あらすじ
明の時代、身分の低い母親から生まれた庶子の羅十一娘(らじゅういちじょう)は、居心地の悪い羅家を離れて自由な人生を歩むことを望んでいたが、姉の死後、その夫だった寡黙な将軍、徐令宜(じょれいぎ)に嫁ぐことになってしまう。徐令宜は父を亡くし若くして爵位を継いで徐家の大黒柱となって以来、家を守る責任と政治闘争で憔悴する毎日を過ごしていた。互いに関心のない結婚生活を送っていたものの、徐令宜は十一娘の素直さや的確な助言をする姿を目にし次第に惹かれ尽すように。そんな優しい夫に少しずつ心を開いていく十一娘だったが、実は彼女は謎の死を遂げた母親の仇敵が徐家にいるのではないかと疑っていてー?
第1話 3年ぶりの帰宅
雨降る中庭に泣き声が響き渡る。羅家の側室、呂青桐(りょせいとう)が娘、羅十一娘(らじゅういちじょう)のため必死で許しを請う声だ。誤って正室の娘の簪を壊した羅十一娘は板打ちの折檻を受けても強情に耐えていた。呂青桐は正室、羅(ら)夫人に懇願し続けるが、夫人は「嫡庶の別、長幼の序は掟」と言い放つ。その後、羅十一娘たち母娘は都から遠く離れた余杭(よこう)へ出され3年を過ごすが、突然呼び戻され帰宅の旅へと出た。途中、立ち寄った客桟(きゃくさん)で羅十一娘は逃亡中の海賊に人質にされてしまう。
第2話 水は墨に交わる
民を思い、皇帝からの褒賞を辞退した徐令宜(じょれいぎ)を羅元娘(らげんじょう)は責める。庶子の徐嗣諭(じょしゆ)に何か称号を与えれば、我が子の徐嗣諄(じょしじゅん)が無事爵位を継げると考えていたが当てが外れ、病の床に就いてしまう。徐令宜は妻を案じるが気持ちは伝わらない。やがて春の宴の日を迎え、羅家の夫人と娘たちが徐家を訪れて羅元娘を見舞った。羅元娘は3人の妹たちに縁起のよい言葉が彫られた玉佩を贈り選ばせる。羅二娘(らじじょう)はあえて“多子多福”を避け、その玉佩は羅十一娘に渡る。
第3話 姉の策略
羅十一娘が姉の羅元娘と共に静安(せいあん)軒に入ると、徐令宜が内衣姿の喬蓮房(きょうれんほう)と2人きりでいた。羅元娘は激怒し、喬蓮房は必死に釈明する。羅十一娘は徐令宜に促されて外へ出ると、口実をつけて中へ入ろうとする文姨娘(ぶんいじょう)を、機転を利かせて阻止。やがて徐(じょ)大夫人と喬(きょう)夫人が現れ、羅十一娘は観劇の場に戻される。羅十一娘は今の出来事が羅元娘の策略だと気づいたが、なぜ自分を同行させたのか疑問に思う。その頃、徐家と喬家は喬蓮房の処遇について話し合っていた。
第4話 決断の時
かねてから羅家と王家との間に持ち上がっていた縁談は、羅二娘が悪知恵を働かせたことで、急に羅十一娘が花嫁となることに。しかし王家の長男・王煜(おういく)は悪名が高く、呂青桐は娘を守るため、この縁談を断るようにと羅家の当主に頼み込む。一方、徐令宜の側室に収まることになった喬蓮房は、豪華な婚礼もないまま、雨の中をわびしく徐家に入る。徐令宜から冷たくあしらわれたものの、いずれ正室になると信じ、期待を胸に徐家での生活を始めるのだった。
第5話 突然の別れ
