あらすじ
班家の娘・班婳(はんかく)は武術が得意で正義感の強い型破りなお嬢様。ある日、家族が悲劇に見舞われる予知夢を見た班婳はなんとか回避しようと自ら行動を起こす。そんな中、女性なら誰もが憧れる名声を持つ貴公子・容瑕(ようか)と出会う。まったく自分になびかないばかりか、偶然再会した祝宴会で彼に恥をかかされる始末。そんな彼に興味を持った班婳だったが、一方で容瑕は両親の仇を討つべく虎視眈々と復讐計画を進め、班婳を利用しようと考えていた。しかし、容瑕もまた班婳の真っ直ぐな性格と優しさに触れ、次第に気になる存在になっていき…?
第1話 君子との出会い
班(はん)家の長女の班婳(はんかく)は、許婚の謝啓臨(しゃけいりん)に婚約を破棄される夢を見る。夢で見た所と同じ場所へ出向くと、果たして謝啓臨は妓女とあいびきの真っ最中だった。謝啓臨に別れを告げ、帰ろうとした班婳は、遠巻きに騒ぎを見ていた美形の男と出会う。ある日、菊の観賞会に集まった名家の令嬢たちは班婳の不運をあざ笑っていた。負けん気が強い班婳は平然として“天下一の君子”と名高い容瑕(ようか)との婚約が決まったと嘘をつく。だがそこへ容瑕本人が現れ…。
第2話 弟を救うために
班婳から謝啓臨の片目が見えなくなっている夢を見たと聞いた班淮(はんかい)。本当かどうか確かめるべく、班恒(はんこう)を連れて謝(しゃ)家をのぞきに行く。すると謝啓臨が自ら転んで片目を負傷したにもかかわらず、班恒は捕らえられ、濡れ衣を着せられる。班家の者が投獄されたと知った大長公主は、危機を脱するには陛下の覚えめでたい容瑕の協力が不可欠だと言う。そこで班婳は、容瑕にあの手この手で働きかけるのだが、容瑕はお茶を濁すばかりだった。
第3話 備えあれば憂いなし
班婳は今上皇帝ではない何者かが玉座に座っている夢を見る。今までに見た夢が続けざまに現実になったので、新帝が即位すれば、班家は夢に見たとおり没落するのではないかと心配になる。そこで家族で話し合い、万一の備えとして財宝を別の場所に隠しておき、新帝候補と目される人物とはいい関係を築いておくことを取り決める。早速、班婳と班恒は夜中に財宝を山の中に埋めに行く。ところが同じく山の中で配下と密会していた容瑕に見つかり…。
第4話 氷上のふたり
容瑕は氷滑りが好きだと聞いた班婳と班恒は、郊外で氷滑りをしようと誘う。これは容瑕が班婳を嫌うように仕向けた石飛仙(せきひせん)による罠で、容瑕は実は氷滑りが苦手だったが、誘いに応じることにする。氷上を自在に滑る班婳を見て、心を奪われる容瑕。2人はしばらく楽しい時を過ごすが、氷が割れて容瑕は冷たい水に落ちてしまう。班婳に救われた容瑕だが、都に戻ったあと、屋敷を訪ねてきた班婳を仮病を使って追い返し、怒らせてしまう。
第5話 求婚者現る
班婳との結婚を願う書生が屋敷の前で居座るように。黒い衣で立ち尽くすその書生・沈鈺(しんぎょく)を見た班婳の母は、彼こそ娘の夢に現れた新帝だと信じ、科挙で3位以内に入ったら嫁がせると告げる。だが、沈鈺は虎符(こふ)の行方を捜す石崇海右相国(せきすうかいうしょうこく)の手下だった。それぞれに思惑のある容瑕や班恒たちも沈鈺と班婳の縁談を破談にさせるべく奮闘する。そして科挙当日。沈鈺は石崇海の根回しで第3位に。不審に思った容瑕は沈鈺を調べるよう配下に命じる。
第6話 正義の鞭
容瑕から、沈鈺には故郷に置いてきた許婚がいると聞かされ、班婳は激怒。沈鈺を問い詰める。そもそも求婚したのは美貌と富が目的だったと言われた班婳は、大衆の面前で沈鈺を鞭打つ。婚約を破棄した班婳は、容瑕に縁談を阻止した理由を問うが、望む答えを得られずにいらだつ。班家に恨みを持つ謝成炎(しゃせいえん)は、皇帝が任命した官吏を鞭打ったとして班婳を処罰するよう朝議で訴えるが、石晋(せきしん)は非があるのは沈鈺のほうだとして、班婳をかばう。
