あらすじ
ある晩、宮殿では若き国王・煜王(いくおう)のお妃選びの宴が開かれる。将軍家の娘・聞素錦(ぶんそきん)は、宴をさぼって祭りに出かけ、そこで出会った貴公子に一目惚れ。翌朝、素錦のもとに煜王と錦王(きんおう)から求婚の行列が到着するが、恋をして結婚したい素錦は家から逃亡! 敵対する2人の王からの求婚と素錦の家出に混乱する聞家では、異母姉・聞素語(ぶんそご)が素錦を名乗り煜王に嫁ぐことに。そのことを知った素錦は、姉を救うため侍女として王宮に潜入するが、今度は王宮であの貴公子に再会。煜王の侍衛だと信じこむが、実は彼こそが煜王だった! 煜王はたびたび騒ぎを起こす素錦の目的を探るため、侍衛として彼女に近づくがー!?
第1話 突然の求婚
将軍家の娘・聞素錦(ぶんそきん)は、絶景を見るため屋敷を抜け出し寺を訪れる。そこで出会った男性に一目惚れするが、彼の正体は王位を継いだ煜王(いくおう)・蕭煜(しょういく)だった。先王の遺言を探ろうとお忍びで寺に来ていた煜王は、遺言へたどり着く直前、刺客に襲われる。一方、聞家の側妻の娘・聞素語(ぶんそご)は素錦として煜王のお妃選びの宴へ参加したが…。
第2話 お前は誰だ
煜王と彼の異母兄である錦王(きんおう)・蕭祁(しょうき)の求婚から逃げ出した素錦は、昨夜一目惚れした男性と偶然再会。互いに縁談相手だとは知らないまま、図らずも刺客に狙われた素錦と煜王は、揃って崖下へと落ちてしまう。一方、密かに錦王のことを恋い慕ってきた素語は、再び素錦の身代わりを申し出て、自分が錦王に嫁ごうとするが…。
第3話 それぞれの思惑
素錦は怪我した煜王を手当てするため衣を脱がそうとするが、彼女の大胆な行動に驚いた煜王は思わず突き飛ばしてしまう。その後、友人の話と偽りつつ、王室からの求婚を逃れたいと明かした素錦。煜王は偽の占いで縁談を取り消そうと考える。一方、素語は命を懸けて素錦を娶ろうとする錦王の姿を見て、自分の恋は報われないと悟り…。
第4話 侍女のふりして
聞家を守るために覚悟を決めた素語は、錦王に素錦の身代わりとなったことを秘密にしてほしいと訴える。一方、偽の占い札を手に入れて聞府に戻った素錦が目にしたのは、煜王に嫁ぐため王宮へと向かう素語の姿だった。婚儀前に姉を救うべく、侍女のふりをして王宮に潜り込んだ素錦。そこで、捜していた一目惚れの男性を見かけるが…。
第5話 あの人は王様付きの侍衛
逃げ込んだ梅(ばい)苑で再会した煜王のことを侍衛だと信じる素錦は、本人に対して煜王に会わせてほしいと頼む。だが、素錦が阻止できぬまま煜王と素語の婚儀が執り行われる。太妃が決めた結婚に不満を抱く煜王は婚礼から逃げ出し、池に浮かんだ舟で再び素錦と遭遇。追ってきた太妃の使いから身を隠すため、2人は池の中に飛び込むが…。
第6話 絶体絶命!