徐家に嫁いだ喬蓮房が正室の羅元娘に茶を捧げに行くと、早速嫌みの応酬となった。文姨娘も交え、不穏な空気が漂い始める。その頃、羅十一娘は余杭で暮らす準備を着々と進めていた。出発を翌日に控えた夜、母娘は並んで横になり、かつて過ごした余杭の思い出話に花を咲かせて今後の暮らしに期待を寄せる。翌朝、母娘と侍女の冬青(とうせい)が出かけようとすると、茂(ぼう)国公府の王(おう)夫人が羅十一娘に会いに来る。呂青桐と冬青はやむを得ず先に慈安(じあん)寺へと向かう。
第6話 最期の約束
死んだ母が握っていた布の切れ端を頼りに、羅十一娘は下手人捜しを始める。母が殺された慈安寺へ行き、殺害現場にいたという小和尚の清暝(せいめい)から当時の様子を聞いたことで、徐家の人間が絡んでいるのではないかと疑いを持ち始める。王家への嫁入り準備が進む中、姉の羅二娘が口を滑らせたことから、羅十一娘は縁談の裏側にある姉の陰謀を察知する。その真相を暴くために、結婚の仲介人を通じて、許婚の王煜に自分の絵姿をこっそりと届けさせる。
第7話 新婚初夜
羅元娘の葬儀を終えた徐家で側室たちは牽制し合っていた。正室の死を悼むことなく小競り合いを繰り広げる側室たちに徐令宜は失望する。羅十一娘は母を殺した下手人の手がかりを知る清暝(せいめい)を訪ねるが、行方は知れず1年が過ぎた。羅元娘の喪が明け羅十一娘が徐家へ輿入れする日、花嫁衣裳を身にまとう羅十一娘に羅夫人は正室としての振る舞いを教え込む。羅家から盛大に送り出されたのち、徐家では徐令宜と羅十一娘の婚姻の儀が執り行われた。
第8話
婚姻の儀を終えた翌朝、羅十一娘は姑となった徐大夫人に、初めての挨拶に向かう。屋敷内の差配を行うのは正室の役目だが、徐大夫人は羅十一娘がまだ慣れないのを理由に、側室の喬蓮房に引き続き差配するよう指示する。母殺しの下手人を見つけるため、羅十一娘は母が残した布の切れ端にあった刺繍(ししゅう)を、まずは手がかりにすることを思いつく。徐家の女性たちの団扇に刺繍をすると自ら申し出て、それぞれが持っている刺繍品を調べることに着手する。
第9話 不穏な里帰り
里帰りの前夜、徐令宜は羅十一娘の居所、西跨(せいこ)院を訪れる。並んで床に就いた羅十一娘は緊張のあまり読書を口実に起き上がり、結局、徐令宜に促されて1人暖閣で眠った。翌日、夫婦そろって羅家を訪れ里帰りの儀式が執り行われる。儀式後、羅夫人に呼び出された羅十一娘は徐家の差配の仕事を喬蓮房に奪われたとなじられる。帰りの馬車では誤解によって徐令宜からも責められ、気まずい雰囲気となった。徐大夫人に説得され、徐令宜は側室たちを訪ねる。
第10話 梅と
母殺しの下手人を調べる羅十一娘だが、徐家の女性たちが持つ刺繍品からは手がかりが得られず、別の方法を考えることに。徐家では下賜品の蜀錦(しょっきん)の布地を女性たちに分配することになったが、正室用を手に入れたい喬蓮房は、布地を管理する周(しゅう)氏に密かに手を回す。羅十一娘に与えられた布地を見て格が劣ると気づき、憤った徐嗣諄の乳母の陶(とう)氏は、周氏を問い詰めてもみ合いの騒ぎに。そこへやって来た喬蓮房が、陶氏に棒打ちを加える罰を言い渡す。
第11話 妻の外泊