第7話 突然の接吻
皇族の秋狩りが行われた。皇太子暗殺を企てていた第二皇子・蒋洛(しょうらく)だったが、偶然通りかかった班婳に気づかれてしまう。逃げる班婳をかくまう容瑕。花粉の刺激でくしゃみが出そうになった班婳の口を、容瑕は唇でふさぐ。その後、弓術の腕比べをすることに。班婳の代わりに大量の酒を飲んだ容瑕は矢ではなく弓を放つ始末。だが班婳の手助けにより矢は的の中央に吸い込まれ、蒋洛に勝利する。恥をかかされた蒋洛は班婳をより敵視するように…。
第8話 新たな企み
大長公主の生誕宴の仕切りを容瑕と共に任される班婳。その後、宮中の廊下で蒋洛と遭遇。夢に出てきた黒衣の男が蒋洛だと予想する班婳は、蒋洛の衣を剥がし、胸の傷を確かめようとするが失敗に終わる。一方の蒋洛は、班婳を侮辱したことなどが雲慶(うんけい)帝の逆鱗に触れ、大量の書写と禁足を命じられてしまう。班婳への恨みを募らせる蒋洛は、班家や皇太子一派を倒すため、謝家への接近を企て、一度は断った謝婉瑜(しゃえんゆ)との婚姻を決意する。
第9話 大長公主の秘密
容瑕は大長公主から家族の死の真相を聞き出そうとするが、反対に脅されてしまう。絶望した容瑕は班婳を利用せず、自力で真相を突き止めることに。急によそよそしくなった容瑕に戸惑う班婳。生誕宴の時刻となったが主役の大長公主は一向に現れない。不審に思った班婳が公主府へ向かうと、大長公主は床に伏していた。主治医の薬を飲ませようとした班婳の手を容瑕が払う。それは毒だったのだ。困り果てた班婳に、容瑕は小瓶を差し出す。
第10話 婚姻の条件
危機を逃れた大長公主は、班婳に「容瑕には用心しろ」と忠告する。毒を盛ろうとした医者を追い詰めた容瑕と班婳だが、医者は口封じに殺されてしまう。そこに現れたのは謝重錦(しゃちょうきん)で、改めて容瑕に蒋洛につくよう求める。班婳に一目惚れした左相国(さしょうこく)・厳暉(げんき)の息子・厳甄(げんしん)が婚姻の申し込みにやってくるが、班婳は手厳しくこれを突っぱねる。後日石府で宴が開かれ、容瑕や石兄妹ら、それぞれの思いが交錯する中、再び厳甄が班婳に婚姻を迫り…。
第11話 私は高嶺の花?
厳甄からの強引な求婚を拒んだ班婳。しかし一族の将来がかかっている厳(げん)家側の求婚はしつこく、息子に代わって縁談を申し込もうと班家に押しかける母親や、権力闘争の回避を口実に、雲慶帝に働きかける父親らが、班家や雲慶帝を悩ませていた。その頃、雲慶帝から班婳への気持ちを確かめられた容瑕は、班婳のことを「高嶺の花」だとして縁談を断ってしまう。その話を伝え聞いた班婳は、いらだちを隠せないでいた。
第12話 ライバル出現
班婳との婚姻を求めて絶食し、衰弱した厳甄は母親に連れられ班家へ。母親は「郡主を娶れなければ自害する」と班婳を脅す。朝堂では班婳の父が左相国の売官の証拠を提示。牢獄に入れられた厳暉を訪ねたのは容瑕だった。そんなある日、班婳は白い毛皮の外套をまとった自分が撃たれる夢を見る。黒衣の男が石晋かもしれないと思った班婳は、石晋に近づくべく策を練る。班婳が毛皮を所望していると知った石晋は狩りに出るが…。
第13話 心づくしの返礼
互いの想いを確かめ合った容瑕と班婳。班家の面々も2人が結ばれる日は近いと盛り上がる。しかし大長公主は容瑕を呼び出し、下心があるなら近づくなと忠告する。雲慶帝は、石崇海が大長公主から盗んだ虎符が偽物であったことに激怒。紛失に気づいた大長公主は自ら宮中に上がり先手を打つ。班家で家族の宴が開かれる。班婳との仲を取り持ちたい大長公主は石晋を招き、班婳に招かれた容瑕と鉢合わせる。宴席は微妙な空気に包まれる。
第14話 異邦人からの求婚
