あらすじ
生まれて初めて村を出て、椋(りょう)国の都・慶康(けいこう)にやってきた少女・江慈(こうじ)。御苑(ぎょえん)で行われる尉(い)国との和議を見物しようと木の上に登ったところ、そこに尉国の大使を狙う仮面の刺客が現れる。刺客の企ての邪魔になった江慈は、毒を仕込まれたあげく刺されて木から落下。現場は騒然となり、駆けつけた剣鼎(けんてい)侯・裴琰(はいえん)は、江慈を刺客の目撃者として保護し、自分の屋敷に連れて帰る。刺客の正体は、月落(げつらく)城の亡き城主の息子・蕭無瑕(しょうむか)。蕭無瑕は月落城の復興と復讐のために普段は本当の身分を隠し、光明司(こうめいし)の指揮使(しきし)・衛昭(えいしょう)として椋国の皇帝に仕えていた。一方、裴琰の屋敷で手厚い看病を受けた江慈は無事に回復。裴琰に連れられて外出をするが、彼女の前に再び蕭無瑕が現れる。
第1話 2つの顔を持つ男
師匠のもとを抜け出し、皇宮に忍び込んだ江慈(こうじ)。しかし、仮面の刺客に突然口を塞がれて毒を仕込まれたあげく、刺されてしまう。御苑では椋(りょう)国の剣鼎(けんてい)侯・裴琰(はいえん)が、和議のためにやってきた尉(い)国の鴻臚(こうろ)寺卿・滕瑞(とうずい)を接待していたが、仮面の刺客が滕瑞を襲い、その場は大混乱に。たまたま江慈を助けた裴琰は、江慈が刺客を目撃した可能性があると考え、自分の屋敷に連れて帰る。一方、椋国の光明司(こうめいし)指揮使(しきし)である衛昭(えいしょう)は、ある男を捕らえて過去の事件を追及していた。
第2話 快適な療養生活
衛昭から受けた傷によって昏睡していた江慈だが、剣鼎侯府での裴琰や彼の食客である崔亮(さいりょう)の手厚い看病の甲斐あって、ついに目を覚ます。江慈は裴琰から刺客の容貌を尋ねられるが、報復を恐れて「覚えていない」と嘘(うそ)をつく。近寄りがたいと思っていた裴琰は意外にも親切で、美食三昧の療養生活は実に快適だった。芳林苑(ほうりんえん)に潜入する前に湖畔に隠した猫の泥人形が入った荷物を取り戻すため、江慈は剣鼎侯府から脱出しようとするが…。
第3話 罠わな には罠を
脱出を試みた江慈は、あえなく衛昭に捕らえられる。しかし、衛昭は江慈をいたぶるだけで、殺害しようとはしない。救出に駆けつけた裴琰にそれを告げると、裴琰は自分たちが罠(わな)にかかったことに気づき、今度は滕瑞の暗殺を阻止しに向かう。衛昭の実の名は蕭無瑕(しょうむか)。月落(げつらく)城の前城主の息子で、数々の屈辱に耐え、椋国の光明司にまで上り詰めたのだ。一方、江慈の師匠・喬燕(きょうえん)は江家(こうか)村を出て、攬月(らんげつ)楼の妓女(ぎじょ)・素煙(そえん)のもとを訪ねていた。
第4話 双方から利用されて
江慈の命を救うための護心丹(ごしんたん)をかけた囲碁の戦いが始まった。どうしても護心丹を手に入れたい荘(そう)王は、側近の助言により護心丹を偽物とすり替える。勝利した裴琰はすり替えられた偽物の護心丹を得るが、これは荘王の側近が敵の間者であると疑い、それを確かめるためにだまされたふりをした策略。江慈は裴琰の母が以前から持っていた護心丹を飲んで一命を取り留めるが、間者をあぶり出すために江慈を危険にさらした裴琰を崔亮は非難する。
第5話 能ある鷹たか は爪を隠す
