あらすじ
幼いころに両親を亡くし、祖母・太皇太后の庇護のもと宮廷で育った慕安(ぼあん)国の嘉南(かなん)郡主・姜保寧(きょうほねい)は、誰もが認める美貌の姫君。飽くなき探究心と冴えた頭脳の持ち主で、宮殿を抜けだして発明品を競う大会に参加する。一方、地方総管の息子・李謙(りけん)は、優勝者だけが閲覧できる書物を目当てに参加し、身分を隠した姜保寧と出会う。その後、李謙は皇太后の侍衛に抜擢され、宮廷内で再会を果たした2人は、互いの目的のために手を組むことに。宮廷内の陰謀をともにぐり抜け、徐々に惹かれ合った2人は、ついに身分差を越えて結婚! 果たして、生涯の愛を誓い合った彼らを待ち受ける運命とはー。
第1話 つながれた絆
慕安(ぼあん)国には、陰謀渦巻く皇宮でも明るさを失わない籠の鳥がいる。その名は嘉南(かなん)郡主・姜保寧(きょうほねい)。お飾りの皇帝から皇后に望まれ、高貴な身分に伴う義務を果たそうとしつつも、打算的な婚姻を憂いていた。そんなある日、市井で毎年開かれる機巧(きこう)大会に出ようと、からくりを作り上げて皇宮を抜け出す。大会に参加するために必要な“参加牌”を手に入れようと街に出たところ、参加牌を売ろうとしている男に出会い、購入金額の交渉をしていると…。
第2話 婚姻を白紙に戻すには
姜保寧たちは趙嘯(ちょうしょう)のおかげで落ちた穴から抜け出すことができた。けがをした姜保寧は最終関門を棄権したかと思いきや、下山したその足でお題となった“水を通さない素材”を機巧閣の閣主(かくしゅ)に届けたことで首位となり、賞品の「神鬼(しんき)兵器図」を手に入れていた。首位になった姜保寧を祝い、一緒に食事をする趙嘯は自分が大会に出た目的は南岷(なんびん)水軍の帆船を改良するためだったと明かし、彼女に船の改良を考えてもらえないかと頼む。
第3話 再会は皇宮で
皇宮で母親の形見の石をなくした趙嘯。声をかけた姜保寧は改めて郡主と名乗り、烏が巣に持ち帰っていた石を見つけてあげた。木から落ちたところを李謙(りけん)に受け止められ、市井で出会った3人は、くしくも皇宮で再会を果たす。姜保寧は本物の「神鬼兵器図」と引き換えに身ごもった宮女の捜索を李謙に依頼し、ついに居場所を突き止める。時を同じくして、皇太后は実権を皇帝に返上する前に、自らの足場を固めようと布石を打っていた。
第4話 皇帝の思惑
趙翌(ちょうよく)が鎮(ちん)国公の配下の厳華年(げんかねん)から、ひそかに国政を学んでいると知った姜保寧。さらに、機巧大会を主催した目的が潜水艇の製作だと偶然に気づき、趙翌と鎮国公が皇太后の誕辰(たんしん)の宴の際に親政奪還を計画していると察する。しかし、親政奪還に成功しても失敗しても、姜家が危険な立場に立つのは間違いない。鎮国公の動きから親政奪還の意図を読み取った李謙は「神鬼兵器図」を手に入れるため、投名(とうめい)状を用意して姜保寧に計画への協力を申し出る。
第5話 皇后
姜保寧の誕辰に皇后冊封(さくほう)の懿旨(いし)が発布される。運命の日が迫る中、意外にも姜保寧は余裕しゃくしゃくな態度。韓同心(かんどうしん)の気性を逆手に取り、わざと濡れ衣を着せて自分が罰を受けるようにしむけた。結果、ひとまず皇帝との婚姻を回避し、思過(しか)堂で夜を明かすことに。そこに現れた李謙から熱々の長寿麺を差し出される。宮中の鐘はすでに子時(ねのとき)を告げ、姜保寧は誕辰を迎えていた。この日に亡くなった両親を思って涙した姜保寧は、李謙の優しさに胸を打たれるのだった。
