あらすじ
零(れい)州一の豪商の娘・沈妙(しんみょう)は優秀な役人・裴衍禎(はいえんてい)と夫婦になる。それは、皇帝に嫁ぎ後宮に入ることを避けたい沈妙と第九公主の婿になりたくない裴衍禎の思惑が合致した契約結婚だった。ほとぼりが冷めたら和離(婚姻の解消)をするつもりの沈妙と恋愛には関心のない裴衍禎だったが、夫婦のふりをしているうちに2人の間には不思議な感情が芽生えていく。しかし、ある理由から結局は別れ、沈妙は沈家に次ぐ富商の御曹司・宋席遠(そうせきえん)と2度目の契約結婚をすることに。そんな中、沈妙のオメデタが判明し…。こうして前代未聞のトライアングル・ラブが幕を開ける!!
第1話 苦肉の策の政略結婚
零(れい)州の豪商・沈謙(しんけん)は皇太后から下された縁談を断るため、娘の沈妙(しんみょう)には決まった相手がいると嘘をつく。君主を欺いた罪に問われないためには1カ月以内に娘を嫁がせなければならない。用心棒募集の名目でひそかに婿を選ぼうとするが、なぜか、その場に小役人の裴衍禎(はいえんてい)が結納を用意して乗り込んでくる。裴衍禎は「以前の約束どおり令嬢を頂きにきた」と求婚するが、沈謙は約束した覚えがない。体よく断ろうとすると裴衍禎は意外な話を切り出す。
第2話 番狂わせの新婚初夜
和離する前提で嫁いだ沈妙。その決心は固いものの、思いがけず男前だった裴衍禎の容姿に少なからずときめいている。新婚初夜、裴衍禎を酔いつぶして、美しい婿をじっくり鑑賞しようとする沈妙だが、目を覚ますと酔いつぶれたのは自分のほうで、そのあげくに一夜をともにしてしまったらしいと気づく。裴衍禎の貞操を奪ったことに責任を感じる沈妙は和離を切り出しにくくなり、彼が自分に愛想を尽かせて和離を切り出すよう、あの手この手を繰り出すが…。
第3話 旦那様のご機嫌取り
裴衍禎の思いも寄らぬ優しさに触れるうちに、和離の決意が揺らいでいった沈妙。小姨娘(いじょう)からも、女心の分かる裴衍禎を大切にするほうが得策だと入れ知恵される。ふとしたことから、水害で大量の罹災民が出たことを知った沈妙は、父親の財力によって民を救うだけでなく、その功績を裴衍禎のものにしようと思いつく。沈妙は手を変え品を変え、裴衍禎の機嫌取りをしたが、どういうわけかつれない態度を取られ、戸惑いを隠せない。
第4話 寝耳に水の親戚関係
妓楼(ぎろう)の寝台で目覚めた沈妙は隣に寝ている裴衍禎を見て、今度は腕ずくで夫に迫ってしまったと思い悩む。思いがけない後朝(きぬぎぬ)の気まずさを感じながらも、2人の距離は確実に近くなっているようだ。沈妙は武術ができない裴衍禎の身を案じ、裴衍禎は沈妙を利用していることに罪悪感を覚え始めていた。きっかけはどうあれ幸せへの1歩を踏み出したかに見えた2人だが、ある日、沈(しん)家に裴(はい)家の族長らがやってきて2人の驚きの関係が明らかにされる。
第5話 端午節の新たな出会い
「和離を迫るなら裴家を捨てる」とまで言った裴衍禎に、やっと裴衍禎と暮らしたいという気持ちに素直になれた沈妙。しかし、そのせいで裴衍禎の前途が断たれることになるのではという不安もあった。さらに朝廷からは2人の和離を命ずる聖旨(せいし)が届き、沈妙は裴衍禎の前途と沈家の安泰のために自ら和離状を書く。「私が必要とする人はあなたではない」と心にもないことを言う沈妙に納得がいかない裴衍禎だが、街では2人の悪い噂(うわさ)ばかりが立って…。
第6話 二番目の花婿
沈妙が裴衍禎と別れて独り身になったことから、沈園には財産目当てで求婚する男たちが殺到していた。そこに現れたのが宋(そう)家の当主、宋席遠(そうせきえん)。沈妙は再嫁(さいか)に乗り気ではなかったが、後宮入りを避けるための方便として、宋席遠の求婚を承諾する。一方、裴衍禎は皇帝の意向に背き、第九公主の好意を拒む。その第九公主から、沈妙は貴妃になると聞かされ急いで沈園へ。そして沈妙が宋席遠に嫁ぐことを知った裴衍禎は苦悩の末、ある決意をする。
第7話 宋家の内情
混乱の中、無理やり婚儀を終えた宋席遠と沈妙だったが、宋席遠は罪の疑いをかけられ裴衍禎に府署へ連れ去られる。2度目の嫁入りでも婚家に1人で入ることになった沈妙。これまで宋家の奥向きを預かってきた宋席遠の庶母(しょぼ)にとっても、宋席遠自身の姨娘らにとっても沈妙は目障りな存在だった。宋家を自分の息子のものにしたいと考える2人の庶母は機先を制して沈妙を勢力下に置こうとするが、沈妙はこれを機転で切り抜け、逆に姨娘たちを手なずける。
第8話 父親は誰?