羅十一娘は身重の五義妹、丹陽(たんよう)と相克する丑年のため、侯(こう)府から出されることに。徐家の別院に母を殺した下手人の手がかりがあるとにらんだ羅十一娘は、これ幸いとばかりに別院行きを承諾する。そして別院の1室に保管された大量の布の中から、ついに母が死に際に握っていた物と似た布を発見する。仙綾閣(せんりょうかく)の簡(かん)師匠の鑑定後、同じ布だと確信した羅十一娘は下手人が見つかるはずだと意気込む。別院へ戻るため仙綾閣を出ると護衛と馬車が消えていた。
第12話 当主の別の顔
羅十一娘は迎えに来た徐令宜が失踪に気づく前に無事、羅家に戻る。どうやら、今回のかどわかしには喬蓮房が関わっていそうだとにらむ。羅十一娘は喬蓮房に対する不審をさりげなく徐令宜に暗示し、事情を察した徐令宜は喬蓮房配下の劉(りゅう)氏を罰して喬蓮房に釘を刺す。また羅十一娘が別院に移った件も、徐府内の南荷(なんか)院に丹陽らを移らせることで、羅十一娘の主母としての立場を守りつつ丸く収めた。夫を冷たい人間だと思っていた羅十一娘は、徐令宜の別の一面を知る。
第13話 亡き母の記憶
徐嗣諄の奇妙な病がぶり返したことで、普段の生活の中に病の原因があるのではと疑う羅十一娘は、徐嗣諄の異母兄の徐嗣諭に、日々の様子を観察するよう依頼する。神託を信じ込む徐大夫人は、徐嗣諄に近づけないよう羅十一娘に禁足を命じた。その頃、無官で浪費癖のある夫を持つ羅五娘(らごじょう)は、収入を得るための商売の話をしようと羅十一娘を訪ねる。徐嗣諭から庭園で密かに飼われる犬の話を聞いた羅十一娘は一計を案じ、羅五娘のふりをして居所をこっそりと抜け出す。
第14話 手作りの贈り物
徐嗣諄が回復し、徐令宜と羅十一娘はようやくひと息つく。2人はそれぞれ喬蓮房に対し疑惑を抱くが、確かな証拠がつかめない。徐嗣諄を喬蓮房から離すため、徐令宜は羅十一娘に教育を任せることを徐大夫人に認めさせる。徐令宜は羅十一娘をねぎらうため、上質な錦羽扇(きんうせん)を自ら作り贈ったが、羅十一娘から反応がない。しばらくやきもきして過ごしていたが、徐嗣諄と遊ぶ羅十一娘を訪ねた時、つい不満を口にする。羅十一娘は錦羽扇の礼に履物を作り徐令宜に贈る。
第15話 天災のあとの災難
喬蓮房の配下の張(ちょう)氏が大量の酢を買っているのを目にした文姨娘は、炊き出しにカビた米が使われていることに気づく。そして、この件を羅十一娘の耳に入れ、彼女に喬蓮房を倒させようとする。文姨娘の実家の商売を優遇していた羅元娘と同様に、羅十一娘が差配の実権を握れば文家を盛り立てることができると考えたのだ。羅十一娘らが米の異常に気づいたことを察した張氏は、事情を喬蓮房に打ち明ける。喬蓮房は実家から米を借りて解決しようとするが…。
第16話 夫の救援
徐家が開いた粥の炊き出し所は、区家の差し金で民衆が暴れ出して大混乱に陥った。なだれ込む暴徒に脚を踏まれてけがを負った羅十一娘(らじゅういちじょう)だが、そこへ徐令宜(じょれいぎ)が駆けつけて守り、さらに民衆を説得することで事なきを得る。カビた米を買い付け、徐家を危機にさらした喬蓮房(きょうれんほう)の乳母の張(ちょう)氏は追放され、喬蓮房が握っていた差配の仕事は羅十一娘の手に渡ることに。そんな徐家の一大事をよそに、弟の徐令寛(じょれいかん)が外出して観劇していたと知って徐令宜は激怒する。
第17話 銀子の誘惑
