あらすじ
幼い頃に父親を殺され、母親を連れ去られた雪鷹(せつよう)領の若き領主・東伯雪鷹(とうはくせつよう)。それは太古(たいこ)血脈の秘密を手に入れようとする伯父・墨陽琛(ぼくようちん)の仕業であり、以来、父親の敵(かたき)討ちと母親の救出を胸に誓い武術の稽古に励んできた。そんなある日、母親の行方を知ることができる機会が訪れ、魔族の手下が潜む毀滅(きめつ)山脈へと乗り込むが、絶体絶命のピンチを水源道観(すいげんどうかん)の美しき法師・余靖秋(よせいしゅう)に助けられる。母親と同じ法術を使う余靖秋との運命的な出会いによって自分の実力不足を痛感した東伯雪鷹は、さらなる修行の道を選ぶが…。果たして母親を救い出し父親の敵(かたき)を討つことができるのか!? 東伯雪鷹の愛と冒険の物語が始まる───!
第1話 幼き少年の誓い
東伯烈(とうはくれつ)と墨陽瑜(ぼくようゆ)の長男・東伯雪鷹(とうはくせつよう)は、福円(ふくえん)節に家族と食卓を囲み、雪鷹(せつよう)領の平和と幸せを願う。皮肉にもその晩、黒衣の男が雪鷹領に現れ、墨陽瑜の身柄を引き渡すよう要求する。東伯烈は妻を守るため、男に決死の戦いを挑む。幼い東伯雪鷹は非力ながらも全身全霊で破星弩(はせいど)の弓を引き、男を射殺そうとするが失敗に終わり…。黒衣の男の正体は墨陽瑜の兄・墨陽琛(ぼくようちん)であり、敵(かたき)討ちを心に固く誓った東伯雪鷹は脇目も振らず稽古に打ち込み、逞しい若者へと成長する。
第2話 謎の美女
毀滅(きめつ)山脈で絶体絶命のピンチに陥った東伯雪鷹は、突然現れた法師に助けられる。その女性の美しさに目を奪われる東伯雪鷹だったが、彼女に冷たくあしらわれ名前さえ教えてもらえない。彎刀盟(わんとうめい)に追われる彼らはひとまず洞窟に身を隠すも、魔煙に導かれた盖斌(がいひん)に見つかってしまう。追い詰められた2人は淵(ふち)へと飛び込み、そこで水源道観(すいげんどうかん)の宝・海洋界石(かいようかいせき)を発見。淵の水から大量の魔人が現れたことから水に秘密があると考え、さらに探ってみることに。
第3話 覚醒した闘気
黒鉄令(こくてつれい)を手に入れた東伯雪鷹は、共に魔人と戦った余靖秋(よせいしゅう)を連れて雪鷹領へ戻って来る。大勢の人々が領主の帰還を祝い、しばし幸せなひとときを過ごす東伯雪鷹だったが、盖斌が雪鷹領を襲撃しにやって来る。戦いの途中で東伯雪鷹は天地の霊気を吸収し、すさまじい力を発揮する。一気に流星級の力を得て盖斌を捕らえることに成功した東伯雪鷹は、龍山(りゅうざん)楼に身柄を引き渡す。東伯雪鷹の成長を認めた楼主・司安(しあん)は約束どおり、母親の居場所を教えるが…。
第4話 新たなる決意
東伯青石(とうはくせいせき)は、兄の東伯雪鷹が1人で母親の救出に行って大ケガをしたことを知り、自責の念に駆られる。母親を救い出せなかった東伯雪鷹も己を許せない。そして傷も治らぬまま激しい稽古を続けていたが、やみくもに修練しても高い境地には達せないことに気づき、ある決断を下す。一方、無事に孔(こう)府へと戻って来た商家の娘・孔悠月(こうゆうげつ)は、身を慎むよう父親から長々と説教されたあとで、いい縁談話があると聞かされる。最初は強く反発していた孔悠月だったが…。
第5話 血刃酒館の女主人