第6話 幼なじみの女医
皇太后から罰を受けた翌日、太皇太后は好物を用意して姜保寧を慰める。また体が弱い姜保寧のため、錦渓(きんけい)から来たという都で評判の女医・高妙容(こうみょうよう)を皇宮に召した。姜保寧を診た高妙容は膏(こう)薬のにおいから、自分が作った膏薬を李謙が渡した友達とは姜保寧だったことを知る。診療の褒美の銀子を断り、代わりに李謙の引き立てを願い出る高妙容。2人は許婚(いいなずけ)なのかと尋ねられ、ただ恥じらってほほ笑む高妙容の姿に姜保寧は気分を害し、李謙に膏薬と金毬(きんきゅう)を突き返す
第7話
皇太后が冊封した新たな皇后は韓同心だった。動揺を隠せない趙翌を尻目に、ほくそ笑む姜保寧。姜家を味方につけた趙翌は玉璽(ぎょくじ)の奪還に成功するが、第一皇子の誕生が決定打となり、姜保寧との婚姻はとうとう白紙に戻された。皇太后は隠居を決めたものの、皇子を手元に置き、後宮の主の座を手放そうとしない。太皇太后は姜保寧の夫候補として趙嘯に目をつける。万灯(ばんとう)節の夜、無人の李家を訪れて肩を落とす姜保寧は、にぎわう街で李謙と邂逅する。
第8話 明暗を分かつ縁談
姜保寧は都の東で李謙と落ち合うと、その目の前で投名状を燃やした。そこで「神鬼兵器図」の在りかと馬の乗り方を教えてもらう。曹宣(そうせん)は皇太后の隠居を受けて苦しい立場に追いやられていた。誰もが遠巻きにする中、気にかける白愫(はくそ)。想いをぶつけるが、同情されたくない曹宣にきっぱりと拒まれてしまう。途方に暮れる白愫を案じ、姜保寧が機転を利かせて仲立ち人となった。そうこうしているうちに趙嘯との縁談は進み、李謙の祝福を受けることに。
第9話 炎の中の告白
李謙は炎の中から姜保寧を救い出したが、趙嘯が助けに来たのを見ると姜保寧を置いてその場を去った。気を失った郡主を連れ戻した趙嘯こそが郡主の恩人だと思い込んだ太皇太后は、ますます姜保寧と趙嘯の婚姻に乗り気となる。しかし、慕安国を訪れた永慶(えいけい)国の王子・慶泰(けいたい)が歓迎の宴の席で嘉南郡主を娶(めと)りたいと言い出した。すでに趙嘯との婚姻が決まっているものの、まだ懿旨が下されていないと知った慶泰は、姜保寧との婚姻を賭けて趙嘯に腕比べを挑む。
第10話 旅立ちの裏で
思い切って李謙に告白するも、見事に玉砕した姜保寧。失意の末、慶泰に嫁ぐことを涙ながらに決意する。その後、婚姻の裏に潜む陰謀を察知した李謙から引き止められるが決意は揺るがず、両国を結ぶ架け橋となるべく予定どおり永慶国を目指す。自分のやり方で守ると告げた李謙は花嫁行列を追い、退路を断たれた姜保寧の救出に成功する。追っ手から逃れるため荒野を行く2人。すべての責任を負う覚悟でいる李謙の姿に、姜保寧の心は再び熱くなり…。
第11話 けがの功名
2人は無人の小屋で一夜を明かし、ようやく宿にたどり着くも、姜保寧は李謙に眠り薬を飲ませ、1人で逃げてしまう。李謙に累が及ぶのを避けるためだったが、山の中で再び慶泰たちに遭遇し、危機に瀕していたところをまたもや李謙に救われる。一方、太皇太后は急報により、慶泰にだまされていたこと、姜保寧が李謙に連れ去られたことを知る。太皇太后は李謙のもくろみを疑うが、白愫から2人の間には強い絆があると聞かされ、妙案を思いつく。