西跨(せいこ)院を訪れた徐令宜に、湯あみするか尋ねた侍女の冬青(とうせい)を羅十一娘はにらみつけた。歓迎されない雰囲気を察した徐令宜は自分の居所に戻り、羅十一娘はほっとする。翌日、徐家の職長たちを集めた羅十一娘は、自分を見くびる者たちを見事に抑えて主導権を握る。帳簿を握った羅十一娘が、母を殺した下手人につながる布の出入りを調べ始めると、数人の使用者が浮上する。布は徐令宜か徐令寛への贈り物に使われたのではないかと羅十一娘たちは推測する。
第18話 隠し子騒動
被災民らを預かった簡(かん)師匠は、刺繍(ししゅう)の教え手として仙綾閣(せんりょうかく)を手伝ってほしいと羅十一娘に持ちかける。単に人手が足りないだけではなく、母の敵を捜す以外の目標や夢を持たせるためだ。簡師匠の意を酌んだ羅十一娘は徐(じょ)府には内緒で仙綾閣に通い始める。ある日、徐令宜は“鳳卿(ほうきょう)”という正体不明の幼い子供を連れて帰り、内密に世話をしろと羅十一娘に命じた。しかし、屋敷内はもちろん都の名家の間でも、すぐに「徐令宜に隠し子がいた」という噂が広まり…。
第19話 石段に潜む
鳳卿を誰に任せるか、徐令宜は決めかねていた。名乗りを上げた喬蓮房も秦石榴(しんせきりゅう)も理想的な母親とは思えない。鳳卿をかわいがる頂怡真(ていいしん)を見た羅十一娘は、頂怡真に任せてはと提案するが、彼女はかつて子供を亡くしたことで子育てに臆病になっていた。一方、鳳卿が徐令宜の子供ではないと察した喬蓮房は、西跨院の石段が修理中だと知ると、鳳卿が徐令寛の子供であることを遠回しに丹陽(たんよう)に伝え、身重の彼女を転ばせて羅十一娘に責任を負わせようと企む。
第20話 恋の戸惑い
羅十一娘に励まされ、心を決めた頂怡真は自ら進んで願い出て、鳳卿の養母に決まる。鳳卿は頂怡真の亡夫の子供として徐家の籍に入り、新たに徐嗣誡(じょしかい)と名付けられる。その頃、母を殺した下手人が残した布と刺繍を頼りに、徐家の女たちの関与を疑う羅十一娘は、丹陽が作った香り袋の刺繍を徐令寛に見せてもらうが、謎はますます深まる。一方、 羅十一娘が無くした愛用の玉簪(ぎょくさん)と瓜二つの簪をわざわざ作らせた徐令宜は、自分の心の変化に戸惑いを覚える。
第21話 心に従う
徐令宜は区家の兵糧着服により、カビた米が軍にまで浸透していることを突き止めた。厳重な取り調べから息子の区励行(おうれいこう)を守るため、靖遠(せいえん)侯は配下を切り捨てる。区励行は父親に叱責された鬱憤を抱え、敗因は徐家の継室が阻止したからだと妻にこぼす。それを聞いた区(おう)若夫人は羅十一娘に会ってみたくなった。徐家では徐令宜が羅十一娘に対し外出の件を探っていた。外出の理由を打ち明けようと羅十一娘が口を開きかけると、喬蓮房が徐令宜に呼びかけて…。
第22話 共に迎えた朝
羅十一娘は中山(ちゅうざん)侯府の宴で姉の羅二娘(らじじょう)と顔を合わせ、腕に痣があることに気づく。王煜(おういく)が暴力を振るったと知り羅二娘の身を案じるが、羅二娘はかたくなな態度を崩さない。酔って屋敷に戻った徐令宜を傅臨波(ふりんは)と照影(しょうえい)は西跨院へ連れていく。酔った徐令宜が子供のようにわがままを言ったことで、羅十一娘は思いがけず夫の愛すべき素顔と心の奥を知る。羅十一娘を嫁として中山侯府に伴ったことで、徐(じょ)大夫人は喬蓮房を気遣っていたが、夜半に喬蓮房の部屋を訪れると…。