逃げた灰袍(かいほう)をおびき出すため、東伯雪鷹はわざと盖斌を脱獄させることを提案。池丘白(ちきゅうはく)、余靖秋と共に、魔族と連絡を取り合おうとする盖斌の後をつけ、ある宿へとやって来るが、3人が様子を見ていると、予想どおり灰袍が現れ盖斌は殺されてしまう。立ち去ろうとした灰袍は池丘白の攻撃を受けて六棱扇(りくろうせん)による傷を負うが、報告のために奥蘭(おうらん)のもとを訪れる。奥蘭は、魔人を連れて南琴(なんきん)へ向かい、封じられた神魔(しんま)の井戸を襲撃するよう灰袍に命じる。
第6話 立ちはだかる難関
孔(こう)家の跡取り・孔昊(こうこう)は家業よりも法術(ほうじゅつ)の研究に没頭していたが、思うように向上できない。長風(ちょうふう)学院には龍山(りゅうざん)国の優秀な若者が集うと聞いた孔昊は、姉・孔悠月と共に長風学院へ向かう。長風学院の入学試験に挑んだのは、孔姉弟(こうきょうだい)の他、東伯雪鷹や余靖秋、司徒鴻(しとこう)、司伯栄(しはくえい)、濮陽波(ぼくようは)など一芸に秀でた多彩な面々だった。試験の課題は一見簡単そうに思えたが誰も突破することができず、自分自身の悪夢に打ち勝たなければならないと気づいた東伯雪鷹は…。
第7話 切磋琢磨の日々
幼い頃の記憶を何者かによって封印されている余靖秋は、両親に関する物を探そうとしているが、なかなか手がかりがない。一方、孔悠月は想いを寄せる東伯雪鷹のために料理を用意するなどして積極的に近づこうとするが、東伯雪鷹はあまり反応を示さない。そんなある日の講義で、それぞれが得意な技を披露することになる。東伯雪鷹は槍法(そうほう)を、余靖秋は法術を披露するが、司徒鴻は自分の腕前がどれほどなのかを知るため、歩小希(ほしょうき)に手合わせを願い出る。
第8話 源石の行方
項龐雲(こうほううん)に出くわした東伯雪鷹は相手に深手を負わせるが自身も負傷し、気を失ってしまう。余靖秋に介抱されても回復が思わしくなく、街に戻って源石(げんせき)を買おうとするが、どの武器舗も源石が売り切れていた。不審に思った東伯雪鷹たちが大量に源石を買い占めた客を尾行したところ、盧家堡(ろかほう)へと行き着く。盧家堡は仕掛けが多く腕利きぞろいだったが、東伯雪鷹は大胆な潜入作戦を提案する。一方、東伯雪鷹と分かれた司徒鴻と司伯栄は悪魔に包囲され…。
第9話 嫉妬と羨望
魔族の拠点を破壊した東伯雪鷹は、池丘白や学友たちから英雄と称賛される。悪魔を食い止めるべく奮闘するも評価されない司徒鴻と司伯栄の心中は複雑で、司伯栄は東伯雪鷹への敵意をむき出しにする。東伯雪鷹が池丘白や歩小希から源石をもらうところを目撃した司伯栄は、対抗心から東伯雪鷹に手合わせを申し入れ、ケガを負ったふりをするが…。一方の東伯雪鷹は、体内の闘気(とうき)が自分で制御できないほど強大になっていることに不安を感じていた。
第10話 魔族の襲撃
血煉神兵(けつれんしんぺい)を探し求める墨陽琛は、龍山国最大の規模と品ぞろえを誇る孔家武器舗を訪ねる。店主の孔海(こうかい)は1本20万両という高額を提示するが、墨陽琛はやむを得ず受け入れる。血煉神兵を手に入れた奥蘭は源石を奪うため、歩小希が不在の隙を狙い雲霧城(うんむじょう)に奇襲を仕掛ける。そうとは知らず、池丘白と共に慈幼院(じよういん)を訪れていた歩小希が雲霧城へ戻って来ると、大勢の弟子が殺されており、妹・歩淳円(ほじゅんえん)と雲霧城の民の命を人質にとられた歩小希は…。
第11話 途絶えた手がかり
