あらすじ
国の捜査機関である明鏡署(めいきょうしょ)の蘇瓷(そし)は、天才的な推理力と洞察力で数々の事件を解決している名探偵。そんな頭脳明晰でクールな彼には、誰にも明かしていない秘密があった——。 それは、その正体が女性であるということ。一族が殺害された過去の真相を探るため、男装をして明鏡署に入り込んでいたのだった! 蘇瓷はある事件の捜査中に裴昭(はいしょう)という遊び人と偶然知り合う。裴昭はひょんなことから蘇瓷の捜査に同行するようになるが、その正体は朝廷の陰謀を暴くために身分を隠す元将軍・斉王(せいおう)で…。 互いに素性を隠す2人が恋も事件も華麗に解決! 果たして、事件の真相と彼らの恋の行方は…!?
第1話 運命の出会い
明鏡署(めいきょうしょ)の有能な少署(しょうしょ)・蘇瓷(そし)は、両親の死の謎を明らかにするため、女性でありながら男と偽って仕官している。一方、皇族の身分を隠して暮らす裴昭(はいしょう)は、ある事件をきっかけに、蘇瓷の捜査能力の高さに気づく。そんな中、災害に見舞われた清水(せいすい)県では、救済銀が消失する事件が発生。「水神の龍王が救済銀を呑み込んだのだ」と恐れた村民は、少女を龍王の生贄として捧げようとする。それを知った蘇瓷と裴昭は、少女を救うべく、力を合わせるが…。
第2話 新たな仲間たち
蘇瓷と裴昭、謝北溟(しゃほくめい)たちは、協力して救済銀消失の事件を捜査することに。沈没した船の板片を調べた蘇瓷は、沈没が落雷によるものではなく、人為的なものだと推理する。蘇瓷と裴昭は清水県の孔(こう)県令を訪ねて問い詰めるが、船が沈んだのも、銀子が石に変わったのも、龍王の力によるものだと彼は強弁する。一方、謝北溟と董如双(とうじょそう)は食糧難にあえぐ民を救うため、救済用の食糧を借りようと、県下一の富豪・胡(こ)氏の屋敷を訪ねる。
第3話 龍王の正体
蘇瓷たちの前に現れた孔県令は、胡府を襲撃し食糧を強奪した罪で、謝北溟と董如双を捕らえると言う。2人は、食糧は借りただけで借用書も書いたと主張するが、聞き入れられない。言い争ううち、州府の兵を連れた飛鳶(ひえん)が現れ、孔県令は捕らえられる。孔県令は衙門(がもん)の役人の家族を人質に取り、偽証を強要していたのだ。しかし、救済銀強奪の首謀者として牢に入れられてもなお、孔県令は頑なに罪を認めない。そしてその夜、事件が起こった。
第4話 危険な踊り子
西域の商人・沙度(さど)が孔県令と親しかったと聞き、蘇瓷は沙度が救済銀の消失に関係していると推理する。何とかして沙度に近づこうと、蘇瓷は踊り子の姿をして妓楼に潜入。沙度の前で踊りを披露することになるが、その部屋には、なんと裴昭も来ていた。彼もまた、沙度が怪しいと見て、接近を試みていたのだった。面紗(めんしゃ)で顔を隠しながら舞う蘇瓷。その姿を見て、裴昭は蘇瓷に似ていると感じるが…。その夜、再び殺人が起きる。
第5話 芽生えた想い
食事の席で飲めない酒を飲んだ蘇瓷は、酔っ払ってしまう。裴昭に絡んで部屋に転がり込み、抱きついて眠ってしまった蘇瓷は、翌朝、いたたまれなさから裴昭たち一行には何も言わず、宿を後にして都へと向かう。董如双の希望で、挨拶もなく去った蘇瓷を追って一行も都へと急ぐ。道中、一夜の宿を求めた客桟(きゃくさん)には空き部屋が1つしかなく、合流した蘇瓷もやむを得ず裴昭たちと同じ部屋で眠ることに。その晩、蘇瓷は高熱を出してしまい…。
第6話 秘密の共有
