あらすじ
元軍人のフー・バーイーは古墓(こぼ)に眠っている宝を盗掘(とうくつ)するトレジャーハンター。今は相棒のワン・カイシュエンとともに北京で古物商を営んでいる。そんなある日、陝西(せんせい)省の田舎町からいわくつきの骨董品を売りに来ていた村人と出会う。もっと貴重な宝が詰まった箱があるので、まとめて買い取ってくれないかと誘われたバーイーらは、骨董品の専門家・金歯も連れて陝西省へ向かう。ところが現地に着くなり村人の詐欺だと気づき、追手から逃げるうちに、背中に奇妙なアザができていることに気付く。それが伝説の呪いだと教えてくれたのは、美人トレジャーハンターのシャーリー・ヤン。バーイーたちは呪いを解く鍵となる秘宝を探すため、“龍岭迷窟(りゅうれいめいくつ)”と呼ばれる危険な洞窟に足を踏み入れ、襲い来る罠と謎を攻略していくが…。
第1話 農村から来た男
陝西(せんせい)省古藍(こらん)県のある村では何年も干ばつに悩まされていたため、雨乞いの儀礼が行われる。その儀礼とは古い墓を暴き、妖怪を退治するというものだ。儀礼を終え手応えを感じた村長は、死者とともに葬られた副葬品には手を触れず、棺桶ごと燃やせと命じて立ち去るが…。一方、フー・バーイーとワン・カイシュエンは北京の骨董市で商売を始めていた。ある日、2人は古びたカバンを大事そうに抱え、市場をうろつく男に目を付ける。
第2話
リー・チュンライから「古藍県へ行き、お宝を箱ごと買い取ってほしい」と頼まれたバーイーとカイシュエン。骨董品の専門家・金歯とともに古藍県へ出発するが、険しい山道を移動中にバスが故障してしまい、乗客は全員降ろされてしまう。仕方なく2時間かけて黄河まで歩き、通りかかった船に乗せてもらう。船頭によると近頃は雨量が多く突然川が氾濫するため、バーイーたちを乗せるのも命懸けだと話す。まさにその時、急に雨が降り出し…。
第3話 占い師の予言
バーイーたち3人は黄河で巨大な魚に襲われるが九死に一生を得て、無事に古藍県へ到着する。3人が宿泊所の共同洗い場で風水の話をしていると、突然トイレの個室から奇妙な老人が現れる。老人は目の見えない占い師で、大きな災いが降りかかるとバーイーたちに予言する。バーイーたちは半信半疑ながら、老人に誘われるまま彼の露店へ行き、銅銭で自らを占う。すると願い事は大いにかなうという結果が出たので、災いなどないと余裕を見せるが…。
第4話 命知らずな男たち
古藍県に到着した翌朝、チュンライはお宝の詰まった箱を抱え、バーイーたちが滞在する宿泊所にやってくる。そして北京へ持参した明代の靴を皮切りに、宿泊所内の食堂で次々とお宝を披露していく。だがバーイーは、チュンライが食堂の店員に目配せをしている様子を見て不審に思い、店員のあとを追うため席を外す。すると、バーイーの前に昨夜出会ったばかりの占い師の老人がどこからともなく現れ、護符を渡されるのだった。
第5話
バーイーたちはマー・ダーダンらの目をくらまし、村の郊外へと逃げ延びる。そして占い師がくれた護符が示すとおり西南へと向かうが、疲れと空腹に耐えられず、途中の民家で休ませてもらうことに。民家の老人は、バーイーたちが通るであろう魚骨廟(びょう)の辺りは、洞窟につながる穴があるから足を滑らせて落ちないように注意しろと話す。そこは“龍岭迷窟(りゅうれいめいくつ)”と呼ばれ、落ちたら二度と出られず、今までに何人も犠牲になったと言う。
第6話 ケガの功名
迷窟に落ちたバーイーとカイシュエンは、はぐれてしまった金歯を捜す。だが、ふとしたことから洞窟の天井にぶらさがっていた大量のコウモリから集中攻撃され、2人は鼎(かなえ)の中へと逃げ込む。その鼎はなんと西周時代の鼎だった。カイシュエンはお金になりそうな貴重な文化財を発見し、大喜びする。そんな時、どこからかいい香りが漂ってきた。2人が香りの元をたどっていくと白骨化した遺体が見つかる。その遺体が身につけていたのは…。
第7話 目玉のアザの呪い
迷窟から生還したバーイーとカイシュエンは、背中のアザが目玉のような形に変化していることに気づく。バーイーは占い師がこのアザの変化を護符で予言していたのだと思い当たり、占い師から話を聞くため村へ戻ることにする。その前に体を休めようと民家に戻ると、そこにはシャーリー・ヤンが国家文物局のスン教授とともに滞在していた。実はシャーリーにも目玉状のアザがあり、アザを治すために伝説の秘宝・雮塵(ムーチェン)玉を探していると言う。
第8話 カラ・ホトへの旅
雮塵玉を探す旅に出発した鷓鴣哨(しゃこしょう)と了塵(りょうじん)大師は、黄河を渡る船の中で悪だくみをするロシア人たちと居合わせる。その時、川に大渦が発生。ロシア人の1人が河神(かしん)の怒りを鎮めようと、泣き止まない乳児をいけにえとして川へ投げ込もうとするが、鷓鴣哨の見事な銃さばきによって逆に船から撃退されてしまう。同船していたアメリカ人のトーマスは、鷓鴣哨の腕前に感動し、カラ・ホトまで案内することに。一行は目当ての大睡仏(だいすいぶつ)寺に到着するが…。
第9話 数々の仕掛け