江慈は衛昭に脅されて滕瑞の監視を続けていたが、彼女の報告に衛昭は不満を抱き、猫の泥人形を返そうとしない。一方、皇太子と裴琰たちが攬月楼で享楽していたせいで滕瑞の身辺警備がおろそかになったことを知った皇帝は激怒。裴琰は、自分の寵愛(ちょうあい)する侍女が行方不明になったため、捜索に長風衛(ちょうふうえい)の兵を利用したとすべての罪をかぶる。そんな中、裴琰の母である容玉蝶(ようぎょくちょう)が屋敷に帰ってくる。何やら訳知り顔で息子の思惑を語るが…。
第6話 陛下の密会
剣鼎侯府では、容玉蝶の誕辰(たんしん)の祝宴が開かれていた。そこへ皇帝が訪れ、容玉蝶は宴席を中座して皇帝に会うことになった。その様子を建物の外から見つめる裴琰。密会を終えた皇帝は、裴琰に「そなたは朕(ちん)に似ておる」と言う。江慈は宴席の合間にも衛昭に脅され、衛昭が刺客だということを裴琰には言えずにいた。そして祝宴がお開きになった頃、滕瑞が宿泊している剣鼎侯府の別院からは火の手が上がっていた。裴琰は別院ヘと急ぐが…。
第7話 不苦粥ふくしゅく の味
別院の火事により滕瑞が死亡。裴琰は謹慎を命じられたが、皇帝から10日間の猶予を賜ると、江慈を伴い火事の捜査を始める。一方の衛昭は、焼死に見せかけて連れ去った滕瑞を配下に尋問させ、父の無実の証拠を探っていた。火事の原因を検討する中で、衛昭に疑いの目を向ける裴琰。衛昭に対し、月落城の前城主の息子・蕭無瑕が怪しいと疑念を口にする。そんな中、江慈は裴琰や衛昭たちに自ら考案したという“不苦粥(ふくしゅく)”を振る舞う。その思惑は…。
第8話 弱き者たちの悲しみ
江慈は、取り調べでの范義(はんぎ)のある言葉に引っかかり、滕瑞を焼死させた犯人は別院の裏手から侵入したという仮説を立てる。それを聞いた裴琰は河から排水口を通る経路に思い当たり、皆で現場を検分すると、服の繊維や足跡が見つかった。それらの証拠から、水中の暗殺が得意で滕瑞と不仲だという尉国人の容疑者が浮かび上がるが…。衛昭と2人きりになった江慈は、衛昭こそがこの事件のすべてを仕組んだ黒幕・蕭無瑕であると指摘する。
第9話 玉ぎょく のひさご
滕瑞は生きていて、鎮遠(ちんえん)大将軍・盧瑜(ろゆ)の屋敷にいると思われたが、万一誤解だった場合は皇帝と盧瑜の間の緊張が増すため、裴琰はそれを口に出せない。そんな中、滕瑞を死なせた裴琰を処罰するよう、尉国の禁軍統領・雷震(らいしん)が皇帝の前で訴える。滕瑞が江慈に贈った玉(ぎょく)のひさごがその証拠として示されたため、江慈、裴琰、ともに牢(ろう)へ入れられることになった。裴琰はほとぼりが冷めたら釈放されそうだったが、江慈のほうは衛昭が尋問することになり…。
第10話 燃やされた文ふみ
滕瑞の救出を祝う宴(うたげ)の席上、皇帝は清輝(せいき)河の船上で和議の式典を催すと決めると、改めて裴琰に采配を命じた。衛昭は志半ばにして死んだ月落の仲間たちへの思いを胸に、剣の舞を披露する。裴琰が人命よりも自分の職務を優先させたことに傷ついた江慈は、仮面の刺客の正体が衛昭だと記した裴琰宛の文(ふみ)を燃やす。そんな中、滕瑞誘拐の一件で、図らずも長風衛の監視を受ける盧瑜は、裴(はい)氏の封地・南霊(なんれい)からの密造武器輸送が難航し焦っていた。
第11話 舟の上での出来事