第23話 新たな疑惑
母殺しの下手人の手がかりとなる刺繍が、区若夫人の衣にもあったことから、羅十一娘は探りを入れようと決意。区若夫人の刺繍の注文を取りに行く簡師匠の侍女として、区家に侵入する。母が殺された現場を再び調べ始めた羅十一娘は、1年前に重要な証言を残していた少年僧の清暝(せいめい)と再会する。その口から事件当時、女のほかに男もいたと聞かされ、謎は深まってゆく。さらに徐令寛の調べで、事件当日の法事で喬蓮房が中座していた事実を知る。
第24話 偽りの懐妊
徐令宜、羅十一娘、徐嗣諄(じょしじゅん)の3人は寄り添って眠った。翌朝、家族が集まった場で徐嗣諄が徐大夫人に「父上は怖がりで、母上に抱きついて寝る」と話す。大人たちは一瞬戸惑うが、なごやかな笑いに包まれる中、喬蓮房だけが不満げな表情を浮かべる。一方、区励行は衛(えい)国公・任坤(じんこん)と徐令宜の距離が縮まることを懸念していた。区若夫人はそんな夫に衛国公の養女・蓮頌(れんしょう)と茂(ぼう)国公家の王煜を使ったある策を提案。さらに区家所有の店、珍宝斎(ちんほうさい)で羅二娘にも近づき…。
第25話 暴かれた
羅十一娘が調べさせた何(か)氏医館の薬に毒は入っていなかった。どうやら疑いを持っていることを喬蓮房に気づかれてしまったようだ。喬蓮房が羅元娘(らげんじょう)に毒を盛ったという証拠がつかめなければ、いずれ懐妊の嘘(うそ)は露見してしまう。折しも仙綾閣で問題が起きていると聞いた羅十一娘は、秦石榴と花を買いに行くという口実で仙綾閣に向かう。だが、羅十一娘の動きを怪しんだ喬蓮房は、徐大夫人を誘い街へ出て、仙綾閣の前に止まる馬車に目を留め…。
第26話 離縁状
羅十一娘の悪い噂は、たちまち街に広がった。羅十一娘が追い出されてから、しばらく動きを見せなかった徐令宜だが、ある日、羅振興(らしんきょう)を徐府に呼びつけると離縁状を叩きつける。それを目にした喬蓮房は歓喜し、徐令宜の前では善良な女子を演じ続け、これまで冷たかった徐令宜の彼女に対する態度に変化が見られる。喬(きょう)夫人の意向を受けて、徐大夫人もいずれは喬蓮房を徐令宜の正室にと考え始め、すべてが喬蓮房の思惑どおりに進んでいるかに見えたが…。
第27話 七夕の願い
喬蓮房の企みによって悪い噂を流され、評判を落とした仙綾閣に賠償を申し入れた羅十一娘だが、簡師匠から店を共同経営する話を持ちかけられる。都が花灯会で賑わう七夕の夜、祭りに繰り出した羅十一娘と徐令宜は投壺の競争に興じ、想いがかなうという一対の花灯を手に入れる。羅十一娘が実は徐令宜の継室だったと知らされた林世顕(りんせいけん)は、望みを失って大きな衝撃を受ける。そんな姿を目にした琥珀(こはく)は、傷心の林世顕に願いがかなう蓮花灯を差し出す。
第28話 苦しい旅路