素語が毒殺される夢を見た素錦は、姉を連れ帰るために偽の占い札を太妃に差し出すことを思いつく。一方、素錦の素性を怪しむ煜王の侍衛・鍾離(しょうり)は、彼女を調べ上げようとするが、煜王に止められてしまう。そんな中、王宮から追い出されそうになった素錦を助けた錦王は、彼女に自分の想いを打ち明け、改めて求婚するが…。
第7話 なぜか気になる
素錦が犯した罪は死刑に値すると聞かされた煜王は、占い札の責任を問われる素語をかばうふりをして素錦を救う。そんな折、錦王が素錦のことをおんぶして歩いていたという噂を耳にし、なぜか苛立ちを隠せない。一方、宮中に供する野菜を育てる司苑(しえん)局で目覚めた素錦は、“鍾離”が自分のことを助けてくれたと知るが…。
第8話 畑での名勝負
錦王との関係を聞き出すため、鍾離に扮して素錦のもとを訪れた煜王。素錦は咄嗟に嘘をつくが、突然機嫌を損ねた彼の態度に釈然としない気持ちになる。その頃、刺客に襲われて間一髪のところを錦王に救われた素語は、煜王から目の敵にされていることを嘆く彼に、忠誠を誓っていた。一方、再び素語が毒殺される夢を見た素錦は…。
第9話 良薬口に苦し
“鍾離”を助けるつもりで安少国公(あんしょうこくこう)の畑を荒らした素錦。報復として毒を飲まされるが、ちょうどそこに煜王が現れる。素錦のために薬を煎じさせた煜王は、薬を飲もうとしない彼女に口移しをしようとするが…。一方、図らずも煜王が描いた素錦の姿絵を見てしまった素語は、彼が素錦に目をかけていることを知るのだった。
第10話 波立つ心
錦王のために先王の遺言状を手に入れたい素語は、素錦を利用しようと考える。その頃、煜王も遺言状を探し出すために策を講じていた。一方、金玉令(きんぎょくれい)を使って姉を救おうとする素錦は“鍾離”を訪ねる。素錦が自分に会いに来たと知った煜王は、鍾離の衣を奪って彼女のもとへ。金玉令を借りようと必死な素錦が愛くるしくて…。
第11話 王の嫉妬
何度も死にかけた素錦(そきん)を心配して司苑(しえん)局を訪れた錦王(きんおう)は、王宮から出ていくよう促す。親しげな2人の様子を伝え聞いた煜王(いくおう)は、太妃が錦王ばかり気にかけていることと重ね合わせ、兄である錦王への嫉妬を募らせる。煜王のやきもちから、山ほど仕事を命じられて休む暇もない素錦は、親しい宦官・小喜子(しょうきし)に手伝ってもらうが…。
第12話 夢のお告げ
煜王に正体を問いただされた素錦は真実を伝えるべきか思い悩むが、聞(ぶん)家のために侍女であるという嘘を貫く決意をする。一方、小喜子は煜王に貢菜(こうさい)を抜いたのは自分だと告白し、素錦の無実を主張。しかし素錦は、騒動の始末を命じられた素語(そご)に捕らえられていた。素錦の命が危ういと知った煜王と錦王は、揃って太妃に懇願して…。
第13話 姉を守るために
詩会・鞦韆宴(しゅうせんえん)で素語が毒殺されると知った素錦。宴の準備を担う温(おん)妃の側で働けるよう“鍾離(しょうり)”に口添えを頼むが、断られてしまう。そんな中、素錦からもらった桂花糖(けいかとう)が錦王の贈り物だと知った煜王は、苛立ちを紛らわすために酒蔵を訪れる。そこで再び遭遇した素錦に、錦王との関係を問いただしたことで2人は口論になるが…。
第14話 月の贈り物
煜王は錦王に暮塵(ぼじん)寺での騒動の責任を取らせようとするが、太妃が身を挺して錦王を庇ったことで孤独感を深める。“鍾離”のおかげで温妃の側で働けることになった素錦は、感謝を伝えるべく月夜の下で彼を待つ。素錦に悩みを見透かされ、さらに心惹かれる煜王。2人の様子を見ていた錦王は、煜王が鍾離に成りすましていることを知り…。
第15話
錦王の勧めで酒造りに関する文献がある華厳(かげん)閣を訪れた素錦。そこには歴代の王の姿絵もあった。煜王は素錦が自分の姿絵を見る直前で華厳閣に到着し危機を逃れるが、文献探しを手伝うはめに。そして訪れた鞦韆宴の日。詩会では素語が首位になり、褒美の酒が与えられる。酒に異状を感じていた素錦は、姉を救うことに成功するが…。
第16話 姉と妹
煜王が侍衛に正体を偽っていたのは、自分をもてあそぶためだったと考え悲嘆にくれる素錦。一方、毒酒の件を調べるよう太妃に命じられた素語は、素錦に罪を認めるよう迫る。そこに駆けつけた煜王は、虐げられた素錦を見るや血相を変え、急いで彼女を救い出す。献身的に世話をするも、素錦はよそよそしい態度を変えようとせず…。