小舟に乗って灯籠流しを楽しむ裴琰と江慈。街の人々が剣鼎侯に気づき、相手の娘は誰かと注目が集まる中、裴琰は江慈を抱き寄せようとする。拒んだ江慈は裴琰に小刀を持たされ、裴琰の胸を刺してしまう。その噂(うわさ)は皇帝の耳に入り、裴琰は役職を辞し、謹慎することで許された。これは皇帝の警戒心を解くため、裴琰が仕掛けた芝居だった。衛昭から真実を告げられ、江慈の裴琰への不信感が一層強くなる。そんな時、南霊の鋳造司(ちゅうぞうし)に問題が起きた。
第12話 月下に永眠する者の墓場
鋳造司で起きた兵器の事件を調べるため、衛昭と裴琰は南霊に赴き、裴(はい)家の屋敷に宿泊した。その夜、裴氏一族の酒宴が設けられたが、一族の裴琰に対する態度に一族内の複雑な関係がかいま見え、事件の解決は困難を極めると衛昭も裴琰も実感する。江慈と崔亮は酒宴の空気に耐えきれず、退出して夜の街へ繰り出す。江慈は夜店で衛昭とばったり出くわし、粥(かゆ)を食しながら不苦粥の由来や意味を聞く。江慈の心は揺れ動くが…。
第13話 古米の謎
裴琰、衛昭らは、南霊の城内で流通している刀や米について調べていた。水辺で稲に似た植物を見つけた江慈は、それが真菰(まこも)で、飢えた庶民がその種子を採って食べていると知る。ほぼ採り尽くされていることから飢餓民が多くいると推測されたが、城内で飢餓民を見かけることはなく、その謎を探るために裴琰は米穀商を、衛昭は飢餓民の行方を調べることになった。庶民が食べていくことの大変さを知っている江慈は、衛昭と行動をともにする。
第14話 一族の不正を暴く
刺史(しし)府では、粗悪な武器が製造されたことと城内の米穀店で古米しか売られていないことを巡り、鋳造司と八大米穀商の資金の流れについて審理が始まった。粗悪な武器が製造されたのは、職人が未熟だったせいだと言い張る刺史・何振文(かしんぶん)だったが、何振文の息子の配下が飢餓民を廃寺に閉じ込めて虐げていたことを指摘されると、「南霊では裴一族がすべてを牛耳っており、粗悪な材料を使うよう族長から提案された」と言い出す。一族の危機に裴琰は…。
第15話 人形飴あめ の味
飢餓民に心を痛める江慈(こうじ)を見て、穀物倉庫から食料をもらえる許可書を出す裴琰(はいえん)。こうして江慈は崔亮(さいりょう)とともに倉庫へ赴くが、2袋を差し出されただけで追い返されてしまう。仕方なく河辺に行き、船頭の李阿顔(りあがん)とともに植物の採集をはじめる江慈。そこへ何振文(かしんぶん)の息子の何永林(かえいりん)が嫌がらせをしに来るが、衛昭(えいしょう)が駆けつけて2人を助ける。衛昭は江慈に“悪には悪を”と持ちかけ、2人で倉庫から食物を強奪。どんどん親しくなる2人を見た裴琰は…。
第16話 本当の黒幕
南霊(なんれい)の郊外にある別荘・碧荷(へきか)荘に容玉蝶(ようぎょくちょう)の使いである阿杜(あと)と何振文の姿があった。武器問題を刀鍛冶の未熟さと裴(はい)一族による汚職のせいにするはずだったが、李阿顔が刀鍛冶だった夫の無念を晴らそうと裴琰に訴えたため、計算が狂ってきていた。何永林は父親の窮地を救うため、李阿顔の訴えを取り下げさせたかったが、李阿顔は長風塢(ちょうふうう)で寝泊まりしていて手が出せない。そこで「遺品が見つかった」という噂(うわさ)を流しておびき出し…。
第17話 立ち上がった娘たち