第12話 晴れの日
南岷に大きすぎる勢力を持たせないためにも、先帝に対する不孝のそしりを受けないためにも、姜保寧を李謙に嫁がせるべきだと汪幾道(おうきどう)は進言するが、趙翌は永慶国との縁談の犠牲を口実に、断固として姜保寧を李謙に嫁がせまいとする。しかし、太皇太后の説得にはなすすべもなく、姜保寧は晴れて李家に嫁ぐことになった。しかし、李謙を慕う高妙容はこの婚姻を喜ばず、李家の夫人・何翠花(かすいか)は李長青(りちょうせい)が婚姻に大金をつぎ込むのを快く思っていなかった。
第13話 離れ離れの若夫婦
めでたく李家に嫁いだ姜保寧(きょうほねい)だったが、金に汚い何翠花(かすいか)との間に溝が生まれ、嫉妬に燃える高妙容(こうみょうよう)から敵視され、趙嘯(ちょうしょう)の策略によって李謙(りけん)と引き離され、輝かしいはずの新天地には早くも暗雲が立ち込めていた。勅命を受けて軍営に赴任した李謙。たとえ体は離れていても、心は常にそばにいる。虎賁(こほん)営の兵から盗賊上がりと見下されるが、姜保寧の髪が入った香り袋を胸に、陰湿ないじめに耐える。結果、戦場で危険な先鋒を務める玄甲(げんこう)営へ送られることに。
第14話 家長の矜持(きょうじ)
因縁浅からぬ仲の胡以良(こいりょう)から、伝統行事である土地神の生誕祭を主催するよう押し切られた李長青(りちょうせい)。息子・李謙の婚儀で散財した直後のため、資金繰りに窮するが、姜保寧の提案により董(とう)氏商行の董珊瑚(とうさんご)から出資してもらうことに。難なく行事を終えたのも束の間、何翠花が怒りながら姜保寧の住まう西跨院(せいこいん)に乗り込んでくる。郡主が他の男から愛の証しをもらい、それが街中の噂(うわさ)になっていると言うのだ。そして趙嘯にもらった玉佩(ぎょくはい)を暴かれてしまい…。
第15話 李(り)府の改革
軍報を盗ませたのは田(でん)氏であったことが明らかになった。李長青は真相を暴いた姜保寧の手腕を評価し、高妙容の監督不行き届きに腹を立てたこともあって、李(り)府の家政を姜保寧に任せることにする。権力を奪われて、姜保寧への反感を募らせる何翠花と高妙容。2人の秘密の財源が田氏の巻き添えで露見するのは免れたものの、姜保寧が屋敷内の奴婢(ぬひ)を入れ替えたことで、これまでの稼ぎ方はできなくなった。そこで、高妙容が考えた新たな稼ぎの手段は…。
第16話 いざ敵国へ
李謙を陥れることに固執した趙嘯は判断を誤り、大敗を喫してしまう。李家に玄甲営全滅の報が届くものの、姜保寧は李謙が生きて永慶(えいけい)国の都・雲楊(うんよう)にいると予測し、その冷静ぶりを高妙容に非難される。夜更けにこっそり旅立つ姜保寧だが、図らずも李冬至(りとうじ)が旅の供となる。雲楊に到着すると、姜保寧は兵器営に潜り込み、からくり名人の腕前を発揮して統領に弟子入りを許される。そこで再会した趙嘯を尾行し、ついに愛する夫の姿を目に映すのだった。
第17話 謎の商人