羅十一娘は仙綾閣で簡師匠や林世顕と共に母を殺した下手人の手がかりとなる証拠を確かめていた。母が握っていた物と一致する布、徐家の矢、証人の話など、下手人は徐令宜だと言わんばかりの証拠がそろう。動揺する羅十一娘の肩に手を添え慰める林世顕。だがその様子を偶然、店を訪れた文姨娘(ぶんいじょう)と秦石榴が目撃する。秦石榴に引っ張られ屋敷に戻った文姨娘だが、大声で羅十一娘の行いをなじったため徐令宜に聞かれ、徐令宜は仙綾閣へと駆けつけ…。
第29話
徐大夫人は徐令宜を刺したのが誰なのかを密かに調べさせていた。負傷した徐令宜が文姨娘と秦石榴と一緒に屋敷に戻ったことを知った徐大夫人は、2人を呼び出し体罰を与えて羅十一娘が刺したという真相を白状させる。真相を知った徐大夫人が羅十一娘を詰問しているところへ、民を救おうとした徐令宜が山東(さんとう)で焼死したという悲報が届く。激情した徐大夫人は、負傷が徐令宜の死を招いたと羅十一娘を責め、命をもって徐令宜の死を償えと迫る。
第30話 命を狙う影
徐令宜を刺した真相を聞いて逆上した徐大夫人に農場へ追いやられた羅十一娘は、何者かに部屋を荒らされたことを不可解に思い、犯人のあぶり出しを計画。1人で山を歩いて刺客に自分を襲うように仕向け、取り押さえた刺客の正体は農場の副管事だった。背後にいる黒幕は誰か尋問する羅十一娘だが、副管事は飛んできた矢に刺されて死亡。さらになだれ込んできた黒衣の集団が羅十一娘の命を狙うも、そこへ山東で焼死したはずの徐令宜が現れて…。
第31話 癒えぬ傷
無事に徐家へ戻った徐令宜(じょれいぎ)と羅十一娘(らじゅういちじょう)だったが、徐令宜の態度はよそよそしく、荷物も半月泮(はんげつはん)へ引き揚げて別居生活に戻ってしまう。徐令宜は母親に嘘(うそ)をついてまで羅十一娘を守るが、羅十一娘に信頼されていなかったことがわだかまりとなっていた。そんな中、羅十一娘は羅五娘(らごじょう)から懐妊の報告を受ける。幸せそうな羅五娘に早く子を産んだほうがいいと言われ、羅十一娘は思案顔になるが、徐令宜の傷が癒えていないと知り、薬を塗るため半月泮を訪れ…。
第32話 死に絡む思惑
羅二娘(らじじょう)は羅十一娘に王煜(おういく)の死の真相究明を徐令宜から願い出てくれと頼むが、色よい返事はもらえなかった。業を煮やした羅二娘は弔いの装束で徐家の前に跪き続け、花見の宴を台なしにする。徐家には王煜の姉の姜(きょう)若夫人も訪れ、やはり徐令宜の口添えを請うが、徐(じょ)大夫人は頑として受け入れず、姜若夫人は暗に徐嗣諄(じょしじゅん)の婚約の破談を示唆して帰って行く。羅(ら)夫人から「徐嗣諄の縁談が破談になれば許さない」と釘を刺された羅十一娘は、苦しい立場に立つ。
第33話 目には目を
王家で病を患いながらもろくな手当てを受けられない羅二娘のために、長年蓄えた銀子を届けようとする楊(よう)氏だったが、羅家から盗みを働いたと疑われ、銀子を取り上げられたうえ、納戸に閉じ込められてしまう。楊氏に罰を与えた羅夫人は、その後、銀子を王家に届けさせるが、王劉(おうりゅう)氏に見とがめられ、結局、羅二娘の手には渡らなかった。徐令宜の策により、王煜を殺した者が捕まったことで、自分が区(おう)若夫人に操られていたことを知った羅二娘は…。
第34話 重なる別れ