裴琰は何振文から、母・容玉蝶の基盤を守ることを約束する代わりに、息子の悪行を見逃すよう頼まれて悩んでいた。江慈は、李阿顔のように何永林に暴行された娘が他にもいるとにらみ、協力して何永林を訴えることを思いつく。しかし娘たちは何(か)家からの報復や、世間の目にさらされることを恐れて協力を拒む。衛昭は先日の裁判が短時間で形勢逆転したことに目をつけ、身売り契約書の真偽を疑う。李阿顔も江慈とともに戦うことを決意し…。
第18話 残された矢じり
月落(げつらく)にて次期城主の選出日が近づき、長老たちより帰還するよう連絡を受けた衛昭は、盧瑜(ろゆ)と鋳造司(ちゅうぞうし)の闇取引を利用して月落に戻ることを計画する。一方、裴琰は母から、何振文に手心を加えるよう求められる。しかし、何振文は帳簿を渡すことと引き換えに、再び江慈の処刑を要求した。そんな中、何永林の手に残った矢傷が、芳林苑(ほうりんえん)の刺客が使った矢じりの形と一致。こうして裴琰の衛昭への疑惑は確定したが、そうとも知らず衛昭は動き出し…。
第19話 2つの泥人形
衛昭を助けるために長風塢へ戻った江慈は、慶康(けいこう)へ連れ帰ろうとする裴琰から逃れて衛昭の部屋に隠れていた。腹の探り合いをする衛昭と裴琰は、外で手合わせをすることに。2人が剣を交えている隙に安澄(あんちょう)は隠れている江慈を捜すが、彼女の姿はなく、裴琰はやむなく引き上げる。一方、密造武器について鋳造司が盧瑜、容玉蝶、それぞれとやり取りした帳簿は何振文が隠し持っており、裴琰と衛昭の双方がその帳簿を入手しようと躍起になっていた。
第20話 月落げつらく への道
裕州(ゆうしゅう)島の竜王祠(りゅうおうし)で師匠である喬燕(きょうえん)を待っていた江慈は、仲介人を名乗る老婦人から、師匠は月落へ行ったと聞かされる。月落へ行く決意を衛昭に伝えると、「任務を命じられている椋(りょう)州と同じ方向だから」と同行してくれることに。月落行きは皇帝には秘密だったが、椋州で武器について調べよという皇帝からの命令書を取りつけていた。一方、慶康に戻っていた裴琰は、南霊での武器密造について母を問いただすと、受け入れ難い提案をされる。
第21話 新城主選出会
再起の機会をうかがっていた裴琰は、兵制の改革に目をつけた。朝廷にとって長風衛(ちょうふうえい)と鎮遠(ちんえん)軍は悩みの種だったからだ。鎮遠軍の支配が朝廷に移れば、盧瑜と対立する裴琰にとっても好都合である。裴琰が改革案を皇帝に上疏(じょうそ)すると、体よく鎮遠軍を支配できることになった皇帝は、裴琰の復職を許した。少しずつ光が見えてきた裴琰だが、江慈とともに過ごした日々を懐かしく思い出す。その頃、すでに江慈は衛昭らとともに月落に到着していた。
第22話 月落の裏切り者
城主選出に現れた男は蕭無瑕(しょうむか)だという噂が広まり、蕭海天(しょうかいてん)を恨む月落の民は、無人の蕭(しょう)家を荒らして鬱憤を晴らそうとする。それに心を痛めた江慈は荒れ果てた蕭家を掃除し、衛昭と幼少の頃のことを語り合って心を通わせる。その傍ら、江慈は月落で師匠捜しを続けるが、手がかりは得られない。喬燕が父の冤罪(えんざい)を晴らす鍵だと気づいている衛昭は複雑な心境で見守る。一方で裴琰は、兵制改革を進めるべく盧瑜のもとへ向かうが…。
第23話 簪かんざし は誰の手に