雲慶帝の生誕宴。祝賀に来た艾頗(がいは)国の者たちと「生き残り競争」を行うことに。人数調整のため艾頗隊に加わった班婳は、同国の阿克斉(アクチー)王子と共に大業隊と戦う。蒋洛や石晋などが次々に脱落し、残るは班婳と容瑕、阿克斉王子のみになった。容瑕に遭遇した班婳は突然名前で呼びかけられドキドキするが、それは容瑕の罠だった。立腹しすぐに仕返しする班婳。結果、生き残り競争は艾頗隊が勝利、阿克斉王子は改めて班婳に求婚する。
第15話 守るべきもの
雲慶(うんけい)帝からの指示を受け、容瑕(ようか)は窃盗や救済金の流出などの被害が相次ぐ大長公主を警護する名目で寧寿(ねいじゅ)府に入ったが、期せずして実母の形見の数珠を見つける。驚く容瑕は、大長公主に真相を問いただすが、大長公主は怒りに震え、吐血してしまう。班婳(はんかく)は無情にふるまう容瑕に不信感を募らせる。ある日、班婳は大長公主が何者かによって刺される夢を見て、急ぎ宮中へ向かう。一方、大長公主もある決意を胸に、雲慶帝のもとを訪れるのだった…。
第16話 明かされた真相
容瑕との婚姻を拒んだ班婳は、大長公主の霊を慰めるため寝食を忘れて写経する。そんな班婳を外から見つめる容瑕。食事を差し入れるが、容瑕からだと知った班婳は食べるのをやめてしまう。容(よう)家職から誠実に向き合うことの大切さを教えられた容瑕は班(はん)家の祖廟へ。大長公主の生前、亡き母の遺書を手渡され容家没落の真相を知ったこと、大長公主は班家を守るために自ら刺客を用意し雲慶帝の眼前で刺殺させたことなどを班婳に打ち明ける。
第17話 月夜の求婚
容瑕が殺される夢を見た班婳は、屋敷に駆け付ける。そこで目にしたのは、運び出されようとしている棺だった。班婳は、班家に降りかかる災難に巻き込むことを恐れて、容瑕と距離を置こうとしていることを打ち明けるが、容瑕は班家のことは自分が守ると約束する。心労で倒れた班婳は、しばらく容瑕のもとで養生することに。回復した班婳を送り届けた容瑕は、両親に婚姻の承諾を得る。残る班婳本人の気持ちを確かめるべく、容瑕は…。
第18話 あなたには負けられない
石飛仙(せきひせん)は歌会に容瑕を招き、婚約について真相を詳しく聞き出そうとしたが、容瑕は班婳を伴って登場。自ら班婳と婚約した事実を公表する。容瑕と班婳が婚約したという事実にショックを受けた石飛仙は、2人の婚約を阻止するため、第二皇子・蒋洛(しょうらく)と手を組もうと企む。一方の蒋洛も、酒楼で石飛仙と密会し、班婳を殺すよう依頼され、二つ返事で応じる。しかし、蒋洛の後を追ってきた班婳が密会現場に乱入。大慌ての蒋洛と石飛仙に班婳は…。
第19話 錯綜する想い
蒋洛と謝婉瑜(しゃえんゆ)の婚礼が皇族らの臨席のもと行われた。皇太子夫妻の真似をして、仲睦まじさを周囲に見せつける容瑕と班婳。石飛仙を疎ましく思っている皇后は、石飛仙を謝啓臨(しゃけいりん)に嫁がせようとする。だが、謝啓臨は班婳への愛を理由にそれを拒否。赤恥をかかされた石飛仙は、芝居掛かった口調で班婳に詰め寄るが班婳に簡単に見破られる。一方、蒋洛の書斎で石飛仙の肖像画を見つけた謝婉瑜は、離縁を要求。激怒した蒋洛は謝婉瑜を打ちつける。
第20話 悪夢に胸騒ぎ
斉(せい)州から飢饉を逃れた多くの被災民が都に流れ着く。右相国(うしょうこく)の石崇海(せきすうかい)は、被災民の中に、自らが死に追いやった斉州の長官、趙(ちょう)氏の息子がいるとにらむ。石崇海は、自分の汚職を訴える血書の存在を消すため、雲慶帝より命じられた焼き鶏の無償提供を通じて、趙氏の息子を捜し始める。ある日、班婳は班淮(はんかい)が誰かに襲われる夢を見て胸騒ぎを覚える。同じ頃、班淮は参内した際に、雲慶帝から左相国(さしょうこく)の就任について打診されるのだった。