徐家の主母として家政に専念するよう、徐大夫人に釘を刺された羅十一娘は、仙綾閣(せんりょうかく)から離れる覚悟を決める。羅十一娘と酒を酌み交わした徐令宜は、羅十一娘から仙綾閣への深い愛を聞き、その決意を押しとどめるよう諭すのだった。羅家では病が重かった羅夫人が危篤に陥り、羅十一娘たちが実家に集まる。そんな中、実家に戻った羅二娘は同じく重篤な状態ながら放置されていた母の楊氏と再会。羅家の家族たちによる冷酷な扱いに憤りを示し…。
第35話 幸福な朝
羅十一娘のもとを去った徐令宜は、誕辰祝いで文姨娘(ぶんいじょう)を訪ねたが心ここにあらず状態。一方、傷ついた羅十一娘が1人で庭園をさまよっていると、激しい雨が降り出す。雨の中、転ぶ羅十一娘に差し出された傘。期待を込めて見上げると、そこにいたのは冬青(とうせい)だった。落胆し、なかなか立ち上がれない羅十一娘を今度こそ徐令宜が抱き上げる。そしてそのまま西跨(せいこ)院まで送り届けられた羅十一娘は、立ち去ろうとする徐令宜の腕をつかみ…。
第36話 憎まれ役を演じて
病身の羅二娘を心配する羅十一娘だが、羅二娘は羅十一娘への反発で助けを受け入れようとはしない。羅十一娘が策を講じて薬を飲ませたことで羅二娘は回復したが、そのことを知らない王劉氏は、王家はまもなく自分のものになると考え、羅二娘の腹心たる金蓮(きんれん)を売り飛ばそうとする。一方、徐嗣諭(じょしゆ)が真面目で学問好きだと見た徐令宜は、徐嗣諭を四川の謹習(きんしゅう)書院に入れようと考える。徐嗣諭の将来を考えた決断ではあるが、遠くへ送り出すことにはもう1つの理由があった。
第37話 狙われた献上品
皇帝の誕生日・万寿(ばんじゅ)節に献上するため、羅十一娘は“百寿(ひゃくじゅ)図”の制作に没頭する。 万寿節の準備を取り仕切るのが区励行(おうれいこう)だと知った羅十一娘は、林世顕(りんせいけん)の忠告を聞き入れ、“百寿図”を自宅で保管して守ることに。 まもなく四川へ発つ徐嗣諭は、母親の文姨娘のすすめで、徐嗣諄を最後の遊びに誘う。かくれんぼの途中で徐嗣諄が姿を消し、徐嗣諭は急いで羅十一娘に知らせる。慌てた羅十一娘は“百寿図”を入れた引き出しに鍵をかけ忘れて飛び出し…。
第38話 真の間者
農場に追放された文姨娘のもとを兄嫁が訪ね、文家が農民を死に追いやった内密の事件を知る者が文をよこしたと話す。文の送り主に羅十一娘の刺繍(ししゅう)作品を燃やさねば官府に通報すると脅され、文姨娘は文家を守るために作品を燃やしたのだった。だが、その作品の代わりに贈った天之四霊(てんししれい)図を皇帝が絶賛したため、仙綾閣に注文が殺到。祝福する簡(かん)師匠に、自分1人だけでなく、皆の栄誉だと羅十一娘は話す。そして協力してくれた林世顕の身を案じ…。
第39話 絵師の正体
女子が表に出るべきではないと考える徐大夫人は、羅十一娘と仙綾閣との関わりに不満を抱く。羅十一娘の主母としての能力は認めていたが、懐妊の気配がなく徐家の担い手となる男子を増やすことには無関心に見えていた。裕(ゆう)王府で開かれる宴に、今年は羅十一娘も招かれ、徐大夫人や頂怡真(ていいしん)、徐令宜と共に裕王府を訪れる。門前で馬車を降りた頂怡真は林世顕を見て、供養のための竹の絵を描いたのは、区家の人間であったことを知り衝撃を受け…。
第40話 恩と愛のはざまで