裴衍禎との既成事実をねつ造するために策を弄した第九公主。しかし、催眠香をたいた部屋に閉じ込められたのは宋席遠と沈妙だった。第九公主の思惑を知った裴衍禎が扉を破って部屋に入ると、そこには寝乱れた2人の姿が。あらぬ場面を目撃され傷ついた沈妙に、裴衍禎は今も想っていることを伝えるが、沈妙は第九公主との縁談を祝福してその場を去る。宋家で1人酔いつぶれた沈妙を優しく介抱する宋席遠。その2カ月後、沈妙は突然の吐き気に襲われた。
第9話 昨日の敵は今日の友
すったもんだのあげく、懐妊月数の結論が出なかったため、沈妙は宋家を出て実家へと戻る。一方、裴衍禎の元に送った刺客が全滅したことから、皇太后は裴衍禎への疑いを深め、宋席遠を懐柔することに。皇太后は、沈妙の子供の父親が宋席遠だと診断するよう太医(たいい)に言い含めるが、太医の見立ては誰もが予期せぬものだった。思いどおりに事を運べず、いらだつ皇太后は沈家の米店を閉鎖する。すると沈妙の身を案じる裴衍禎は、驚きの一手に出て…。
第10話 白菜と蜂の子の対決
偶然、秋(しゅう)姨娘と宋五(そうご)の策略を知った沈妙は黒装束に身を包み、賊に襲われた裴衍禎を助けたつもりになる。屋敷まで送られた裴衍禎は、沈妙が離縁を考えていることを知ると宋席遠の筆跡を真似て離縁状の偽造に協力した。こうして宋家との婚姻も解消されたが、宋席遠と裴衍禎は何かと沈妙に付きまとう。自分を巡る2人の恋のさや当てを煩わしく思いながらも裴衍禎を忘れられない沈妙。心の動揺を避けて湖へ釣りに出かけると、嫌みな若様に絡まれ…。
第11話 皇帝の御汁物
湖で会ったぶしつけな若様が皇帝だと知った沈妙(しんみょう)は、皇太后と皇帝がそれぞれ父・沈謙(しんけん)と自分に会いにきたことで、このたびの行幸の目的は沈(しん)家ではないかと不安になる。皇太后は沈園で夕食を取ると言いだし、面倒を避けて部屋に引きこもろうとした沈妙は敬徳(けいとく)が迎えに遣わされたことで顔を出さないわけにはいかなくなった。何かと口実を設けて部屋に下がろうとするものの、皇太后は執拗(しつよう)に沈妙を引き止め、皇帝が釣った魚の汁物を飲むようにと勧める。
第12話 再び訪れた危機
裴衍禎(はいえんてい)が手に入れた解毒薬のおかげで、何とか子供を産み落とした沈妙。しかし医者からは、難産で体が傷ついたため、この先5年は身ごもらないよう忠告される。実のところ、裴衍禎は己こそ子供の父親だと知っていたが、沈妙母子を守るため、あえて蕭太医(しょうたいい)に懐妊月数を偽らせていた。一方、執念深い皇太后は、今度は親子鑑定を口実に沈妙の子供を殺すことを思いつく。その親子鑑定で裴衍禎が父親と判定され、皇太后は内心ほくそ笑んだのだが…。
第13話 再会と告白
沈宵(しんしょう)が生まれて3年、裴衍禎からは何の便りもなかったが、宋席遠(そうせきえん)は熱心に沈宵の世話に通い、沈妙と3人家族のように仲むつまじく過ごしていた。その頃、都には皇太后の兄・秦祖沢(しんそたく)が戻り裴衍禎たち皇帝一派を追い詰めようと画策、零(れい)州にも手を回し沈家を陥れようとしていた。それを知った裴衍禎は零州へ戻り、沈妙とぎこちない再会を果たす。沈妙は再会に動揺しながらも商売敵の店へ偵察に行くが、そこは沈家を陥れるために作られた店だった。