慶安(けいあん)は永慶国の都・雲楊にて再会した李冬至を、幼いころの思い出の場所へ連れていく。両親の愛の証しである双頭の鷲(わし)の指輪を贈り、好意を伝えるためだった。だが後日その指輪を見た李謙は激怒し、李冬至が慶安と会うことを禁ずる。李謙は、母を殺したのは双頭の鷲の旗を掲げる一味だと考えていた。そして慶安が何者かを探るため、雲楊から脱出しようとする趙嘯らに姜保寧と李冬至を託し、1人で慶安を尾行すると、意外な場所に行き着くのだった。
第18話 恩人の善意と悪意
負傷した李謙とともに高妙容らに合流した姜保寧。重傷の李謙を無事に逃がす時間を稼ぐため、自らおとりとなる。後を追おうとする李謙だが気を失ってしまった。逃げ延びた李謙は意識を回復すると高妙容が止めるのも聞かず、すぐに姜保寧を捜しに行こうとする。「郡主は、もう死んでいる」と言う高妙容の言葉に生きた心地がしない李謙。しかし、そのころ、姜保寧は趙嘯に無事に助け出されていた。姜保寧を無事に秉(へい)州まで送ると約束する趙嘯だが…。
第19話 若夫婦の絆
戦で兵糧を奪われ、その損失を取り戻したい趙嘯は、父親から融通された銀子を闇銭荘(せんそう)へ預けることに同意してしまう。偶然にも高妙容が李謙との婚約証書を見つけたことで、夫に妾(めかけ)を持たせてやる正妻の寛大さを求められる姜保寧。腹立ち紛れに2人の初夜をお膳立てし、あっさり李謙が従ったことに深く落ち込む。しかし最初から芝居だったと知り、改めて夫の愛を知るのだった。一方、指輪を外せないでいる李冬至の前に思いがけない人物が現れる。
第20話 第二の矢
東から秉州に引っ越してきたという張(ちょう)夫人と娘の張朶蘭(ちょうたらん)が、しばらく李府に滞在することになった。張夫人の亡き夫は、かつて李長青の命を救ってくれた恩人だった。横暴で礼儀知らずの張朶蘭は、李謙を気に入り、高妙容の助言を受けて李謙を振り向かせようとあれこれ画策する。一方、姜保寧と情客(せいかく)はこの母娘から日常的に邪険にされ、虐待を受けている侍女の六禾(りくか)に同情する。ある日、観花宴に招かれた姜保寧が董家へ行こうとすると…。
第21話 狐(きつね)と狸(たぬき)の化かし合い
宴の席を離れて裏庭にやってきた張朶蘭は悔し紛れに花を手折って髪に挿す。しかし、それは斉丹(せいたん)が披露するために持ってきた皇宮への献上品“紅霓裳(こうげいしょう)”だった。献上品を損ねたとあれば斉家がおとがめを受けるのは必至だ。怒った斉丹と反省の色もない張朶蘭はつかみ合いになるが、張朶蘭が郡主の連れと見た邵洋(しょうよう)は彼女をかばう。「3日以内に代わりの鉢を見つける」とその場は姜保寧が収めたが、“紅霓裳”は秉州に1鉢しかない貴重な品種だった。
第22話 皇帝と皇后の追いかけっこ
普段は政務中には后妃に会わない皇帝・趙翌(ちょうよく)の元を訪ねた皇后の韓同心(かんどうしん)は、侍女の百合(ひゃくごう)に苦言を呈されるが、「今日なら必ず私に会う」と断言する。その理由はちょうど三月後に誕辰(たんしん)を控えているからだった。そのころ、白愫(はくそ)は懐妊を太皇太后に報告をするために宮中を訪れていた。姜保寧が李謙に嫁いだことで静かになった宮中で寂しがっている太皇太后を見た白愫は、子が生まれたら足しげく宮中に通うと帰りの馬車の中で決意するが、その矢先に…。
第23話 令嬢の家出