秦石榴(しんせきりゅう)の協力を得て、姉・佟碧玉(とうへきぎょく)の死の真相を探ろうとする琥珀(こはく)。秦石榴は羅元娘(らげんじょう)の側仕えだった許(きょ)氏をもてなし、酒で口が軽くなった許氏は、羅元娘が策略のために佟碧玉を徐令宜の寝台に忍び込ませて姨娘にした事実を語る。さらに、嫌がる姉の脅迫に使われたのは妹である自分の存在だったと知った琥珀は、羅家と徐令宜に不信感を抱き、徐家を離れることが羅十一娘のためだと考える。そんな折り、徐令宜の帯が紛失したと徐大夫人の耳に入り…。
第41話 残酷な
冬青が徐令宜の帯を隠し持っていたことが発覚し、徐大夫人は冬青を徐令宜の側室にするか、または仙綾閣との関わりを断つか、羅十一娘に二者択一を迫る。事の真相を聞き出そうとする羅十一娘に、冬青は徐令宜を慕っているため側室にしてほしいと懇願。思ってもみない言葉に羅十一娘は気が動転する。思い悩む羅十一娘の姿を見た琥珀は、しがらみの多い徐家を出て自由に生きるよう説得するが、その言葉を聞いた羅十一娘の胸にある疑念が生まれる。
第42話 最後の告白
徐令宜と羅十一娘は無事に徐(じょ)府へ戻ってくる。羅十一娘は改めて徐令宜を信頼し、和離書は不要だと破り捨てようとするが、徐令宜は今の幸せに気づくためにも取っておくようにと止める。冬青が軟禁された琥珀のもとを訪れ、自分と羅十一娘を陥れたことを責めると、琥珀は徐令宜の非情さを非難し徐家を去るのが羅十一娘のためだと憤る。そこに現れた徐令宜と羅十一娘が根拠を尋ねると、ずっと捜していた琥珀の姉は佟碧玉だったと知らされ、2人は衝撃を受ける。
第43話 思いもかけぬ
羅五娘は産み月を迎えたが銭家の家計は苦しく、夫の銭明(せんめい)は数日後には銀子が尽きそうな状況を隠す。金策に頭を痛める銭明に思いがけない儲け話が舞い込んだ。南方で大口の刺繍の需要があるという。相談を受けた簡師匠と羅十一娘は、店にとっても利があり、羅五娘を助けることもできると考え快く同意。しかし、しばらくすると仙綾閣と海賊が闇取引をしていたという報告が都に届き、簡師匠と共に羅十一娘、繍女までもが捕らえられてしまう。
第44話 命を捨てる覚悟
林世顕は靖遠(せいえん)侯と叔父が交わした密書を盗み見て、羅十一娘と徐家による海賊との闇取引の疑惑が、すべて父親の企みだったことを知る。林世顕に激しく非難された靖遠侯は、もし告発すれば区一族が皆殺しになると釘を刺し、思いとどまらせようとする。投獄された羅十一娘は、今回の陰謀は確たる証拠がそろい、挽回の望みが薄いことを林世顕に知らされる。徐家に向けられた陰謀の矛先をかわすため、羅十一娘は林世顕にある計画を打ち明ける。
第45話(最終話) 家 和して万事成る
靖遠侯に追われる徐令宜は羅十一娘を救いに皇宮へ近づくため、あえて靖遠侯配下の一団に紛れ込む。順調に進んだが、ついには露見し衛(えい)国公・任坤(じんこん)に救われる。投獄された羅十一娘は処刑の執行時刻が迫り、囚人姿で刑場まで運ばれ沿道の人々の悲しみを誘った。徐府では羅十一娘を救うため、徐大夫人が命懸けで外出を強行し家族総出で刑場へ向かう。刑場で徐大夫人は毅然と羅十一娘を守ろうとするが引き離され、ついに刑が執行されようとしていた。