪ね、謀反を持ちかけるが、承諾は得られなかった。屋敷に戻った蕭烏骨里を待っていたのは、夷蘭(いらん)。夷蘭もまた夫と息子の敵討ちを誓っていたのである。
第43話 武運尽きる時
蕭燕燕は夫を亡くした蕭烏骨里を訪ね、せめてもの慰めに蕭烏骨里の義父・耶律李胡(やりつりこ)を皇帝に追封した。礼を述べる蕭烏骨里だが、蕭燕燕が去ると、さらに恨みを募らせるのだった。ある日、南朝軍北伐の急報が届く。皇族たちは開戦に反対し燕雲十六州返還も辞さないと言い出すが、蕭燕燕は断固として燕雲十六州を守ると宣言する。党項の李継遷(りけいせん)は南朝に背き、遼に救いを求めた。蕭燕燕は李継遷に貴族の娘を嫁がせ、救援の名目にしようと考える。
第44話 代償を支払う時
蕭烏骨里は夷蘭から贈られた酒壺を手に、夫と息子の霊前で再び家族が集うことを誓う。そして自らの誕生祝いと称した宴の準備を着々と進めるが、その様子を韓徳譲の配下の間者が探っていた。その頃、耶律道隠は病を装い屋敷に籠もりながら、領地の兵を待機させ、蕭烏骨里の出方を待っていた。迎えた宴の日、蕭燕燕は蕭烏骨里の招待を喜んで受け趙王府へ。出迎えた蕭烏骨里と手を取り合いながら、にこやかに屋敷へと入っていくが…。
第45話 本当の自分
夷蘭が死罪となり、3年が過ぎた。蕭燕燕は姉たちとの別離に心を痛めながら、韓徳譲の補佐のもと政務に励んでいた。そんな時、朝廷での漢人台頭に耶律虎古(やりつここ)ら皇族たちが反発。蕭燕燕は宮中で韓徳譲の誕生日を祝う宴を開き、権威を示すことにする。一方、北方を守る蕭胡輦は、1人向かった湖畔で馬飼いの青年・撻覧阿鉢(たつらんあはつ)と出会う。蕭胡輦を少女のように扱い、自由奔放に生きる撻覧阿鉢に惹かれた蕭胡輦は、彼にある提案をする。
第46話 果たされた誓い
蕭燕燕は耶律隆緒の想いを知り、蕭菩薩哥(しょうぼさつか)を娶らせることにした。蕭菩薩哥は韓徳譲の姪だったため、耶律虎古は韓徳譲への嫉妬を一層、募らせる。そして朝議の場で蕭燕燕の隠居を要求したが、大于越である耶律休哥(やりつきゅうか)にたしなめられたうえ、暴言を吐いた耶律磨魯古(やりつまろこ)が投獄されてしまう。憤懣やるかたない耶律虎古は翌日、蕭燕燕を襲撃。だが、韓徳譲が身を挺して蕭燕燕を守り耶律虎古を成敗する。蕭燕燕は、負傷した韓徳譲から本心を打ち明けられて…。
第47話 太后の悲願
北方の可敦(かとん)城を訪れた蕭燕燕は、蕭胡輦に軍務を退き上京に戻るよう勧める。蕭燕燕を敵視する撻覧阿鉢は反発を覚えるが、姉妹の情にほだされた蕭胡輦は故郷へ戻ることを決意するのだった。さらに蕭燕燕は宋(そう)の新帝即位を機に、蕭胡輦の兵を借りて南方へ攻め込むことを決意。しかしこれには天下の大局を見据えた深い狙いがあった。澶(せん)州を巡って戦は膠着状態となるが、蕭燕燕は宋に使者を送り、ある条件を出して和睦を申し入れる。
第48話 (最終話) 国土と結ばれた運命
兵権返上を求められて憤る蕭胡輦をなだめようと蕭燕燕が苦心するさなか、撻覧阿鉢が耶律隆緒を襲った。傷は浅かったが皇帝を襲った罪は重く、撻覧阿鉢は拷問の末、斬首されることに。蕭胡輦は必死に命乞いをするが耶律隆緒に冷たく拒まれ、ついに牢を破り撻覧阿鉢を救出、一路可敦城へと戻る。だが朝廷の大軍は容赦なく攻め込み、蕭胡輦を守ろうとして斬られた撻覧阿鉢は「強く生きてくれ」と胡輦に言い残して息を引き取るのだった。