母親からしつこく結婚をせっつかれ、嫌気がさした李冬至。家を出ることを決意し飛び出したものの、あてどなく街をさまよいながら、慶安の姿を探していた。そんな李冬至を見つけた慶安は、彼女の行動をひそかに見守る。一方、姜保寧は李冬至を連れ戻すと義父母に約束し、李謙の助けを借りて目星をつけ、李家の遠縁の住まいへ向かう。しかし、その途上で大勢の災民が路頭に迷っているのを目の当たりにし、食べ物や銀子を分け与えるのだが…。
第24話 門前払いの郡馬(ぐんば)
病に倒れた太皇太后を見舞うため、皇宮に戻った姜保寧。危篤だと聞かされていたが、それは姜保寧を呼びつけたい趙翌の嘘(うそ)だった。その上、李謙を皇宮に入れまいと門前払いさせるという執心ぶり。姜保寧は都の屋敷で1人過ごす李謙を訪ね、とうとう夫婦の契りを交わすのだった。善堂(ぜんどう)を開いてまもなく、かびの生えた米を食べた幼子が亡くなった。災民たちが李府に押し寄せ、綿入りの冬着に砂が混じっていることも分かり、姜保寧は真相究明を約束する。
第25話 闇銭荘(せんそう)の黒幕
軍費が届かないことに業を煮やした李謙は、金宵(きんしょう)に出納係である蔡霜(さいそう)の素性を調べさせる。金宵は部下から“やり手の女子が闇銭荘を営んでいる”という情報を仕入れ、蔡霜が出入りする反物店こそが闇銭荘だと推察。部下を率いて店に乗り込み、居合わせた女子を捕まえるのだが…。一方、荘(そう)夫人はひそかに営む闇銭荘を姜保寧たちが嗅ぎ回っていると知り、不安にかられる。そこで高妙容は荘夫人の義兄を通じ、姜保寧を弾劾するようけしかける。
第26話 罪の行方
捕らえられた蔡霜がすべてを白状した。李麟(りりん)と高伏玉(こうふくぎょく)は高妙容の罪をかぶり、片や李府を去り、片や流罪となった。永慶国の斥候を追う李冬至は、思勤(しきん)から指輪を渡され、慶安が死んだことを伝えられる。裏切られていなかったことを知り、涙に沈む李冬至。姜保寧は市に出かけ、人買いに遭遇して子供を助け出す。その時の傷を必死に隠すものの、結局は李謙に見つかってしまう。一方、闇銭荘を使った企(たくら)みが頓挫した趙嘯は、打倒李謙を誓うのだった。
第27話 愛のしごき
姜保寧が最低限の護身術を身につけられるよう、李謙は彼女に毎朝武術の稽古を課すと言い出した。断固反対する姜保寧だが、家則に署名したことを盾に従わされる。しかし、姜保寧は武術の稽古以前に体力不足でついていけず、早起きも苦手なため、監視の目を逃れて怠けようと頭をひねってばかりいる。あの手この手を繰り出す彼女の姿を見るに見かねて監視の目を緩め、菓子で機嫌を取る李謙。すると意外にも素直に稽古をしようとする姜保寧だったが…。
第28話 暴かれた素顔
武器職人たちと新しい武器を作ることに明け暮れていた姜保寧(きょうほねい)。無理を押して董(とう)氏商行の行事に参加するが睡魔にはかなわず、部屋を取ってもらって眠ることに。強すぎる香の匂いで目を覚ますと、いつの間にか蔡霜(さいそう)が部屋に侵入していた。とっさに習いたての武術で反撃し、事なきを得るが、この蛮行は高妙容(こうみょうよう)によって巧妙に仕組まれた罠(わな)だということが暴かれる。高妙容は李謙(りけん)や李長青(りちょうせい)の前に引っ張り出され、証拠を突きつけられる。
第29話 迫りくる敵