蘇瓷が何者かにさらわれる。連れ去られた先は永安(えいあん)侯の世子(せいし)・蕭君昊(しょうくんこう)の私邸だった。蕭君昊の手下たちに襲われそうになっていた娘を救ったことで、逆恨みされたのだ。蘇瓷が女だと気づいた蕭君昊は、彼女に女性用の服を着せ、手込めにしようとする。そこへ裴昭が踏み込み、蘇瓷はすんでのところで助け出された。薬を飲まされたせいで意識が朦朧(もうろう)とした蘇瓷は、裴昭に抱きついて口づけをし、うわごとのように裴昭への愛をささやくのだった。
第7話 無償の愛
裴昭の屋敷で暮らすことになった蘇瓷。裴昭は蘇瓷のために広く快適な部屋を用意し、斉(せい)王の本を何冊も揃えた。裴昭と過度に親密になることを恐れた蘇瓷は、けじめとして、毎月の部屋代を支払うこと、また友人として節度ある関係を保つことを明記した契約書を作り、裴昭に合意を求める。拒否すれば蘇瓷が出ていくと懸念した裴昭は、しぶしぶ契約書に署名する。後日、友人である傅子佑(ふしゆう)の婚礼に招かれた裴昭は、思わぬ知らせを受けて…。
第8話 晴天の雨音
傅子卓(ふしたく)の衣についた石炭の汚れを見つけた蘇瓷は、どこで付着したのか調べるため、裴昭とともに城門の外へ出かける。その夜、天の川を見ながら2人は距離を縮めるが、蘇瓷は喜びを素直に表すことができない。翌朝、都に帰る途中、事件の晩に城門の外で傅子卓を見たという老人の証言を得る。都に戻ると、またも花嫁衣装の娘が自害し、騒ぎになっていた。董如双らの協力を得て捜査を進めると、2年前にも似た事件が起きていたことが判明する。
第9話 揺れる心
蘇瓷、裴昭、謝北溟、董如双、飛鳶の5人は普華(ふけ)寺を訪れる。普華寺は縁結びの寺として名高いと知り、董如双は蘇瓷との縁結びを祈願する。その姿を見て、謝北溟はやきもきするのだった。そんな中、裴昭には妃選びの話が持ち上がっていた。裴昭が結婚するかもしれないと思い、蘇瓷は切なくなるが、妃選びの候補者選出には、雲(うん)王の意向が陰で働いていた。だが、鎮遠(ちんえん)侯の娘・徐芝(じょし)が裴昭を慕うあまり候補者となったことで、新たな悲劇が始まる。
第10話 花嫁衣装と口紅
徐芝が亡骸で発見され、検視にあたった蘇瓷と董如双は、彼女がまとった花嫁衣装に口紅が付着していることや、他人に衣装を着せられた形跡があることに気づく。花嫁衣装の娘が死亡した一連の事件との関連を疑うものの、徐芝の事件だけは法則から外れている点が多く、謎は深まる。一方、徐芝の死に責任を感じ、鎮遠侯を訪ねた裴昭は「保身のため陰謀の可能性から目を背けた」と叱責され、自らの不作為を恥じて意気消沈する。
第11話 月夜の祈り
中秋節の夜、蘇瓷は湖のほとりで家族を偲んで舞っていた。1人出かけた蘇瓷を追う裴昭は彼女を見つけると、舞う姿を静かに見守るのだった。2人は一緒に灯籠を飛ばした後、祭りで賑わう街に繰り出して謝北溟たちと合流。大道芸人の奇術が迷香を使った詐欺だと見破る。すると蘇瓷は花嫁衣装の娘が自害する一連の事件も迷香を使ったものではないかと考え、董如双に幻覚を抑える薬を作るよう頼む。犠牲者の共通点を探る蘇瓷の頭に浮かんだ顔は…。
第12話 知られた秘密
屋敷から蘇瓷の姿が消えた。蘇瓷の部屋は扉も窓も開け放たれ、文書が散乱している。不審に思い、蘇瓷の走り書きを手に取った裴昭は、そこに残された言葉から、彼女の身に危険が迫っていることを察知して屋敷を飛び出す。連れ去られた蘇瓷は連続殺人犯に催眠術をかけられ、まさに命を奪われようとしていた。そこに裴昭が間一髪で駆けつけ、彼女を救い出す。裴昭に抱きかかえられ屋敷に戻った蘇瓷の姿を見た董如双は、衝撃を受けるのだった。
第13話