第21話 哀しき恋文
石飛仙に雇われたという刺客の証言を聞き、石(せき)家に押し入った班婳。石飛仙に会おうとするが、石崇海に阻まれる。そこへ、石飛仙が刺客に会った際に落としたとされる真珠を持った容瑕が大理寺の兵を連れて現れた。翌朝、大理寺での審理に現れた石飛仙は、証拠の真珠は自分のものであると認めるが、それは容瑕の誘いに応じて出かけた時に落としたものだと証言。容瑕は密会を否定するが、石飛仙が受け取った恋文の筆致は、確かに容瑕のもので…。
第22話 晴らすべき冤罪
謝婉瑜を通じ謝重錦(しゃちょうきん)の偽筆を入手した班婳は、石晋と共に牢獄へ行き、法廷の場で謝重錦を糾弾するよう石飛仙を説得する。だがその後、口車に乗せられた石晋は、証拠である偽筆を祖父の石崇海に渡してしまう。自分のせいで姉が皇太子妃から廃されてしまうこと、そして自分が死罪になる恐れがあることを知った石飛仙は、祖父に促されるまま罪を認める書に捺印、流罪に処されることに。納得のいかない班婳は独自に調べを進めると容瑕に宣言する。
第23話 報いを受けよ
班淮を襲ったという、無実の罪を着せられた石飛仙は、西(せい)州に護送される途中、賊に襲われる。自らの運命に絶望した石飛仙は崖から身を投げるが、あらかじめ班婳が依頼した、艾頗(がいは)国の王子、阿克斉(アクチー)によって救われる。一方、蒋洛は、班婳を通じて、石飛仙の流刑が謝重錦の陰謀によるものだと知り、激怒する。謝重錦は蒋洛への忠誠心の証として、皇太子の権威失墜の策を講じ、石家と班(はん)家を同時に潰そうと動き始める。
第24話 皇帝の裏の顔
石飛仙は農村に住む夫婦に預けられ、穏やかな日々を過ごす。だが石飛仙を見つめる夫の目は尋常ではなかった。一方、朝堂で石崇海を糾弾した容瑕は、酒を手に石(せき)府を訪れ、両親と兄が死んだ真相を問い詰める。石崇海は「厳暉(げんき)と謝成炎(しゃせいえん)の指示に従っただけ」と弁明するが、石崇海が首謀者の1人だったことは、長年の調べで分かっていた。自分を助けてくれた雲慶帝は、一家の没落を容認していた…。悲嘆に暮れ泥酔した容瑕は、班家の扉をたたく。
第25話 斜陽の
蒋洛は密かに容瑕を呼び出し、雲慶帝への恨みを晴らす時だと復讐をけしかける。その直後、雲慶帝の寝殿に参内した容瑕は、家族が殺された当時の真相を聞き出す。心配で駆け付けた班婳の目の前で、怒りに震える容瑕は匕首(あいくち)を取り出し、皇帝と袂を分かつと宣言。預かっていた虎符(こふ)を皇太子に託し、班婳と2人、朝廷を離れて悠々自適に暮らそうと約束するが…。その頃、密かに都に戻った石飛仙は、蒋洛の別邸に身を寄せていた。
第26話 第二皇子の企み
容瑕が雲慶帝の落胤(らくいん)であるとの噂が都中に広まっていた。班恒(はんこう)を捜しに賭場へ来た容瑕と班婳は、噂が賭けの対象になっていることに反発、噂をもとに賭けをしないよう胴元をやり込める。その日の夜、容瑕と班婳は蒋洛と謝重錦の手先である浮徳楼(ふとくろう)の襲撃を受ける。班婳は刺客を退けるが、負傷により昏睡状態に陥ってしまう。同じ夜、謝婉瑜は雷嫌いな石飛仙のため、蒋洛の別邸に向かう。だが、そこには蒋洛と石飛仙の抱き合う姿が…。
第27話 改めての求婚
蒋洛と謝重錦の均衡を保つためには石飛仙の存在が必要と考えた容瑕は、石飛仙の居場所を石晋に伝える。早速蒋洛の別邸に向かう石晋だったが、石飛仙は石家との縁を絶ちきるように、石晋や姉の素月(そげつ)に冷たく当たる。夫の皇太子に石飛仙の救出を求めるものの、頼りない返事にいらだつ素月。一方、家族たちの献身的な看病により、班婳は意識を取り戻す。容瑕は班恒らと共に、郊外の洞穴で婚礼の準備をし、班婳を驚かせようとするが…。