月落の長老4人のうち、盧瑜と気脈を通じている裏切り者をあぶり出すため、衛昭はあえて長老たちに捕まる。長老たちは、城主の選出会を妨害したこの若者が蕭無瑕かもしれないと疑ってはいたものの、確信が持てずにいた。盧瑜は衛昭を捜すため、また選出会を監視するため、配下の張之誠(ちょうしせい)を月落へ派遣する。裴琰は、選出会を妨害して捕まった男は衛昭かもしれないと考え、月落にいるはずの江慈を連れ戻すべく、月落城内へと入る。
第24話 寡婦かふ の大芝居
蕭無瑕の寡婦(かふ)だと名乗った江慈が黎木(れいぼく)の裏切りを暴露すると、黎木と張之誠は長老たちに成敗される。実は洪夜(こうや)と蕭無瑕は通じ合っており、盧瑜と結託する長老をあぶり出す計画だった。裴琰は江慈を連れ帰ろうとするも、拒まれたうえに誤って江慈を傷つけてしまう。失意に暮れる裴琰の目の前に現れた盧瑜は、張之誠の死の責任は裴琰にあると責める。だが張之誠の死を巡っては、衛昭、裴琰、盧瑜がそれを利用しようと策を巡らせていた。
第25話 嘘うそ か本心か
鎮遠軍の返上に抵抗すべく、盧瑜は狡猾(こうかつ)な策を立てた。張之誠の死を月落の陰謀に仕立て、月落を討伐するため兵を挙げる。協力を求められた裴琰は、江慈が気になって決心がつかない。盧瑜は月落城の裏手に精鋭部隊を回し、そこから潜入した部下に城門を開けさせようとする。一方、霊柩(れいきゅう)花を育てようとする江慈は、衛昭の部屋で壊れたはずの猫の泥人形を見つける。裏切られたと思った江慈は月落を去ると決めるが、盧瑜の精鋭部隊を見かけ…。
第26話 分裂する月落の統率者
鎮遠軍との戦いで洪(こう)城主は戦死し、多くの死傷者も出た。平(へい)長老、吉(きつ)長老、そして洪傑(こうけつ)は、「お前が月落に戻ってから悪いことが続いている」と蕭無瑕を責め、蕭無瑕は「盧瑜に打ち勝ったあと、どんな処分でも受ける」と血の誓いを立てる。一方で盧瑜は、侵入用の地下道を掘る、民を脅しに使うなど、月落を潰す方法を考えていた。江慈は軍医のところへ負傷兵の救護を手伝いに行き、裴琰は江慈を傷つけずに取り戻そうとするが…。
第27話 雪の中 寄り添う2人
月落の民の骸(なきがら)を城内に運ぶ蕭無瑕。それを妨害する盧瑜を裴琰が制止する。盧瑜は月落の造反を理由に、すぐには帰京できぬと時間を引き延ばしていたが、皇帝は衛昭からの報告を信じて盧瑜こそが反徒と断定。裴琰に衛昭と協力して成敗するよう命じる。裴琰は5日以内に月落を投降させると盧瑜に約束すると、蕭無瑕のもとを訪ねる。そして、協力すれば盧瑜を慶康に帰すことは難しくないと話し、加えて帳簿を返せば素性の秘密を守ると提案する。
第28話 江慈こうじ の素性
鎮遠軍を引き連れた盧瑜が再び開城を迫った。裴琰が稼いだ5日の猶予の間に準備を整えた衛昭たちは、鎮遠軍を混乱に陥れて捕虜の月落人たちを救う。一方、江慈に会うため鎮遠軍に紛れ込んだ喬燕だったが、衛昭に見つかり捕まってしまう。喬燕を捜すため衛昭に利用されていたと知って激しく傷つき、そのうえ鎮遠軍に拘束される江慈。持っていた猫の泥人形が盧瑜の目の前で割れ、出てきたのは江慈の出生の秘密が書かれた手紙だった。
第29話 斉せい 王の娘