眠りから目覚めた孔悠月は東伯雪鷹が黒風崖(こくふうがい)から落ちたと聞き、いてもたってもいられない。兄が死んだと聞かされた東伯青石も敵(かたき)を討つと息巻く。余靖秋は司徒鴻、司伯栄と共に血煉神兵の出どころを探っていたが、どの武器舗でも心当たりがないと言われ落胆する。一方、街ではすでに東伯雪鷹の行いが武勇伝として講談師の口から語られていた。東伯雪鷹が英雄として崇(あが)められ、誰からも慕われている様子を目にした司徒鴻は強い嫉妬に駆られる。
第12話 狙われた弟子たち
黒風崖から転落した東伯雪鷹の死を悲しむ長風学院の面々。東伯雪鷹が死んだとは信じられない余靖秋は1人で黒風崖に向かい、そのまま姿を消す。池丘白は目を掛けていた2人の弟子を失ったと思い、悲しみに暮れる。そんな長風学院で立て続けに弟子が行方不明になる。魔族の仕業だと考えた池丘白は、魔族の侵入を防ぐため学院内に結界を張り、弟子たちに見張りを命じる。司徒鴻と司伯栄は夜中の見張りに当たるが、司伯栄も姿を消してしまう。
第13話 仮面の男
黒風崖の谷底で再会した東伯雪鷹と余靖秋は、仮面をつけた謎の男に出会う。仮面の男は東伯雪鷹に火系の技の秘籍を渡し、谷底から出たければ超凡(ちょうぼん)の闘気を得ねばならないと伝える。東伯雪鷹は秘籍に従い稽古をするが、超凡の闘気は簡単には得られない。その頃、魔族は次なる計画のため大勢の人々をさらって戦士を増やし続けていた。一方、東伯青石は白源之(はくげんし)に雷電法術(らいでんほうじゅつ)を教えてほしいと頼み込み稽古を始めるが、なかなか使いこなすことができない。
第14話 奇跡の生還
仮面の男の攻撃から余靖秋を守った東伯雪鷹は血を吐いて意識を失うが、その直後、東伯雪鷹はついに念願の超凡となり、谷底からの脱出に成功する。だが崖上に着いた瞬間、仮面の男の投げた暗器で負傷してしまう。長風学院に戻って来た東伯雪鷹は、池丘白や元老から超凡の闘気が全く感じられないと言われ、自分で闘気を制御することができなくなっていた。一方、血煉神兵を買い入れた墨陽琛に近づこうとする孔悠月と濮陽波は、ある秘策を思いつく。
第15話 隠したい正体
大魔神は新しい神魔(しんま)の井戸を作るべく、魔族たちに源石(げんせき)を持って雪鷹(せつよう)領に向かうよう命じる。そしてひそかに差し向けていた三祭司に任務の遂行を伝えるが、三祭司とは姫容(きよう)のもう1つの姿だった。同じ頃、元老会(げんろうかい)の面々と東伯雪鷹(とうはくせつよう)たちが白源之(はくげんし)のもとを訪れる。東伯青石(とうはくせいせき)は兄・東伯雪鷹との再会を喜び、姫容を雪鷹領に連れて帰りたいと懇願する。黒風神宮(こくふうじんきゅう)の外壁を切り裂いたのは白源之だと疑う元老会の面々は真偽を問うが本人は答えようとしない。
第16話 すさんでいく心
雪鷹領に入り込み新たな神魔の井戸を作る場所を調べていた姫容は、前領主・東伯烈(とうはくれつ)の墓がその場所ではないかと気づく。そして奥蘭(おうらん)の指示を受け、雪鷹領に悪魔を引き入れようと画策する。長風(ちょうふう)学院では超凡試煉(ちょうぼんしれん)に向けて弟子たちが稽古に明け暮れていた。司徒鴻(しとこう)は東伯雪鷹との実力差がどんどん開いていることに焦りを覚える。ある日、東伯雪鷹が特別に池丘白(ちきゅうはく)の指導を受けているのを目撃した司徒鴻は、自分にも稽古をつけてほしいと池丘白に頼むが…。
第17話 怒りと失望