第28話 月下の誓い
班婳は、悪夢のせいで容瑕の求婚を拒んでしまう。しかし、自身の経験をもとに諭す母の言葉で思い改め、班婳は立ち去ろうとする容瑕を呼び止め、求婚を受け入れる。その後、班婳は容瑕を襲った刺客の正体を、容瑕に内緒で調べ始める。班婳は、謝重錦が率いる浮徳楼の仕業だと予想。班恒を伴い偵察しようと深夜に謝(しゃ)府を訪れると、そこには石晋がいた。驚いた班婳たちは、石晋を班婳の寝室に呼び入れ、事情を説明する。すると容瑕が…。
第29話 一族の命綱
大けがを負った謝重錦(しゃちょうきん)を訪ねた石飛仙(せきひせん)は、協力して蒋洛(しょうらく)を帝位につけるか、共に滅びの道を歩むか選択を迫る。そこで兄の見舞いにやってきた謝婉瑜(しゃえんゆ)と鉢合わせする。第二皇子のもとに戻るのを嫌がる謝婉瑜を、謝重錦は諭す。謝(しゃ)家の男たちが立身出世の道を絶たれた今、一族の命運は親王妃の謝婉瑜にかかっているのだと…。憂鬱な気持ちで街を歩いていた謝婉瑜は、班恒(はんこう)に出くわし、好物の杏仁の焼き菓子を班(はん)家の厨房で焼かせてもらうことに。
第30話 海棠の木の下で
五穀豊穣を祝う祭事が皇太子の主催により行われた。蒋洛はこの機に皇太子を暗殺すべく、毒入りの果汁を用意する。しかし皇太子の杯を班婳(はんかく)が口にすることとなり、班婳は吐血、意識を失う。毒を以て毒を制す。太医が差し出した毒薬を、危険を顧みずに口移しする容瑕(ようか)。班婳は意識を取り戻すが、体内の毒は抜けきっておらず、助かるか否かは運命次第だと医者から告げられる。班婳は願い事が叶うという海棠の木へ容瑕をいざなう。
第31話 密かに君を守りたい
容瑕は解毒剤と引き換えに、蒋洛を帝位につけ、班家と断絶せよ、という石飛仙の条件を飲む。一方、解毒薬のおかげで一命を取り留めた班婳は、容瑕から一方的に婚約を解消されたと知り、激しく動揺する。班婳は、容瑕の真意を探ろうと容(よう)府を訪れるが、縁を絶ちきろうと冷淡に振るまう容瑕に失望し、自らも絶縁を宣言してしまう。その後、班家の祖廟を訪れ、うちひしがれる班婳。そこへ石晋(せきしん)が現れ、班婳を慰めるのだった。
第32話 生きる道
一家が没落する夢を再び見た班婳。班家は都を離れようとするが、容瑕の献策により屋敷や財産をすべて差し押さえられてしまう。かつて山中に埋めた財宝を掘り出しに行くものの、箱の中は1枚の文のみになっていた。班婳は容瑕の仕業だと疑う。石晋が用意した屋敷に入った班家は今までの贅沢を改め、鶏や野菜を育てるなどして倹約に努める。斉(せい)州の地では凶作により飢餓民が反乱軍と化していた。班婳はある決意を胸に、朝堂へ向かう。
第33話 軍師と将軍
反乱軍を平定するため、将軍として出征することになった班婳。心配した容瑕も軍師として従軍することに。しかし班婳に与えられた兵は罪人の寄せ集め。容瑕の助けで、班婳は女をバカにしていた兵の信頼を勝ち取る。食糧が足りず、山中で野草をとっていた班婳は、反乱軍を率いる趙仲(ちょうちゅう)に捕らわれてしまう。趙仲が民のために食糧を分配していると知った班婳は…。その頃都では石崇海の入れ知恵で、蒋洛が班家全員を捕えようとしていた。
第34話 あなたと一緒に
宮廷を飛び出した謝婉瑜は、班家の屋敷が焼け落ちていたことから、班恒たちが死んだと思い込む。都を離れる決意をした謝婉瑜は、道中、男2人に襲われるが、間一髪のところで班恒に助けられる。班恒は、班家が暮らす小屋に謝婉瑜を連れ帰り、行く当てがないなら一緒に過ごそうと提案。謝婉瑜や班家の者も提案を受け入れ、つかの間の団らんを過ごす。一方、中(ちゅう)州にいる班婳と容瑕は兵糧不足に悩む中、王部将の怪しい動きを察知するのだった。
第35話 食糧確保大作戦!