父親が危篤と知り、持ち場を離れて南岷(なんびん)へ帰る趙嘯(ちょうしょう)。結果、雲林(うんりん)関は破られ、永慶(えいけい)軍の侵攻を許してしまう。己を救いに来た李冬至(りとうじ)を殺しかける慶安(けいあん)だが、指輪を目にした途端2人の思い出がよみがえり、心の断片を取り戻す。姜保寧は賊を追い払うべく新作の武器を持ち出し、使い手も傷つくと痛感する。そんな中、聖旨(せいし)が届き、死後を憂うばかりの趙翌(ちょうよく)に腹を立てた姜保寧は、勤王の詔書を偽造して援軍を呼ぶことに。しかし、誇り高き皇太后は敵を前にして自ら死を選ぶ。
第30話 皇帝の崩御と新帝の即位
韓同心(かんどうしん)は一緒に皇宮から逃げようと趙翌に促すが、趙翌は最後まで皇帝として戦う道を選び、韓同心が医者を呼びに行った間に駆けつけた姜保寧の腕の中で息を引き取った。それを見た韓同心は姜保寧に憎悪の念を抱きながらも、自らが助かるために皇宮を離れる。町へ落ち延びた韓同心を助けたのは、李家を離れて医術で人助けをしている高妙容だった。李謙の幼なじみに助けられたことを知った韓同心は、侍医として皇宮に召すというが、高妙容はこれを断る。
第31話 頼られる存在
第一皇子の趙璽(ちょうじ)が新たな皇帝に即位した。姜保寧は監国(かんこく)公主となり、李謙らが昇格を果たす一方、雲林関を離れたことで永慶軍の侵攻を招いた趙嘯は処罰されてしまう。李謙は何の相談もなく都へ発った姜保寧に腹を立てていたが、人に頼らず努力しようとする妻のけなげな姿勢に納得する。善堂(ぜんどう)で慶安の世話を焼く李冬至は、まるで赤子のような彼を何とか元の状態に戻そうと模索する。思勤(しきん)は巫満(ふまん)によって催眠術をかけられたのだろうと話す。
第32話 記憶の中の玉佩(ぎょくはい)
実の子を玉座に座らせたい韓同心は皇帝を疎んでいた。靖海(せいかい)侯となった趙嘯を味方に引き入れ、好機をうかがう。趙嘯は姜保寧が賊退治に使った武器に興味を持ち、「神鬼(しんき)兵器図」を捜し始める。李麟(りりん)との平穏な暮らしを望む高妙容だが皇宮に留まるしかなく、そんな中、ひょんなことから「神鬼兵器図」のいわれを知る。一方、秉(へい)州に帰った李謙は信(しん)王となり、同時に誕辰(たんしん)を迎えた。祝いの日、姜保寧から贈られた玉佩(ぎょくはい)を見て、ある記憶を呼び覚ますのだった。
第33話 2人を分かつもの
李長青は高妙容から、李家村の虐殺の首謀者は姜保寧の父であると聞かされたが、姜保寧に恨みを抱く彼女の策謀だと考え、耳を貸そうとしなかった。しかし証人の静安(せいあん)尼から当時の事情を聞かされて、信じないわけにはいかなくなる。李謙も、虐殺が行われた日に李家村で母と口論していた男は姜鎮英(きょうちんえい)に間違いないという確信を得た。受け入れ難い事実に困惑し、姜保寧を避ける李謙。そんな2人の間のひずみを広げるべく、高妙容は趙嘯に耳打ちをする。
第34話 恨みの向かう先
李謙は姜保寧が逃げた知らせを聞くなり、すぐさま取って返して追いかけ始めた。結果、待ちぼうけを食らった形の官吏たちは怒り心頭。策を講じた姜保寧は李謙の追走から見事に逃れると、予定通り都へ向かう。その途上にて、趙嘯から変わらぬ想いを打ち明けられるものの、すげなく拒むのだった。病に苦しむ太皇太后は、突然帰ってきた孫娘の姿を目にし、たちまち元気を取り戻す。久しぶりの再会に沸き立つ皇宮だったが、そこに李謙が現れ…。