第17話 言えないつらさ
素錦の身を案じ、彼女を王宮から逃がすために手はずを整える錦王。偶然にも素錦が王宮から去ることを知った煜王は、先回りして連れ戻す。素錦は煜王に審問されるが、自分の正体を明かさないといけないため何も答えられない。一度は素錦に斬首を言い渡すが、本当は彼女を離したくない煜王。結局、自分の側仕えになれと命じ…。
第18話
煜王の寝床を温める役目を任されるも、知らぬ間に眠ってしまった素錦。煜王はその寝顔を嬉しそうに見守り、自分は脇部屋で寝る。一方、錦王は煜王との対立や伝わらない素錦への想いに苛立ち、独り酒を飲んで荒れていた。そんな中迎えた狩りの日、煜王は妃ではなく素錦を連れて狩り場を訪れる。太妃は先例を破った煜王に憤慨し…。
第19話
太妃の怒りを買った素錦は煜王を誘惑した罪に問われるが、煜王に救われる。一方、落馬した素錦を心配する錦王は、薬を持って彼女のもとへ。嫉妬した煜王は、錦王の薬に勝る妙薬を素錦に与える。その夜、温妃と柳(りゅう)侍衛の密会現場に出くわした煜王と素錦。温妃に幾度も助けられた素錦は、憤慨する煜王をうまくなだめて…。
第20話 特別な桃の木
素語は錦王を後押しするため、素錦に危害を及ぼそうとしていた。それを知った錦王は激怒し、素錦を守ることを心に決める。その頃、尚書(しょうしょ)府にしかない桃の木に咲く花・玉蕊氷心(ぎょくずいひょうしん)を摘みに、人目を盗んで素錦を連れていった煜王。そこでキスを交わした2人の仲は一層深まっていく。そして後日、煜王は桃の木を素錦の住居に移植させて…。
第21話 偽の遺言状
北方での反乱に悩む朝廷は錦王に望みをかけるが、彼は素錦との思い出の桃の木を煜王に奪われたことが許せず酒に溺れていた。煜王は密かに偽の遺言状を仕込み、出征を拒む錦王の出方を待つ。そんな中、侍衛・山海(さんかい)から恋の助言を受けた錦王は、煜王が気づくように素錦へ贈り物を届ける。気にも留めない態度を取っていた煜王だが…。
第22話 北方への出陣
桃の木の下で話し込んでいた素錦と錦王を目撃した煜王は密会だと咎め、素錦に罰を言い渡す。錦王は素錦への罰の免除と引き換えに、北方への出陣を願い出るのだった。その後、偽の遺言状で錦王を傷つけたことを後悔する素錦は、北方へ向かった彼に文を送り、無事を祈る。煜王は素錦が錦王だけを気にかけているのが不満で…。
第23話 侍衛の忠義
鍾離(しょうり)は素錦(そきん)から煜王(いくおう)への伝言を預かるが、ある思いからそれを煜王に伝えられず、自分が彼女の待つ池へ行く。その夜、小喜子(しょうきし)から素錦が池で待っていることを聞き、急いで向かった煜王。そこで鍾離と、溺れて気を失った素錦を目にし、鍾離が彼女を池に落としたと思い激怒する。目覚めた素錦は助けてくれた鍾離が左遷されたと知り…。
第24話 誕生日の
煜王の前で、池での出来事を鍾離に確認した素錦。鍾離は煜王に忠誠を尽くしたい気持ちと太妃の命で揺れていたことを明かし誤解を解く。彼の話から太妃が素錦の命を狙っていると知った煜王は、太妃に素錦が大切な存在であると告げ、後宮のことに口出ししないようくぎを刺す。そして、数日後に控えた素錦の誕生日を内緒で準備し…。
第25話 郡主の都入り
素錦が錦王(きんおう)から贈り物を受け取っているところを目撃した煜王は、対抗して国宝ともいえる千年寒玉(せんねんかんぎょく)を彼女に贈る。錦王は太妃の誕生日を祝う千秋宴(せんしゅうえん)に向けて自発的に準備を手伝うが、本当は秘密裏に遺言状を探し出そうとしていた。一方、南嶼(なんしょ)の王の末娘・容靖(ようせい)郡主は千秋宴に出るため都へ向かっていたところ、襲撃を受けるが…。
第26話 太妃の祝宴
塀の上から千秋宴の様子をのぞき見ていた素錦は、突然現れた猿に追いかけられる。うまく振り切るが、赤い塗料がついた素錦の指を見た猿が再び彼女を襲う。逃げようと必死な素錦と巻き込まれた太妃が揃って池に落ち、辺りは大騒動に。太妃そっちのけで素錦を助けた煜王は、「風邪を引いたら厳罰に処す」と言い彼女を浴室まで運び…。
第27話 正直に言うべき?