余靖秋(よせいしゅう)の殺害を刺客に依頼したのは孔悠月(こうゆうげつ)の父・孔海(こうかい)だった。孔悠月は、反省の色を見せない父親に絶縁を宣言する。傷心のあまり自棄(やけ)酒を飲んだ孔悠月に濮陽波(ぼくようは)は、孔海に代わって見守ることを誓う。一方、雪鷹領にいた姫容は東伯青石や兵士たちを眠らせるべく料理に昏睡(こんすい)術をかける。危うく企(たくら)みは失敗しかけたが何とか思惑どおりに事を進め、奥蘭を雪鷹領に招き入れる姫容。奥蘭は新たな神魔の井戸を作ろうとするが、そこへ東伯青石が現れて…。
第18話 兄の思いと弟の思い
超凡生死戦とも呼ばれる過酷な超凡試煉が始まった。参加の可否を決める関門を通過して試煉の場に入った東伯雪鷹たちは、ひそかに参加していた東伯青石に気づくが、追い返すこともできず共に戦うことに。超凡になるための条件は通常の力では抜けない霊剣を引き抜くこと。参加者たちが迷路のような陣に足を踏み入れると侵入していた魔族からの攻撃が始まり、崔雍(さいよう)が魔毒に侵されてしまう。崔雍は魔人化する前に殺してくれと東伯雪鷹に懇願するが…。
第19話 魔族との取り引き
余靖秋たちは、同門の師兄(しけい)を殺(あや)めた罪に問われ投獄された東伯雪鷹を救うため、超凡試煉の日に魔族が侵入した証拠を探し始める。超凡の力があったほうが早く証拠が見つかると考えた彼らは、東伯青石を身代わりにして東伯雪鷹を牢(ろう)の外に出すことに。一方、姿が見えなくなった東伯雪鷹を連れ戻しに来た池丘白の前に再び奥蘭が姿を現す。歩小希(ほしょうき)の内丹(ないたん)と東伯雪鷹ら弟子たちを守るため、池丘白はやむを得ず、再び魔族との取り引きに応じてしまう。
第20話 身近に潜む密偵
真正銘の超凡となった東伯雪鷹は母・墨陽瑜(ぼくようゆ)を救い出すため墨陽堡(ぼくようほう)に乗り込む。ついに墨陽琛(ぼくようちん)を倒し、父親の敵(かたき)を取ったかと思った瞬間、黒風崖(こくふうがい)の谷底で出会った仮面の男が現れ…。仮面の男が去り際に落とした小さな箱は、かつて余靖秋が薪火宮(しんかきゅう)で見た水晶玉に似ていた。魔族の密偵が薪火宮に潜んでいると疑う東伯雪鷹は薪火宮への入門を決意するが、入門には厳しい条件が。そこで水源道観(すいげんどうかん)の観主(かんしゅ)・司空陽(しくうよう)を訪ね、便宜を図ってほしいと直訴する。
第21話 すれ違う心
司徒鴻を責めた司良紅(しりょうこう)は厳しく接しすぎたと後悔するが、司(し)家に伝わる空遁術(くうとんじゅつ)の秘籍を盗もうとする司徒鴻を目撃してしまう。そこへ池丘白に姿を変えた墨陽琛が現れ、司徒鴻を取り込んで司良紅を殺害する。池丘白が司良紅を殺したという噂が広まり、対応に頭を悩ませる元老たち。司徒鴻は池丘白の罪を訴え厳しい処罰を求めるが、師の潔白を信じる東伯雪鷹と余靖秋が手がかりを持ってやって来る。一方、奥蘭のさらなる要求に対し池丘白は…。
第22話 雪鷹領の危機
雪鷹領に作られた神魔の井戸が開かれ、東伯烈の墓から大勢の悪魔が放たれる。東伯雪鷹や元老たちは異変に気づき雪鷹領へ向かうが、いくら倒しても悪魔は次々に襲って来る。海神宮(かいじんきゅう)の宮主(きゅうしゅ)・太叔(たいしゅく)は自らを犠牲にして墓の蓋を閉め、悪魔と共に井戸の中に消える。黒白神山(こくはくしんざん)の山主(さんしゅ)・賀源(がげん)は雪鷹領の上空に黒白月輪(こくはくげつりん)の結界を張り、奥蘭たち魔族を領内に閉じ込める。一方、悪魔たちが去ったあと、見回り中の銅三(どうさん)は姫容の部屋に張られた結界を見つけ…。