盧瑜(ろゆ)の陣営から解放されて休んでいた江慈(こうじ)のもとへ裴琰(はいえん)が訪ねてくるが、剣鼎(けんてい)侯との縁は切れたと江慈は拒絶する。そして、衛昭(えいしょう)に対しても「あなたを許したわけではない」と言う。江慈からの信頼を取り戻すため、衛昭は江慈と喬燕(きょうえん)を会わせることにするが、喬燕は江慈に「あの男だけは駄目」と忠告する。衛昭は自分の目的を果たすために引き続き喬燕を拘束しようと考え、一方の江慈は衛昭から離れることを決意していた。
第30話 それぞれの想い人
亡き斉(せい)王の分まで慈しみたいと言う皇帝に宮中の住まいを与えられた江慈。やがて冊封される郡主として恥ずかしくないよう礼儀を教わる日々が始まるが、それが江慈には窮屈でたまらない。そんな中、裴琰の母・容玉蝶(ようぎょくちょう)は董(とう)左丞相(さじょうしょう)を屋敷に招き、息子の釣り書きを渡して縁談を進めようとしていた。丞相の娘が妻であれば、いずれ息子が天下を取るときに味方が増えると考えたのだ。だが裴琰は、江慈を妻に迎えるべく動き出し…
第31話 詩と花に込めた想い
偶然街で会った江慈、衛昭、裴琰、崔亮(さいりょう)と董涓(とうけん)。崔亮の提案で攬月(らんげつ)楼にて酒宴を開くが、江慈をめぐる対立から緊張した空気に包まれる。董涓の崔亮への想いを察し、剣鼎侯府での誕辰(たんしん)の宴(うたげ)で董涓と会ったことを隠して初対面のようにふるまう江慈。互いの心情や境遇に共感した江慈と董涓は意気投合する。後日、江慈が郡主に冊封されることを祝うために催された宴にて、皇太子、董涓、裴琰、衛昭らが詠む詩に江慈が花を選ぶ余興が行われるが…。
第32話 容よう 国夫人の策略
姉の衛(えい)妃の死因に疑問を抱いた衛昭は、太医(たいい)署の担当医師に当時のことを詰問するが、衛妃は生きる望みを失っていたと聞いてさらに疑問が深まる。そんな中、容玉蝶から呼ばれた衛昭は剣鼎侯府へ。容玉蝶は衛昭に、衛妃は蔵紅(ぞうこう)花で早産を誘発されて難産に至って死亡したと話す。そして、それができるのは皇帝だと告げると、ともに皇帝と戦おうと衛昭を仲間に誘う。信用していいものかと衛昭は迷うが、そこへ喬燕の姿が消えたという知らせが入り…。
第33話 花嫁の脱出計画
江慈と裴琰の婚礼の日が近づいていた。江慈は董涓に、婚礼から逃げ出すつもりだと打ち明ける。江慈に共感する董涓は協力を申し出て、自分の分も自由に生きてほしいと願いを託す。一方、容玉蝶と手を組んだ喬燕は、裴(はい)府から届けられる聘礼(へいれい)の車隊に紛れて皇宮へ潜入することに。婚礼当日、偏殿(へんでん)に向かう喬燕の姿を見かけた江慈は、師匠が自分を捜していると考えて脱出計画を断念。婚儀が始まろうとしたそのとき、衛昭が大殿に駆け込んできて…。
第34話 砕かれた心
皇帝に退位を迫る容玉蝶の陰謀は失敗に終わった。容玉蝶は処罰され、喬燕の死に江慈は深く傷つく。容玉蝶の手勢の潜入を許すという失態を犯し、皇帝に謝罪する衛昭。皇帝は椋(りょう)州から戻ったあとの衛昭の変化に不信感を抱き、椋州で起きたことを調べるよう陶紫竹(とうしちく)に命じる。その任務を受けた内廷司(ないていし)の姜遠(きょうえん)は、打倒衛昭を狙っていた。巷(ちまた)では、斉王を殺したのは実は皇帝だという噂(うわさ)が流れ、皇宮内外は不穏な空気に包まれる。そして、ついに大事件が…。
第35話 犯人捜し