第14話 残酷な招待状
宋席遠と酒を酌み交わしながら肩を寄せ合っていたはずの沈妙だったが、朝には自分の寝台で目を覚まし、そばには裴衍禎がいた。どうやら裴衍禎は宋席遠を殴ったうえで沈妙を連れ戻したらしい。告白を拒絶しておきながら世話をやいてくる裴衍禎の真意が分からずにいらつく沈妙。宋席遠に誘われて沈宵とともに灯籠祭りに出かけ、ひとときの安らぎを覚える沈妙だったが、ほどなく届いたのは裴衍禎に秦繆貞(しんびゅうてい)との婚姻が下賜(かし)されたとの知らせだった。
第15話 最後の切り札
沈妙は未練にけりをつけるため、裴衍禎と秦繆貞の婚儀を見守っていた。しかし裴衍禎は最後の最後で花嫁に拝礼することができず、「自分には心に決めた人がいる」と婚姻を拒絶する。懿旨(いし)を拒んだ裴衍禎には死罪が待つのみだ。救出する手だてを求めて展越(てんえつ)を訪ねた沈妙は、ある場所に案内される。そこには裴衍禎の沈妙に対する真の想いがあった。宋席遠に沈妙を託し、覚悟を決めて刑場に赴く裴衍禎。なす術(すべ)がない沈妙の元へ訪ねてきたのは…。
第16話 結び直した縁
沈妙は満身創痍(そうい)の裴衍禎を親身に介抱し、二度と離れないと誓った。しかし裴衍禎は沈妙が寝ている隙に屋敷を抜け出し展越から秦(しん)家に関する報告を受ける。そして2人の話題が沈家に及ぶと、裴衍禎の口からは「取り潰すか皆殺しだ」という恐ろしい言葉が…。一方、秦祖沢は財力のある宋席遠と手を組み謀反の準備を着々と進めていた。皇宮では皇帝が毒に侵されて意識を失う。皇太后は裴衍禎が毒を盛ったと思い込み、裴衍禎の殺害を決意する。
第17話 疑惑の始まり
沈妙、沈宵、裴衍禎は家族のように仲むつまじく穏やかな日々を送り、婚礼の準備を進めていた。だが裴衍禎は突然宮中への参内を命じられ都に呼び戻される。沈妙は裴衍禎の身を案じながらも、亡き母からもらった彫り物を身に着けさせ送り出した。参内は罠(わな)だと承知の裴衍禎は展越に沈妙母子を守るよう頼み、単身都へと向かう。沈妙はけがの治療のために呼んだ医師から避妊薬の服用を控えるよう忠告されるが、全く身に覚えがなく戸惑う。
第18話 無念の結末
秦祖沢は皇位の簒奪(さんだつ)をもくろみ皇帝を暗殺しようとしたが、裴衍禎と宋席遠によって阻止された。秦祖沢は逆臣として捕らえられ、その悪行が明るみに出たことで高官からは「裴衍禎に王位の封爵(ほうしゃく)を」との声が上がる。これに異議を唱える皇太后は裴(はい)家の族長に、ある事実を証言させる。一方、零州では裴家に行ったまま沈宵が口実をつけて帰されず、裴衍禎の命(めい)で展越が沈園を包囲。沈妙が裴衍禎に抱いていた疑惑は次第に確信へと変わっていく。
第19話 悲願の遺言
謀反を収めた功績で裴衍禎は摂政(せっしょう)王に、宋席遠は戸部尚書(こぶしょうしょ)に封ぜられた。しかし皇太后は皇陵送りが決まったものの死罪は免れ、零州に向かった秦繆貞は今も逃亡中だ。朝廷には封爵に不満を抱く高官もいるため裴衍禎は都を離れられない。そんな中、沈園では沈在(しんざい)と小姨娘(いじょう)が相次いで労咳(ろうがい)に罹って命を落とし、ついには沈妙も労咳の末期に至る。知らせを受けた裴衍禎は馬を飛ばして零州に向かうが、沈妙は遺言を残し裴衍禎を待たずして世を去った。