第35話 正義なき遷都
趙嘯は召喚されずして皇宮に入った罪で李謙を弾劾すると同時に、都の守りを務める錦渓(きんけい)の兵力を削減して藩王としての勢力を弱体化するための遷都を企てていた。取り巻きを集めて李謙を倒すための根回しを進める趙嘯。だが、この動きに気づいた李謙も信頼できる人物を集めて対策を練っている。朝議の場で金海涛(きんかいとう)は李謙を弾劾し、皇帝に厳罰を請う。趙嘯の根回しにより、その場の大半が金海涛に同意するが李謙はあらかじめ、ある手を打っていた。
第36話 届かぬ想い
姜保寧は高妙容が皇宮に潜み、韓同心の軍師として暗躍していると知る。皇宮から追い出そうとするが、これを阻もうとする韓同心と口論になり、李謙との不仲を太皇太后に知られる。結果、高妙容は皇太后を唆したとして杖刑に処され、死ぬまで牢に監禁されることに。絶望する高妙容だが、李謙と姜保寧を離間させる方法を考えれば、牢から出してもらえると聞き…。一方、李謙が兵権を手放したと知った慶泰(けいたい)は、李謙を始末するため、巫満を秉州へ遣わす。
第37話 弔いの鐘
国を追われた慶泰は、再起を図るべく「神鬼兵器図」の武器に目をつける。そのころ、親世代の恨みは引き継がず、姜保寧と添い遂げる決意をした李謙。傷が治るまで待つときも惜しいとばかりに、愛の奪還という大業を成すため、急ぎ馬を走らせる。思いがけず太皇太后に召し出されて皇宮を訪れたところ、待ち受けていたのは叱責の嵐。その果てに姜保寧との離縁を告げられ、思わず離縁状を破いてしまう。その翌日、陰謀渦巻く皇宮には弔いの鐘が鳴り響いた。
第38話 逆襲の始まり
太皇太后の死は李謙のせいだと聞かされた姜保寧は、弔いに訪れた李謙を見ると興奮して気を失う。姜保寧が倒れたのは怒りのせいばかりではなく、懐妊しているためだった。目覚めて自らの懐妊を知った姜保寧は医正(いせい)に堕胎薬を煎じるよう命じる。心配してひそかに様子を見に来た李謙は姜保寧が懐妊しながら堕胎しようとしていることを知り激怒するが、なすすべもない。姜保寧は医正に口止めするが、姜保寧の懐妊はほどなく悪意の輩(やから)の知るところとなる。
第39話 知られざる過去
趙嘯は長年の恨みを晴らすため、姜保寧の代理だと嘘(うそ)をつき、皇帝に李謙の捕縛を命ずる聖旨を書かせる。捕らえられた李謙は拷問を受け、ひとまず天牢(てんろう)に監禁されていたが、嘘がばれるのを恐れた趙嘯は李謙をすぐに流刑地へ押送しようとする。一方、太皇太后の位牌(いはい)を宗廟(そうびょう)に祭る日、韓同心の提案により太皇太后の真筆も納められることに。だが韓同心が偶然を装い選んだのは、姜保寧と李謙に離縁を命ずる遺旨だった。その遺旨を手に取った姜保寧は…。
第40話(最終話) 神鬼(しんき)兵器図
姜保寧の持つ「神鬼兵器図」を狙うも皇宮の高い壁に阻まれていた慶泰は、李謙が流刑地送りから一転、都に送還されると知り、李謙を取り引きの材料として連れ去る。李謙と引き換えに「神鬼兵器図」を渡す決意をした姜保寧だったが、ひょんなことから隠された“鍵”に気づく。慶泰はついに伝説の武器を得たが、相当な威力を持つ武器は果たして戦うための道具なのか、それとも…。国の命運を懸けた戦いが幕を開け、それぞれの愛の行方が定まる。