第23話 黒白月輪の結界
司徒鴻は墨陽琛に捕らわれていた孔昊(こうこう)を救おうとするが、司徒鴻の裏切りを非難する孔昊の言葉に逆上し、思わず手にかけてしまう。墨陽琛は孔昊の亡骸(なきがら)を利用し、孔海に悪事の片棒を担がせる。一方、元老たちは奥蘭と青銅の棺(ひつぎ)を見つけられず意気消沈していたが、黒白月輪の結界さえ張り続ければ、魔族たちは雪鷹領から逃げ出せない。持久戦となるはずだったが、結界を操る賀源が銅三の用意した食事を口にしたことから事態は思わぬ方向に進んでいき…。
第24話 もう一人の元老
母親を救うための手がかりが薪火宮にあるとにらむ東伯雪鷹は、薪火宮に入って修練を積みたいと池丘白に相談する。魔族との戦いに勝つには六大元老の団結が必要だと考えていた池丘白は、元老会を離れて久しい葉玫(ようばい)を連れ戻すことができれば薪火宮に入る可能性が開けると提案。元老会の承諾を得た東伯雪鷹は、説得のために葉玫の根城・血刃酒館(けつじんしゅかん)に向かう。そこで聞かされたのは葉玫と元老会との確執と、戦いの犠牲になった恋人との思い出だった。
第25話 薪火宮の掟
薪火宮の弟子たちは個性的でしきたりも特別だった。早速、手合わせが始まると、海神宮の弟子・余風(よふう)が黒白神山の弟子・巫蒼(ふそう)に殺されそうになる。東伯雪鷹はとっさに助けようとするが卓依(たくい)に制止される。薪火宮では弟子同士が殺し合うことも日常茶飯事で、それを止めないのが掟(おきて)だというのだ。しかし東伯雪鷹は譲らず、解毒薬を渡すよう巫蒼に迫る。その後、食堂でも諍(いさか)いが起き、巫蒼の懐から仮面の男が落とした箱と全く同じ箱が転がり落ちる。
第26話 もう一人の新弟子
百戦密室(ひゃくせんみっしつ)に挑みたいと願い出た司徒鴻に対し、今の実力では到底突破できないと司空陽は一蹴するが、大地神殿(だいちしんでん)の殿主(でんしゅ)・席雲(せきうん)が挑戦を許す。司徒鴻は汚い手を使って百戦密室を突破したあげく破壊する。その驚くべき成功に司空陽は戸惑いを隠せず、短期間での力の向上を奇妙に感じたが、席雲は司徒鴻を絶賛し、弟子に迎えたうえ薪火宮にも入門させる。一方、白源之のもとで身動きの取れない姫容は、東伯青石を利用して白源之を欺き、雪鷹領に向かう。
第27話 板挟みの苦悩
伝信(でんしん)箱の持ち主を暴くため、東伯雪鷹はある作戦を考える。それは余靖秋が薪火宮の隠し部屋に侵入して騒ぎを起こし、元老たちを呼び寄せるというものだった。しかし計画を盗み聞きしていた司徒鴻が余靖秋を尾行していたため、隠し部屋に封印されていた魔族の聖物が司徒鴻に反応し、共鳴し始めてしまう。激しい頭痛に襲われた余靖秋は意識を失い…。一方、姫容は雪鷹領の人々を悪魔にして支配下に置くため、領内に仕掛けを置こうと思案していた。
第28話 敵討ちのために
東伯雪鷹は思い悩んだあげく、雪若霜(せつじゃくそう)の目を盗んで余靖秋を誘い出す。余靖秋の帰国を祝福し、2人で美しい思い出を紡ぐことにしたのだ。一方、家族の敵(かたき)討ちを心に誓う孔悠月は青銅の棺が盧家堡(ろかほう)に現れたと聞き、自分に任務を与えてほしいと池丘白に申し出るが、全く相手にされない。失望した孔悠月は単身で盧家堡に乗り込み、魔族をおびき出そうとする。しかし悪魔と化した父親と弟が現れ、2人に襲われた孔悠月は危ういところを葉玫に助けられる。
第29話 半魔人の娘