蘇瓷(そし)が女性だと知ってしまった董如双(とうじょそう)は、ずっと自分に嘘(うそ)をついていた蘇瓷がどうしても許せない。友達にだまされていたと落ち込む董如双を謝北溟(しゃほくめい)は「きっと深い事情を抱えているに違いない。嘘をついたほうも落ち込んでいるはず」と慰める。一方、裴昭(はいしょう)の眼病が毒矢によるものだと知り、毒に詳しい董如双は解毒薬の調合を買って出る。夜を徹して調合を繰り返し、ついに発見した治療法は、一歩間違えば命を失いかねない危険なものだった。
第14話
仲間たちに女であることを明かした蘇瓷。初めて晴れやかな気持ちで宴を楽しみ、裴昭と互いの想いを確かめ合う。明鏡署(めいきょうしょ)では、たった1つの昇進枠を競う試験が間近に迫っていた。法典や捜査知識では敵なしの蘇瓷だが、懸案は武術の試験。蘇瓷が弓術の稽古をしているところに裴昭が現れ、自ら手ほどきをしたことで、2人は男色だという噂(うわさ)が広まってしまう。謝北溟らの手も借り稽古に打ち込む蘇瓷だが、同僚たちの目が気になってしかたがない。
第15話
昇進試験の最後は蘇瓷と羅鑫(らきん)による武術の試合だった。裴昭の指導の甲斐あって、蘇瓷は勝利を収める。董如双らも大喜びし蘇瓷を祝う。裴昭は蘇瓷が安心して仕官できる道を開くため、女性が将軍になる講談を語らせたり女性が太学(たいがく)に入学できるよう奔走するが、雲(うん)王は蘇瓷が女性ではないかと疑いを抱くようになる。一方、北戎(ほくじゅう)の親王と公主が、使節として大梁(だいりょう)にやってきた。親王の朔木(さくぼく)は、公主の蕓川(うんせん)を斉(せい)王に嫁がせることを提案するが…。
第16話 天を欺く罪
試験に合格した蘇瓷は、皇宮で開かれた任命式に出席し、正式に昇進を言い渡される。喜んだのもつかの間、刑(けい)部尚書(しょうしょ)の雷争(らいそう)が、蘇瓷は女であると暴露。さらに斉王も事実を知りながら隠匿した疑いがあると言い立てる。裴昭に累が及ぶことを恐れた蘇瓷は、自ら性別を偽ったことを認め、皇帝を欺いた罪で投獄される。偽装は斉王の指示だったと自供させたい雷争は、蘇瓷を拷問にかけるが、蘇瓷はあくまでも自分の意志だったと言い張る。
第17話 狙われた公主
蘇瓷が恩赦(おんしゃ)を得られるよう、裴昭は蕓川公主との縁談を受け入れ、結納の準備を進めていた。牢獄の中で縁談の話を聞いた蘇瓷は、悲しみに打ちひしがれる。斉(せい)王府で宴が開かれ、蕓川公主は稽古を重ねてきた琴を披露するが、直後に中毒の症状で倒れてしまう。朔木は、公主に何かあれば大梁との戦は不可避だと怒り心頭。裴昭は皇帝に直談判し、真相究明のため、蘇瓷を釈放して捜査に加わらせるよう求める。
第18話 謎の毒の正体
蕓川公主に毒を盛った犯人をおびき出すため、蘇瓷が公主の身代わりを務めることに。深夜、公主の部屋で眠ったふりをする蘇瓷に襲いかかったのは意外な人物だった。同じ頃、董如双は、公主の中毒の原因は1つの毒ではなく、4種の成分が相互に反応して毒性を生じていたことを突き止める。それを知らせに駆けつけたとき、突然、蘇瓷が中毒の症状で倒れてしまう。数人が同じ部屋にいる中、蘇瓷だけが倒れた。果たして謎の毒の正体とは…。
第19話 新たなる一歩
蕓川公主に対し最後に盛られた毒を解明するため、蘇瓷と裴昭は捜査を進める。斉王府での宴会で出された料理が怪しいと推理した蘇瓷は、董如双の協力でとうとう毒を解明。蕓川公主はすべての毒を解毒し、回復する。元気になった公主の前には、ずっと自分を守ってくれた傅子佑(ふしゆう)の姿があった。一方、自分のためとは言え、公主と婚約した裴昭に対して、蘇瓷は複雑な感情を抱いたままだった。裴昭は、公主との婚約を解消しようとするが…。