第20話 深まる対立
棺(ひつぎ)から小姨娘と沈在の亡骸(なきがら)が消え、沈家の者たちは死を装っていたことが分かった。沈妙は裴衍禎によって監禁され緑鶯(りょくおう)に会うこともできない。宋席遠の求婚すら裴衍禎の差し金だったと知らされた沈妙は、沈家の悲劇の元凶はやはり裴衍禎だと確信し、裴衍禎に憎しみの炎を燃やす。宋席遠は沈妙を救い出したいものの、皇帝をもしのぐ権勢を誇る裴衍禎に対して手も足も出ない。そこでひとまず都に戻り、裴衍禎に反対する臣下たちの懐柔に乗り出す。
第21話 三度目の婚儀
沈妙(しんみょう)は展越(てんえつ)から裴衍禎(はいえんてい)の不遇な過去を聞かされ心が揺れた。それでも従順なふりで裴衍禎をだまし、都での婚儀を承諾させる。都に着いた沈妙は久しぶりに再会した沈宵(しんしょう)が摂政(せっしょう)王府で「世子(せいし)」と呼ばれていることに驚く。そして沈宵をしっかりと抱きしめ、二度と離れないと約束した。その後も裴衍禎を愛するふりをしながら宋席遠(そうせきえん)の協力で逃亡の準備を進め、いよいよ婚儀の夜を迎える。そこには宋席遠の配下の他にも謎の一群が潜んでいた。
第22話 失われた記憶
宋席遠は記憶を失った沈妙に古剣鏢局(こけんひょうきょく)の娘・許笙(きょせい)としての過去を話して聞かせ、本当のことを思い出させまいと苦心していた。そんなある日、目が見えない裴衍禎は酒楼で許笙に助けられ、手が触れた瞬間に沈妙だと察するが、沈妙は裴衍禎とも摂政王とも気づかず、沈宵に「母上」と呼ばれても不審に思うばかり。裴衍禎が帷陽(いよう)にいると気づいた宋席遠は、沈妙に「摂政王と許笙は敵(かたき)同士で、命を狙われている」と諭すが、沈妙には摂政王が悪人とは思えない。
第23話 よみがえる過去
沈妙が沈宵と芝居を観ているところへ裴衍禎が沈宵を捜しにやってきた。目が見えない裴衍禎の前で声を出さずに隠れる沈妙だが、気配で気づかれ沈宵をかどわかしたと疑われる。しかたなく口が利けないふりをして手のひらに文字を書いて言い訳をするが、手に触れたことで裴衍禎は、それが許笙を名乗る沈妙であることに気づく。しかし過去を思えば名乗ることはできないまま、沈宵が懐いているのを見て屋敷へ芝居の手ほどきに来てほしいと頼む。
第24話 決死の脱出劇
沈宵を救い出したいと考える沈妙は記憶が戻っていないふりを続けながら、裴(はい)府からの脱出に向けて準備を進めていく。緑鶯(りょくおう)に命じて宋席遠が隠していた沈(しん)家の印がある書簡を手に入れ、家族の無事を知った沈妙は父親を訪ねることを決意。故意に火事を起こし、その混乱に乗じて脱出しようとする。だが裴衍禎が現れ、思わず敵意をむき出しにした沈妙は裴衍禎の名を口にしてしまう。そこへ黒装束の刺客が襲い掛かり、裴衍禎に凶刃(きょうじん)を振るう。
第25話 初めての願い