孔悠月(こうゆうげつ)は、司空陽(しくうよう)が頻繁に雪鷹(せつよう)領に赴き、白源之(はくげんし)の治療を行っていることに疑惑の目を向ける。父と弟の敵(かたき)を討ちたい孔悠月は真相を追及しようとするが、雪鷹領へ様子を見に戻った東伯雪鷹(とうはくせつよう)は姫容(きよう)の行動を怪しく思う。宗凌(そうりょう)と共に彼女の父・姫五海(きごかい)を見つけ出し、姫容の哀れな身の上を聞く東伯雪鷹。姫容が半魔人であることを知った東伯雪鷹たちが魔族との関わりを懸念する一方、東伯青石(とうはくせいせき)と白源之だけはこれまでと同じように姫容に接すると誓うが…。
第30話 雪花符の秘密
余靖秋(よせいしゅう)の神脈が覚醒したことを魔族に知らせようとした司徒鴻(しとこう)は、魔煙を操る姿を歩淳円(ほじゅんえん)に目撃されてしまう。そこへ司空陽が現れ歩淳円は司徒鴻を引き渡すが、司空陽は司徒鴻ではなく歩淳円を攻撃する。司空陽だと思った人物は大祭司だったのだ。助けに駆けつけた賀源(がげん)も攻撃され深い傷を負い…。一方、神脈が覚醒し昏睡(こんすい)していた余靖秋が目を覚ます。雪若霜(せつじゃくそう)から今夜にも天宮(てんきゅう)へ戻るべきだと促されるが、別れの挨拶のために2日間の猶予をもらう。
第31話 正体が暴かれる時
体内から雪花符(せっかふ)を取り除く方法を調べようと、東伯雪鷹と余靖秋は龍山(りゅうざん)楼の蔵書(ぞうしょ)閣に忍び込むが目当ての書物は見つからなかった。雪花符の宿主である余靖秋は元老会(げんろうかい)と魔族に狙われていたため、雪若霜は一刻も早く帰国しようとするが、余靖秋は頑なに拒む。さらに余靖秋は司空陽が密偵の疑いで捕らわれたと聞き、司空陽のもとへ急ぐ。司空陽は、雪花符を粉砕するために余靖秋を殺そうとする白源之を諫(いさ)め、危機を好機に変えるべく秘策を提案する。
第32話 待望の日
雪花符が魔神会(まじんかい)の手に渡ることを恐れる白源之は、人気(ひとけ)のない場所に余靖秋を誘い出し、彼女の体内から雪花符を取り出そうとするが失敗。2人の後を追って来た司徒鴻は余靖秋を連れ去り、今は無人となった司(し)府にかくまうが、そこへ奥蘭(おうらん)が現れ…。余靖秋が東伯雪鷹らを導くために自ら魔族の手に落ちたと気づいた元老(げんろう)たち。修練の末に虚界(きょかい)の真意を習得していた東伯雪鷹は、魔神会がある虚界へと入り込み、余靖秋の居所をつかもうとする。
第33話 永遠の誓い
極点突破の真意を会得し、聖級の境地に至った東伯雪鷹の太古(たいこ)血脈が覚醒した。だが太古血脈は余靖秋の神力を上回る力を持っており、余靖秋はどんどん体が弱っていく。天宮に帰り二度と東伯雪鷹と会わないか、人間界に残り東伯雪鷹のそばで死を迎えるか、決断を迫られる余靖秋。そんな中、東伯雪鷹は龍山楼の司安(しあん)から、黒風崖(こくふうがい)で魔族の怪しい動きがあるという知らせを受け、余靖秋と黒風崖へ。谷底の神宮(じんきゅう)で人影を見た2人は後を追おうとするが…。
第34話 非情な決断
余靖秋は東伯雪鷹との美しい思い出を画集にして贈ろうと、たくさんの絵を描いていた。婚儀の前夜、さいころ遊びで東伯雪鷹に負けた余靖秋は、東伯雪鷹に嫁ぐことで願いの半分が叶ったと打ち明ける。ついに迎えた婚儀の日。日増しに衰弱していく余靖秋だったが、その顔は喜びに満ちていた。皆に祝福され夫婦(めおと)固めの杯を交わそうとした時、余靖秋は毒入りだと気づいて杯を床に落とす。しかし東伯雪鷹はなぜか驚きもせず余靖秋を見つめていて…。