密かに蓄えた大量の食糧で私利を図っている豪族がいると知った班婳。面食いだという豪族の娘と交渉するため容瑕を差し向ける。だが娘が一目惚れした相手は班恒だった。班恒の体を張っての活躍により食糧を得たものの、それはかびだらけ。万事休すかと思われたところに蒋洛から食糧が届く。早速炊き出しを行う班恒。しかし粥を食べた民が次々に死んでいく。食糧には毒が仕込まれていた。激怒した班婳は都に攻め入り蒋洛を討つと誓う。
第36話 大胆な賭け
班婳は、蒋洛が班淮(はんかい)たちを人質にしたことを知り、罠と知りつつも都に戻る。蒋洛と石飛仙は、戻ってきた班婳を気絶させて閉じ込める。また、石晋と班婳を縁組みさせ、容瑕率いる軍の統率を乱そうと画策する。一方、班家の者たちは、容瑕の配下たちによって宮中から救出されるが、都を出る直前で逃亡に失敗。かろうじて班淮夫妻は逃れたものの、硬邦邦(こうほうほう)や軟綿綿(なんめんめん)など従者は捕らえられ、蒋洛の人質として再び宮中に連れ戻されてしまう。
第37話 白狐の毛皮をまとい
蒋洛の罠だと知りながら、班婳と石晋の婚礼に参列する容瑕。夫婦の誓いが交わされようとした時、短刀を抜いた班婳は石晋を人質にとり、形勢を逆転させる。石飛仙は石崇海と共に逃げようとするが、謝重錦が手配した刺客に襲われ、石崇海は息絶える。謝重錦を追った班婳だったが、追い詰めたところで再び捕らわれてしまう。投獄された班婳は死罪に処せられることに…。その頃、容瑕は皇太子を正統な帝位後継者として担ぎ、都に攻め込もうとしていた。
第38話 民のために戦え
決戦の火ぶたが切られた。容瑕の矢が人質となった班婳の左胸に突き刺さる。班家軍は猛攻。蒋洛は謝重錦の投降の提案を一蹴するものの、すごすごと引き下がられて戸惑う。石飛仙の献策により班(はん)大将軍の元配下を城門に配するが、そこに死んだはずの班婳が現れる。亡き班大将軍の信念を新たにした老将は自ら開門、班婳は兵を従え大月宮に乗り込む。戦いを制し、皇太子を皇帝に推戴した班婳と容瑕。しかし皇太子の口から思いがけない言葉が飛び出す。
第39話 嵐の前の静けさ
皇太子は、容瑕に禅譲すると表明し、皇后や皇太后、多くの官吏たちの反対を受けるが、聞く耳を持たない。素月(そげつ)は、祖父・石崇海を亡くし、石飛仙が投獄されたことで、容瑕への恨みを募らせる。そして、帝位を脅かす存在になりつつある容瑕を排除するため、容瑕と班婳の婚礼を利用しようと企む。同じ頃、班恒は意を決して謝(しゃ)家を訪れ、謝婉瑜に求婚する。だが、謝婉瑜のために用意した贈り物が偽物だと判明。求婚失敗の危機に陥る。
第40話(最終話) 運命は変えられる
大月宮で婚礼を挙げた容瑕と班婳。班婳が寝室に下がったあと、何者かに毒を盛られた容瑕が宴席で倒れてしまう。夫婦の杯を交わした際に付着した班婳の紅から毒が検出されたため、班婳に暗殺を企てた疑いがかけられる。皇后があらかじめ手を回した官吏たちは、班家を捕らえろと主張。困惑する皇帝を差し置いて、皇后が捜査の指揮を執ると言い始める。その頃、班婳に逃げろと伝えにきた安楽公主から、容瑕の危機を知らされた班婳は…。