第20話 秘密への糸口
雷争の屋敷を調べていた蘇瓷と裴昭は、前の兵(へい)部尚書(しょうしょ)だった梁楓(りょうふう)から雷争に宛てた信書を発見する。その文言からは、2人が何らかの重要な秘密を共有していたことが窺えた。洪谷(こうこく)の戦いに加わっていた梁楓と、白良(はくりょう)族の事件を担当した雷争。それぞれに隠された謎を解き明かす糸口を求めて、蘇瓷と裴昭は郊外にある梁楓の屋敷を訪ねて話を聞くことにする。しかし、屋敷に着いた一行が目にしたのは、思いがけない光景だった。
第21話 裏切り者の正体
梁楓の検視を息子の梁程(りょうてい)に阻まれた蘇瓷と裴昭。梁程が梁楓の持ち物から何かを探していることに気づき、自ら棺を開けさせようと一計を案じる。証拠から梁程を捕らえた蘇瓷だったが、梁楓の亡骸には、供述と辻褄の合わない3つの殴打痕があった。梁家の養女・梁妏(りょうぶん)の亡き夫で、かつて斉王とともに戦った張(ちょう)将軍の墓参りに行く道中、斉王は洪谷の戦いに想いを馳せる。しかし梁楓の事件の捜査を進めるうちに、驚くべき事実を知ることになり…。
第22話 疑念
梁楓の屋敷から見つかった書画の贋作と名簿。梁楓に命じられ、白良族の族長の文を偽造した者がこの名簿の中にいると考えた蘇瓷と裴昭は、名簿の7人を捜すことに。その矢先、裴昭と配下の蒋希文(しょうきぶん)との会話を偶然耳にした蘇瓷は、聞き覚えのある声に衝撃を受ける。それは7年前、一族の虐殺現場で井戸に隠れた幼い蘇瓷が聞いた、侍衛の声だった。虐殺を命じたのは裴昭だったのか。突如として生じた疑念に感情を抑えきれなくなった蘇瓷は…。
第23話 誓いの夜
蘇瓷(そし)は裴昭(はいしょう)に対する疑念が消えないまま、捜査を続ける。蘇瓷と裴昭が見張っていると、李木(りぼく)の墓を移そうとする村人たちがやってきた。その時、黒衣の集団が出現。裴昭は蒋希文(しょうきぶん)たちとともに、黒衣の集団を捕らえようとする。一方、李木の墓を移そうとした村人の中には不審な男がいた。この土地の風習では、死者の親族しかまかない松香(しょうこう)粉を、その男は李(り)家の墓にまいていたのだ。蘇瓷はその男が白良(はくりょう)族事件の真相を知っていると推理するが…。
第24話 裏切りの苦悩
蘇瓷が白良族の生き残りであることを知った仲間たちは、ともに真実を明らかにしようと気持ちをひとつにする。黒幕につながる手がかりを探そうと、彭毅(ほうき)の骸(むくろ)を改めて調べる蘇瓷たち。彭毅の顔を見て、知った顔であることに気づいた謝北溟(しゃほくめい)は青ざめる。都に戻り、雲(うん)王府に馬を飛ばした謝北溟は、屋敷から出てきた人物を見て衝撃を受ける。その頃、裴昭もまた、黒幕に行動を把握されていることを不審に思い、謝北溟の義父に疑いの目を向けていた。
第25話 女神の怒り
先帝の死因を調べ直す蘇瓷たち。どうやら、絹織物に仕込まれた毒と、服用していた滋養の薬が反応した可能性が高いようだ。実験のために董如双(とうじょそう)たちが大量に買い込んだ絹織物の中に、白良錦(はくりょうきん)とおぼしき生地があった。店の主人に仕入先を尋ねた蘇瓷たちは、その生地を織った許(きょ)家の工房がある南潯(なんしん)の町へと向かう。南潯では疫病が流行っていたばかりか、祭の日に起きた事件をきっかけに不穏な噂(うわさ)が流れ、町民たちは皆、怯えているようだった。
第26話 銅銭の謎