沈妙たちは宋席遠の手配で帷陽郊外の白馬(はくば)寺に身を隠すが、裴衍禎は見事な読みで居場所を突き止め、捜しに向かう。川辺でくつろいでいた沈妙と沈宵は裴衍禎に出くわし慌てて立ち去るが、裴衍禎は露骨に自分を避ける沈妙の様子に衝撃を受け、生涯で初めて神仏に願う。裴衍禎と僧のやり取りを聞いた沈妙は心が揺れるが、裴衍禎に気づかれ再び逃げ出し裏山へ。雨が降る中、裴衍禎は必死で沈妙を追いかけるが、雷が落ちて倒木の下敷きになってしまう。
第26話 かなわぬ想いの旅路
2年間嘘(うそ)をついていた宋席遠を許し、かつての関係に戻ろうと言う沈妙。宋席遠は我が世の春と喜ぶが、沈妙は本当に裴衍禎への想いを手放せたわけではなかった。「裴衍禎に対して男女の情はない」と言いつつも、都へ戻る道を同行することになった裴衍禎のけがや不自由な目が気になってしかたがない。帷陽を発つ前には、白馬寺でのけがには責任があるからと観山(かんざん)大師に裴衍禎の目の治療を頼んだが、実は裴衍禎の目はすでに治りかけていた。
第27話 恋の大芝居
裴衍禎は目が治ったことを隠したまま、目の不自由さ、謙虚さを装って人情に訴え、沈妙に摂政王府で暮らすことを承諾させたいと思っていた。宋席遠は裴衍禎のあざとい芝居を感じ取って何かと張り合うが、沈妙は裴衍禎をかばって宋席遠をたしなめる。裴衍禎と沈妙の関係は次第に改善されてきたものの、都は間近で説得する時間がない。そこで裴衍禎は策を弄して都への道のりを大きく迂回させる。遠回りしてやってきた賦陽(ぶよう)にはなんと第九公主がいた。
第28話 喜べない家族の再会
目が不自由なふりをしていた裴衍禎は沈妙を失望させ、帰京後は沈宵とともに宋(そう)家に住むと宣言されてしまう。その事態だけは避けたい裴衍禎は、沈宵を一緒に育てることを提案し、沈妙の承諾を得る。だが沈妙が摂政王府に入ろうとした時、父・沈謙(しんけん)が人目を忍んで現れ、沈在(しんざい)が裴衍禎の配下にさらわれたため、雁蘭(がんらん)から急きょ戻ってきたと言う。さらには沈謙を狙った襲撃事件まで起きたため、沈妙は真相を突き止めるべく、摂政王府に入るのだが…。
第29話 偽りの再出発
沈妙は弟の沈在を救うため、裴衍禎に関係を修復したいと偽りの提案をし、ともに暮らすようになる。裴衍禎は沈妙を大切に扱い、眠る時も苦しげに沈妙の名を呼び続け、沈妙はその姿に心を痛める。宋席遠は裴衍禎を郊外の寺へ連れ出すよう沈妙に指示し、沈妙はためらいながらも弟と家を守るために従う。宋席遠は寺に大勢の刺客を潜ませ、2人を待ち受けていた。しかし本堂に入った裴衍禎は、「金剛経(こんごうきょう)」を手にして待つ宋席遠を見ても驚かなかった。
第30話(最終話) 1つにつながる真相
都で家族との再会を果たした沈妙は皆で零(れい)州に戻り、再び商売を始めた沈家には庭で芝居を観る平和な日々が戻ってきた。ついに裴衍禎に敵(かたき)を討った沈妙だが、心は晴れない。鸚哥(いんこ)が再び「取り潰すか皆殺し」を口にした時、沈妙はそこに隠された重大な秘密に気づく。誰が沈在を都へ連れてきたのか、誰が鹿の彫り物を偽造したのか、それらが明らかになり1つにつながる時、沈妙は自分が取り返しのつかない過ちを犯していたことを思い知らされる。