太妃の素錦への怒りをそらすため、容靖と親しげに過ごす煜王。宮中では容靖が煜王の寵愛を受けていると噂が立ち、素錦はやきもちを焼く。一方、太妃は千秋宴の日に素錦が遺言状を手に入れたのではないかと焦り、牽制するため素錦の両親を朝見(ちょうけん)させることに。素錦はすべてを煜王に打ち明けようとするも言い出せず、錦王に助けを求め…。
第28話
鍾離は錦王と聞(ぶん)夫人の会話から素錦の両親は所在不明だと知るが、使用人である素錦のことを心配する聞夫人の姿に疑問を抱く。素錦の素性に問題があれば太妃に殺されると考えた煜王は、まずは太妃の命をやり過ごすために偽の両親を謁見させることに。朝見の日、素錦は錦王が用意してくれた偽の両親とは別の人が現れて戸惑うが…。
第29話 すれ違う想い
素錦が聞家の嫡女(ちゃくじょ)だと知り、衝撃を隠せない煜王。罰が下された錦王を必死に庇おうとする素錦の姿を見て、彼女が想っているのは自分ではないと確信する。その後、庭の玉蕊氷心(ぎょくずいひょうしん)を枯らした犯人と煜王に疑われた素錦は「もう仕えなくていい」と言われてしまう。さらに太妃からは、王族を陥れた罰として鞭(むち)打ち刑を言い渡されるが…。
第30話 妹への恨み
出陣を控えた錦王と素錦の結婚を太妃に迫られ、苦悩しながらも素錦のためを思って婚姻を認めた煜王。凱旋(がいせん)してからの婚儀を楽しみに待つ錦王の思いを知った素錦は、彼の妃になることを決意する。一方、錦王のために遺言状を入手しなければならない素語(そご)は、素錦が所持していると聞き会いに行くが、これまでの恨みが抑えきれず…。
第31話 さよなら王府
錦王が生死不明になったとの知らせが入る。素錦は太妃から鳳隠(ほういん)寺での祈とうを言い渡され、錦王が戻るまで帰宅を禁止される。鳳隠寺は罪を犯した妃嬪(ひひん)の修行場であると知る煜王は猛反対。だが寺行きを決意した素錦を見て、それほどまでに錦王のことを想っているのかと意気消沈する。鳳隠寺へ向かう途中、素錦は火災に遭う夢を見て…。
第32話
錦王の失踪は売国奴を捕らえるための策で、錦王は山海(さんかい)に任務を任せて鳳隠寺を訪れた。そのことを知った煜王と遺言状を手に入れた容靖も鳳隠寺にやって来る。素錦を呼び出した煜王は、錦王だけでなく自分のことも信頼して隠し事を話してほしいと伝えるが、素錦は家族に罰が下るのが心配で思い悩む。そんな中、鳳隠寺で火災が起こり…。
第33話
煜王は素錦を失った悲しみから、後宮の解散を宣言。その頃、素錦は容靖のお付き・顧禎(こてい)によって助けられ、容靖に匿われていた。自暴自棄になった煜王の様子を聞いて王府へ戻ろうとする素錦のもとに錦王がやって来る。錦王は生きて戻れば朝廷から糾弾(きゅうだん)されると告げ、自分と一緒に逃げるよう説得。そこで素錦は容靖にあることを頼み…。
第34話(最終話) 幸せに向かって
南嶼へ帰る容靖の一行に紛れ、南へと向かった素錦。素錦がかわいがっていた兎(うさぎ)が籠ごといなくなっていたことから、素錦が生きていると確信した煜王も南へと向かう。追ってきた錦王とひと悶着ありながらも、長(ちょう)郡で再会を果たした煜王と素錦は何も語らずに抱きしめ合う。そして素錦は隠し事を煜王に打ち明け、煜王も胸の内を語り…。