第35話 生涯の師
摩雪(ませつ)国に帰った余靖秋は、残してきた東伯雪鷹のことが心配でならない。一方の東伯雪鷹は余靖秋を失った悲しみから抜け出せずにいた。そんな喪失感と魔族の来襲への不安を明かされた池丘白(ちきゅうはく)は、1人で抱え込まず、皆を束ねて魔族に立ち向かえと助言し、もう教えられることはないと告げる。池丘白はある決意を胸に奥蘭を訪ね、魔神会に入りたいと申し出ていたのだった。奥蘭は迎え入れる条件として魔功を修練するよう要求し、承諾した池丘白は…。
第36話 再びの裏切り
悪魔と化した単流雲(ぜんりゅううん)の姿は、東伯雪鷹や孔悠月、濮陽波(ぼくようは)に大きな衝撃を与えた。同じように魔毒に侵され苦しんでいる白源之や司空陽の身を案じ、単流雲の最期について伝えたほうがいいのではないかと考えた孔悠月と濮陽波は、東伯雪鷹の部屋を訪ねる。そこには司徒鴻がいて、東伯雪鷹を陥れようと部屋に置かれた茶に細工をしていたが…。一方、姫容は奥蘭から雪鷹領で巫神剣(ふしんけん)を手に入れるよう命じられる。同じ頃、池丘白は雪鷹領の宗凌を訪ねていた。
第37話 魔毒に侵された国
薪火宮(しんかきゅう)の弟子たちが突然、悪魔に豹変する。原因が黒鉄令(こくてつれい)にあると気づいた東伯雪鷹たちは龍山楼へと駆けつける。池丘白は姫容の後を追い解毒薬を出すよう迫るが、姫容は奥蘭から渡された功力が強まる丹薬を飲み決戦を挑む。しかし丹薬は毒で、姫容は万事休すかと思われたが白源之が救いに来る。一方、大魔神の宿主となりつつも本人の意識がかすかに残っていた墨陽琛(ぼくようちん)は、己が破門された経緯を濮陽波から聞かされ、罪悪感に心が揺らぐが…。
第38話 過ちの代償
東伯雪鷹を救いたい一心の余靖秋は、神女でなくなることと引き換えに人間界に戻る。目覚めた東伯雪鷹と固く抱き合い、そばにいると誓うのだった。姫容は命が尽きようとしている白源之のもとを訪れ、これまでのことを謝罪する。白源之は自責の念に苛まれている姫容に、いい人間になって正しい道を生き抜くよう言い残し、自らの経脈(けいみゃく)を断つ。その頃、龍山楼の東伯青石は、黒玄機(こくげんき)に魔毒を注ぎ込み多くの命を奪ったのが姫容の仕業だったと気づき…。
第39話 紅石山の試練
龍山帝君(りゅうざんていくん)の鎧(よろい)を求めて紅石(こうせき)山へやって来た東伯雪鷹たち4人を待ち受けていたのは紅石山の試練だった。東伯雪鷹と余靖秋は紅石虚境(こうせききょきょう)に迷い込むが、思いがけず余靖秋の両親の亡骸(なきがら)を見つける。両親を連れて帰ろうとする余靖秋に、軽率に亡骸に触れるのは危険だと言って止める東伯雪鷹。無事に試練を突破した4人は山主(さんしゅ)から秘籍を与えられるが、魔族の侵入を知らせる警告音が鳴り響く。東伯雪鷹と余靖秋が駆けつけると、そこには奥蘭と池丘白の姿が…。
第40話 (最終話)最後の決戦
紅石結界の平行世界での誘惑を振り切り現実に戻ろうとした東伯雪鷹の目の前に、龍山帝君の鎧が現れる。それに触れた東伯雪鷹は己の心の弱さを悟り、断じて失敗を恐れぬと固く心に誓う。その瞬間、鎧を手に入れた東伯雪鷹は紅石結界からの脱出にも成功する。一方、龍山国では最後の決戦が始まった。多勢に無勢の夏(か)族は魔族に苦戦していたが、東伯雪鷹の登場で盛り返す。そしてついに東伯雪鷹は、大魔神に肉体を奪われた恩師・池丘白と相見える。