皇帝に毒を盛ったとして江慈は捕らえられ、大理寺(だいりじ)が捜査を任されていた。そんな中、江慈の側仕えである流翠(りゅうすい)から話を聞いたり、大理寺に忍び込んで取り調べの記録を見たりと独自に調べる衛昭。しかし、大理寺が一部しか毒の検査をしていないのに江慈を犯人だと決めつけていることなど、納得できない点が多かった。そこで、荘(そう)王に近づいて江慈救出の道を探ることにする。一方、裴琰も江慈のことを知り、力を借りようと皇太子に会っていた。
第36話 兄弟の宿命
皇帝暗殺の容疑で法廷に呼び出された江慈。于(う)大理寺卿(だいりじけい)は、江慈が犯人だと決めつけるが、殷(いん)御史(ぎょし)は皇太子と荘王への容疑を示す2つの証拠を提示する。そこへ皇帝が現れ、真犯人は陶紫竹だと言明。陶紫竹も罪を認めた。しかしこれは、息子たちの関係悪化を恐れた皇帝が、陶紫竹に罪を負うよう命じたからであった。皆をその場から解散させて衛昭だけを留まらせた皇帝は、江慈には夫がいて、夫は月落(げつらく)の蕭無瑕(しょうむか)だという噂を耳にしたと衛昭に話し…。
第37話 待ち受ける恐ろしい策略
董涓は出征前の崔亮に会いに来ると、縁談が決まったことを告げる。崔亮は渾身の著作とともに、大事にしていた折り紙を贈った。それを見た董涓は、崔亮こそが自分がひそかに慕っていた才子だと悟り、はかない運命に涙する。一方、衛昭への誤解が解けた江慈は、彼とともに戦うことを決意し、椋州へと向かう。尉(い)軍を撃退して珠(しゅ)州を取り戻すため、衛昭と裴琰、岳景隆(がくけいりゅう)は作戦を練り、衛昭が奇襲をかけることになったが、そこには恐ろしい策略が…。
第38話 腹心の最期
椋州の椋(りょう)軍営では、游然(ゆうぜん)が同じ国のために戦う武将同士でありながら、兵士からの人望が厚い裴琰に嫉妬していた。それを知った盧瑜は、2人を離間させることで椋軍に揺さぶりをかける計画を立てる。捕虜として配下の兵を城内に入れ、城の内外から襲撃するのだ。罠(わな)に落ちた游然は盧瑜に殺され、裴琰は月落の民を連れ避難を始める。裴琰は安澄(あんちょう)を珠州に向かわせ、江慈と衛昭たちの誘導を命じた。危険な使命を受けた安澄は死闘を繰り広げるが…。
第39話 独断で決めた祝言
裴琰、衛昭、洪傑(こうけつ)が率いる椋・月落連合軍と高修(こうしゅう)が率いる尉軍との戦いが始まり、兵力が劣っているにもかかわらず連合軍が勝利した。大きな戦功を上げ、全軍が敬服した衛昭に対し、皇帝の警戒心がより高まったのは必然だった。衛昭は平無傷(へいむしょう)に頼み、江慈を守ろうと遠くへ連れて行かせるが、江慈がそれに気づいて戻ってきた。そして月落にある隠れ家で、「あなたのそばにいたい」と言うのだった。衛昭も江慈を妻にする決心をしていたが…。
第40話(最終話) 月落げつらく に残る決意
褒賞式典で斉王の死の真相を暴けないまま、衛昭は「斉王を弔う」という名目で皇帝とともに摘星(てきせい)閣へ入っていった。その頃、易飛(えきひ)と崔亮が守っていた江慈の隠れ家に、皇帝の命を受けた姜遠が踏み込んでくる。江慈は辛くも逃げ出すが、姜遠の体に硫黄の臭いがしたことから、摘星閣に火薬が仕込まれていることを察知する。摘星閣には20年前、即位前の皇帝がひそかに斉王を訪ねてきており、当時の兄弟の会話が皇帝の口により明らかにされていく…。
第1話〜第14話
第15話〜第28話
第29話〜第40話