白良錦の出どころは南潯の織物商・許家だと判明するものの、唯一その技法を知っていた許家の先妻はすでに亡くなっていた。蘇瓷と裴昭は、特殊な技法を先妻に教えた人物こそ、7年前に死んだとされる浣衣(かんい)局の女中頭ではないかと疑う。新たな手がかりを求め、許家の商売敵である孫(そん)家を訪ねると、主人の孫博(そんはく)が死んでいるのが見つかる。頭には白い布が巻かれ、そばには8枚の銅銭が置かれていた。果たしてその意味するところは…。
第27話 真の闘いの始まり
蘇瓷たちは罠(わな)を仕掛け、許家のばあやを捕らえる。町で起きた一連の殺人事件の犯人であることを暴いた蘇瓷はさらに、ばあやが7年前に先帝を毒殺した下手人であるという自白を引き出す。先帝殺害を指示したのは雲(うん)王だという証言も得るが、ばあやは自害してしまう。一方、雲王が義父であることに悩む謝北溟は、後ろめたさから董如双を避け続ける。想いを断つために嫌われようと考えた謝北溟は、妓女(ぎじょ)を連れ帰り、嫁にすると董如双に告げるが…。
第28話 忍びよる魔の手
謝北溟は裴昭の説得を聞き入れ、雲王の悪事を阻む決心をする。だが董如双については、危険が及ぶことを恐れ、自ら遠ざけようとする。そんな謝北溟の芝居を見破った董如双は、自分の想いを彼にぶつけるのだった。皇太后の誕辰(たんしん)祝いが近づいていた。雲王は祝宴の準備を斉(せい)王である裴昭に任せるよう仕向ける。雲王には何か策略があるようだが…。一方、郊外で田勇(でんゆう)の死体が発見され、捜査を担当した羅鑫(らきん)は蒋希文を被疑者として連行する。
第29話 盟友の死
蒋希文が牢(ろう)の中で自害する。盟友を失い、悲嘆に暮れる裴昭。蒋希文の亡骸が手に軍牌(ぐんぱい)を握っていたことで、裴昭は生前の会話から、彼が自分に危機を知らせ、警戒を促していることに気づく。真相を明らかにして蒋希文の名誉を回復するため、殺された田勇の行動を調べ直す蘇瓷たち。田勇は、自ら修復を請け負った郊外の倉庫に財宝が隠されていると信じ、盗みを計画していたことを突き止める。倉庫を訪れるとそこにはひと甕(かめ)の小麦粉だけがあった。
第30話
裴昭は皇太后の誕辰祝いの宴に備え、特別な花火を用意していた。一方、消えた猛毒の行方を捜している蘇瓷は、明鏡署(めいきょうしょ)の総署(そうしょ)・劉玄(りゅうげん)に呼ばれ、城外の村で水を飲んだ村人が毒に侵されていると知らされる。消えた猛毒との関連性を疑い調査に赴くが、村人の話を聞くうちに、それが自分たちを宴の日に都から引き離す罠だったことに気づく。毒に侵された村人が花火職人だったことから陰謀に気づいた蘇瓷は、花火をやめさせようと都に馬を飛ばす。
第31話 暴かれる陰謀
祝宴の花火に毒が仕込まれていたことで、裴昭は事件の首謀者として審問されることに。雲王の命令で調査をおこなった劉玄により、事件への関与を示す事実を次々に提示され、裴昭は言い逃れのできない状況に陥る。その時、正殿へ飛び込んできた蘇瓷が、花火に毒を仕込んだのは別の人物だと訴える。皇帝は蘇瓷に事情を説明するよう促す。消えた猛毒、花火、城外の水源の汚染。蘇瓷が犯人だと指し示したのは意外な人物だった。
第32話(最終話) あなたと、未来へ
雲王が朝廷に謀反を起こし、その統率者として皇帝たちの前に現れたのは謝北溟だった。がく然とする董如双。しかし、謀反の兵たちは正殿に入ってこない。すべては雲王が謀反を起こし正体をさらすように、裴昭が仕向けた作戦だったのだ。謝北溟は雲王に対して、抵抗をやめるように説得する。だが、玉座を我がものにせんとする雲王は、抜刀し最後の戦いを挑む。死闘の末、雲王に向けられた刃が貫いたのは、謝北溟の体であった…。