大睡仏寺に入った鷓鴣哨と了塵大師は、トーマスが作動させた仕掛けによって新たな通路を発見し、墓室の扉までやってくる。早速、鷓鴣哨は装飾の玉を動かして扉を開けようとするが、罠と見破った了塵大師は鷓鴣哨を阻止し、別の通路から侵入させる。墓室にたどり着いた鷓鴣哨は、山のように積み上げられた金銀財宝のそばを通り過ぎ、はやる気持ちを抑えつつ雮塵玉を手に入れるべく、黒い仏像の背後にある部屋へと足を踏み入れようとするが…。
第10話 半分の
シャーリーの祖父・鷓鴣哨は雮塵玉を見つけることはできなかったが、龍骨天書(りゅうこつてんしょ)の半分を手に入れていた。スン教授によると、その龍骨天書には雮塵玉の外観が刻まれているという。また、もう半分の龍骨天書は唐代の風水師・李淳風(りじゅんぷう)が自らの墓に埋め、それには雮塵玉の在りかが記されているらしい。シャーリーは自分の先祖から続くアザの呪いが、バーイーたちにもかかってしまったことを謝り、1人で雮塵玉を探すつもりだと言うのだが…。
第11話 交換条件
占い師の元を訪ねたバーイーとシャーリーは、彼の意外な正体を知る。一方、ダーダンの子分にだまされ、捕らわれてしまったカイシュエンと金歯。爆弾を首にかけられ、殺されそうになった金歯は、命を助けてくれたら魚骨廟(びょう)の下に眠る財宝探しを手伝うと約束。カイシュエンを残して、バーイーを捜しに村まで行く。バーイーたちがダーダンの根城に戻ってくると、そこには誰もおらず、助けを求めるカイシュエンの声が地下から聞こえてきて…。
第12話 再び迷窟へ
摸金校尉(もきんこうい)としての手腕を買われたバーイーたちは、命を助けてもらう代わりに、ダーダンとその子分たちを魚骨廟の下にある迷窟へ案内することに。一行は財宝を手に入れるべく奥へ進んで行ったのだが、奇妙な現象に驚いて全員がバラバラに逃げ回り、さらに深い地下へと落ちてしまう。全身の痛みに耐えながら起き上がったカイシュエンは、薄暗い周囲を見回し、バーイーの体に何やら綿のような物がついていることに気づく。その時…。
第13話 時代の分からぬ墓
縦横無尽に動き回るクモのバケモノから、なんとか逃げ延びたバーイー。ダーダンたちと合流し、幾筋にも分かれた迷路のような通路を歩いていく。すると、どこからか戻ってきたチュンライが顔を血だらけにし、通路の入り口が塞がれていると話す。案内された場所へ行ってみると確かに入り口だった場所が石壁で塞がれていた。やむを得ず一行は迷窟の奥へと進み、墓室らしき場所にたどり着く。しかし、そこに棺は見当たらず…。
第14話
墓室の東南に置いたロウソクの火が消えたにもかかわらず、ダーダンは子分たちに命じて棺のフタを開けさせる。すると中から大量の水銀があふれ出し、たちまち子分の1人が水銀の海に飲み込まれてしまう。バーイーとシャーリーは閉まりかけた墓室の門を支え、ダーダンたちを外へ避難させるが、2人とカイシュエン、金歯は墓室の中に取り残される。水銀の海が瞬く間にたまっていく中、バーイーの脳裏にある考えが浮かび…。
第15話
暗闇の中の階段がリング状になっていることを突き止めたバーイーたちは、進退窮まってしまう。ダーダンは「前にも後ろにも進めないなら、両側へ跳ぶしかない」と言い、子分をロープで縛り、暗闇の中へ下ろしていく。だが100メートルもあるロープが尽きそうになっても子分が着地した様子はない。そのうちロープをつかんでいた子分の1人がダーダンへの恨み言を言い出し、仲間割れが始まってしまう。その時、バーイーは…。
第16話 運命の対局
バーイーはダーダンの子分の助太刀により巨大なクモの襲撃から逃れ、カイシュエンたちとともに墓室に続く部屋の中へ逃げ込む。全員が疲れ切った体を投げ出し、ひと休みしていたそこは、こんこんと泉が湧いている所だった。すると突然門が開き、立派な棺が安置された墓室が現れる。バーイーたちは警戒しながら足を踏み入れ、棺に近づいていく。棺には龍骨天書に刻まれた記号と同じものが刻まれていた。ふとバーイーは、ある仕掛けに気づく。
第17話 最後の砦
囲碁の仕掛けを破ると墓室の壁からさまざまな副葬品が現れる。バーイーは8面の壁からなる墓室の構造が奇門遁甲(きもんとんこう)に通じていると考え、九宮(きゅうぐう)八門の概念に沿って八門に相応する副葬品を見つければ仕掛けが解けるはずだと話す。しかし最初の副葬品に手をかけると、タイマーが作動し、床が壁に吸い込まれていく。限られた時間内に残り7つの副葬品を動かさなければ、全員が奈落の底へと落ちてしまうが、ダーダンが誤った副葬品を選んでしまい…。
第18話(最終話) 新たな旅へ
バーイーたちは龍骨天書を手に入れ、迷窟から無事に脱出するが、ダーダンは待ち受けていた警察官に捕らえられてしまう。占い師のチェンが通報してくれたのだ。一方、スン教授は龍骨天書に刻まれた記号から“滇(てん)”と“献(けん)”の2文字を読み取り、“滇”は失われた王国と呼ばれる滇国、“献”は滇国のリーダーである献王のことを指していると分析。するといつの間にか表にいたチェンが、スン教授のことを知ったかぶりをする詐欺師だと非難し…。